保塁岩再生
六甲山・保塁岩は日本では最も古くから登られている岩場のひとつです。
大正13年に藤木九三らによってRCCが創立され、近代アルピニズム発祥の地として多くのクライマーが育っていきました。
この岩場には、『RCCグレード』と『デシマルグレード』という異なるふたつのグレード体系が共存しています。
RCCグレードがついた既存ルートは、70年代にはほとんど出来上がっていて、80年代に入ってからヨセミテ帰りのクライマーによってクラック課題が量産されひとつの岩場にデシマルグレードとRCCグレードが共存する形で登られてきた歴史があります。
2つのグレード体系が共存するのにクライマーからは特に異論は出ず、2007年のKI-NET(関西岩橋環境整備ネット)による大規模なリボルトまで、大きな問題はありませんでした。
この時老朽化した終了点や一部のデシマルルートを強固なケミカルアンカーに打ちかえ、リングボルトやハーケンなどは撤去せずに、そのまま残されたのです。
西稜の頭
西稜の南面側と西稜ハングの終了点はケミカルアンカーですが、西稜クラックのうえにはリングボルトやアイボルトなど様々な朽ちた支点が残っており、ケミカルに打ちかえされていません。(現在はこの下部にステンレスの支点が打たれています)
これは、クラックが多数ありSLCD(カム)で支点構築出来るからで、いきすぎた環境整備はものを考えないクライマーを作ってしまうからだと理解しています。
もともとこの岩場は、マルチピッチの練習場として登られてきた背景があり、リード&フォローでトライして歩いて下降するか下降ルートをラッペルするのが普通でした。現在は室内ジムの普及などもあり、同ルートを下降するクライマーがほとんどです。
しかし、この岩場の終了点はラッペル用に打たれていず、ケミカルアンカーにロープを直通しで懸垂下降、最近では直通しで結びなおし、ロワーダウンしているクライマーも見かけるようになりました。
当初のものを考えるクライマーを作るという目論見は完全に失敗したといえるでしょう。
前記の理由から堡塁岩の終了点はほとんどがトップアウトして両手が安定して離せるところに設置してあり、2007年のリボルトもそれに準拠しています。
しかし、今のリード&ロワーダウンが標準になっているフリークライミングのスタイルにあっておらず、不都合が起こるわけです。
さて、ここで古い文献を調べてみました。
ヨセミテ派のクラッククライミングの波が押し寄せてて来るまではトップロープが主流の時代がありました。その時の支点はどうなってしまったのでしょう?中央陵の植生もだいぶ変わってしまったし、老朽化した支点は撤去されてしまったと推測できます。(RCCⅡのトポを見ても今と全然違ってラインすらわかりません)
新しい視点でみれば現在あまりトライされていないクラシック(例:2段ハングなど)も改めて終了点を整備することで日の目を見ることが予想されます。
先日N氏のfacebookでの投稿が反響を呼びました。カンタレスやコズミックラインなど三ツ星のクラシックラインのボルトが老朽化して、早急な対策が必要となっているという記事です。
Mr ビーンズのマメマメ日記
http://climber319.blog89.fc2.com/blog-entry-3609.html
しかし、前記のルートなどをただ安全なボルトに打ちかえるだけでなくこの歴史ある岩場をこれからどうしていくかを再び考える時期に来ているのかもしれません。
*以下、ChatGPTに情報を与えて、作成したRCCグレードの簡単な説明。
提供していただいた情報に基づいて、クライミングにおけるRCCグレードについて説明します。
『日本の岩場』という岩場のルート図集では、クライミングの難易度をRCC(ck Climbing Club)のグレードで表しています。RCCグレードは、UIAA(国際山岳連合)のグレードに準じつつ、日本独自の基準を加えて作成されたものです。
RCCのグレードは、易しい、難しい、難しい非常に難しいを、1級~5級、6級(A1~A3)と判りやすく表現しました。
RCCグレードはクライミングの難易度を表す指標であり、数字と記述によって具体的な難易度が示されます。クライマーにとっては、自身のスキルや経験に合わせた適切なルートを選ぶ際の参考となるでしょう。
RCCグレードとは、RCCⅡ(第二次ロッククライミングクラブ)が、『日本の岩場』という岩場のルート図集(1958年)において提唱したグレーディング方式で、UIAA(国際山岳連合)のグレードに準じつつ、日本独自の基準を加えて作成された日本の独自の概念です。I級からVI級まで、数字が増えるごとに難しくなっていきます。
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ボルダリングスタジオ ボラーレ・エスカラーダ店長 日本フリークライミング協会会員 日本山岳協会 国内ルートセッター 上級指導員(フリークライミング) 日本山岳ガイド協会スポーツクライミングインストラクター
note ――つくる、つながる、とどける。