クイックドローで終了点を作る場合、カラビナの向きを気にしていますか? いろんなクライマーに聞いてみるとみんな「外向きにしてる」と答えます。 でも「何故?」と聞き返すと「なんとなく・・・」意外にきちんと答えられないものです。*JFAのサイトにも、そのように載っているしそう教わったから・・・・ *JFA トップロープの構築法 昨年、公開された海外の動画です。 カラビナが内側を向いているとこんなふうに外れるんだ! 気をつけよう。 とここで話は終わるはずですが、・・・・ 本当にこん
予約していた本がやっと届いた。思っていたよりもライトで読みやすく一晩で読了~本の感想はもうあちこちで書かれているしネタバレになるので、もういいだろう。今日は僕が山歩きを始めた若い頃の話を書いてみようと思う。 中学3年生の時、一人の山男を主人公にした1冊の本と出会った。 そう新田次郎が加藤文太郎をモデルとして書いた「孤高の人」である。 彼のストイックな生き方に感銘を受け、何度も何度も読み返し、すっかり傾倒した僕は親が仕事に出かけてから、こっそりご飯を弁当箱に詰め自宅(西宮)か
日本にクワッドアンカーが紹介されてからもう8年程になり、それなりに普及してきたように思う。 現在クワッドアンカーの完成品(ソウンアンカー)として市販してるものはブラックダイヤモンド1社だけで、メーカーのHPを見てもソールドアウト、日本の輸入代理店は取り扱っていないので、手に入らない。 だから興味がある人は切り売りのコードで自作するしかない。 普通は240㎝ぐらいのアラミドコードをダブルにして自作するのだが、入手できなかったのか最近ダイニーマで構成されたクワッドアンカーを時々
今日はスリングの素材について考えてみよう。 スリングにはいろんな素材が使われているが、それぞれ一長一短あるので今一度おさらいしてみたい。 ☆ナイロン66 (脂肪族ポリアミド)融点 255度 88年前、初めて石油から作られた合成繊維、しなやかで伸縮性に富み、衝撃吸収力が高いためクライミングロープ(ダイナミックロープ)はほぼナイロン66で作られている。欠点は水を含みやすい。 紫外線に弱く長時間の直射日光にさらされると劣化する可能性があるため、適切な保管が必要である。 最近ではセ
ここにある岩場の終了点の写真があります。2本のチェーン、錆びたマイロン(クイックリンク)Oリング、2枚のカラビナがゲートが互い違いの向きになるようにセットされています。 この一枚の写真から皆さんは何か違和感を感じるでしょうか?チェーンの末端には錆びた針金が巻き付いていることから、おそらく当初は2本のチェーンにカラビナがかかっているだけだったんじゃないでしょうか? そこで、『善意の第3者』が利便性のためにクイックリンク(マイロン)とOリング、カラビナを設置したと考えられます。
フリーファン087号が届いた。 このテーマで話を書くのはとても気が重いが、機関誌がきた今しかないだろう。 今夏は記録に残る猛暑で、六甲北にある某エリア(未発表)を訪れたクライマーが少なくなかったらしい。 もうこの岩場の存在が知られてから、かなりの年月が経っているので、ほぼ全てのルートがチッピングで開拓されているという事実を知らないクライマーの方が多いかもしれない。いや、知ってても「NO! Chipping!」の議論が巻き起こったのは四半世紀前だから忘れていてもしかたがない。
今日は梅雨の合間をぬって、いろんな終了点の偵察に行ってきた。 前回、書いたように堡塁岩の終了点の位置は独特だ。 中でも一番評判が悪いのは、「コズミックライン」である。テラスのど真ん中の足元にあり、1800mmのスリングを数本持っていないとトップロープの支点を作るのも難しい。登り終わって両手を離して立てる位置というマルチピッチの標準的な条件は満たしているがリード&フォローでも座り込んでビレイしないといけないし、そこからさらに立ち木のある安全なテラス迄あと5Mほど岩を登らないとい
六甲山・保塁岩は日本では最も古くから登られている岩場のひとつです。 大正13年に藤木九三らによってRCCが創立され、近代アルピニズム発祥の地として多くのクライマーが育っていきました。 この岩場には、『RCCグレード』と『デシマルグレード』という異なるふたつのグレード体系が共存しています。 RCCグレードがついた既存ルートは、70年代にはほとんど出来上がっていて、80年代に入ってからヨセミテ帰りのクライマーによってクラック課題が量産されひとつの岩場にデシマルグレードとRCCグ
ある日、電話がかかってきた。 「あるルートなんだけど、初登者が故人なので誰に話を通せばいいか教えてほしい」 詳しく聞けば、そのエリアは僕の先輩が開拓していたが、今は誰も登っていず寂れてしまい、しかもかなり状態が悪いらしい。 岩場の再生のためにボルトを打ち換えるだけでなく、位置変更も必要になるかも知れない。 山岳会の会長から返事が来た。「みんなで話し合ったけど、君に判断を一任しようという事になった。」 「ええ~」 という感じで岩場のリボルトはかなりめんどくさい。 それは初登者優
Jack and the Beanstalk On-Site by Sho Aita / 盲目のクライマー會田祥さんの「ジャックと豆の木」オンサイトトライを見た。 25:58の動画~僕にはあっという間だった。 オンサイトとはそのルートの一切の情報を得ず、初見で落ちずに登りきること 隣のカサブランカを登っている映像もあったので、この岩場(花崗岩)の岩質やクラックの癖などは学習済み、インストラクターの田中さんが「オンサイトでトライしてみる?」と声をかけていることから、10C
今日はスモールカムについて~ その3でBD社のキャメロットを使って、SLCDの基本的なセットをお話しました。 最初に1番を買えば2番,3番と大きいのを揃えていき、次は0.75や0.5と小さいカムが欲しくなります。しかし、僕は0.4までしか持っていません。 前回、キャメロットの長所をお話ししましたが、小さいサイズではダブルアスクル(2軸)がヘッドが大きくなるために逆に短所になります。スモールカムは最新カムのキャメロットZ4を始めほとんどのメーカーがシングルアスクル(1軸)を
今日はSLCD(カム)のセットのお話です。よく初めて買うのなら何番のサイズがいいですか?という質問を受けます。この質問の回答は後回しにして、今日はカムの中でも最も使われているブラックダイヤモンド社のキャメロットでお話を進めていきます。キャメロットが普及したのには理由があってダブルアスクル(2軸)でありながらシングルステムでワイドレンジとしなやかさを両立させたところにあります。このライトウエイトモデルでさらに25%軽量化し、完成度が高くなりました。 この写真は#2番、左からカ
今日はご質問をいただきましたので、SLCDの基本編~ギアラックからの外し方です。 まず、クイックドローと同じようにギアラックから取り外すとこのようになります。このままクラックにセットしようとすると上下逆なので、両手か口を使って持ち替えなくてはなりません。 僕は今まで自己流で持ち替えていたのですがメーカーのサイトに正しい外し方がのっていました。 まず、カムをギアラックにつけたまま、サムループに親指を根元まで入れます。 次に人差し指と中指でトリガーを掴みます。 しっかりカ
ROCK&SNOW最新号(#092)の特集「私のとっておきGEAR」はもう読まれたでしょうか?大先輩の方々がこれはといった逸品を紹介するコーナーだったはず?ですが、中には何故これを選んだのと首をかしげる一品もあったのではないでしょうか? 僕が一番感銘を受けたのは北海道のクライマー奈良誠之氏のカヤックでした。さらっとカヤックの機能性のみ述べておられるのですが、そこに至るまでの何故アイスクライミングなのか? 海からアプローチして氷瀑を登ってまた海から帰るというスタイルにどうして帰
最近、またクラックやトラッドクライミングをやってみたいというお話をいただきます。 もともとフェースのスポートクライミングの前、人工登攀の時代よりも以前は、コーナーやクラックなど岩の弱点を繋いだラインを登っていました。ぐるっと回って以前のクライミングに戻ってきただけなのです。 トラッドクライミングをはじめるといい点☆自分の好きなところに好きなだけ支点がとれる。ボルトルートのように他 人の作ったボルト間隔に縛られず、自分のクライミングに集中できる。 ☆結果、岩質やプロテ
クライミングジムで一番よく聞かれるのが「この課題の正解ムーブ教えてください」って質問です。「実は正解ってないんですよ」 「・・・・」 「設定ムーブっていうのはあるんですが、好きなムーブで登ってもらっていいですよ」って答えるとみんな面食らった顔をされます。 そもそもクライミングって、小さな子供から、大きなオトナまで、同じ壁、同じ条件で遊べる稀有なスポーツなんです。ですから、みんな同じように登れるわけないし、みんな違っていいんです。 かつて昔の職場で課題セットしていた時は