グループレッスンと個別指導、それぞれにメリットとデメリットがある
私は幼少時から小学校5年ごろまで、ヤマハ音楽教室のグループレッスンに通っていた。
グループレッスンで、私が一番感じたメリットは「ほかの人の演奏を繰り返し聞くことができるので、自分に合うお手本を見つけやすい」こと。
音楽を習い始めたばかりのときは、音符を1つ1つ読み、エレクトーンやピアノで1音1音を確かめながら弾くので、曲の全体像をつかむまで時間がかかる。個別指導で先生にお手本を弾いてもらうことはできるけれど、グループレッスンだと他の生徒の演奏も聞くことになるから、曲全体のイメージをつかみやすかったように思う。
練習がつらいときも、友達がいる楽しさやライバル心などに支えられて、続けることができるメリットもあった。
いっぽう、デメリットとしては「自分の出来や不出来に関係なく、一定の時間が経つと、カリキュラムが先に進んでしまう」点がある。考えようによっては「苦手な曲にいつまでも取り組まなければならない」という苦痛が軽かったのかもしれない。ただ、私は受け身な性格だったし、自分のゴールを自分で設定する習慣がついていなかったので「苦手を苦手のままほっておく」ということが積み重なった。
グループレッスンは、「音楽をまずは楽しみたい」「1曲を100点満点のできに仕上げたいよりも、まず色んな曲を弾いてみたい」「ソロ演奏よりもアンサンブルに興味がある」という目的がはっきりしている人が、目的を達成するために参加するといいと思う。
逆に、自己決定が苦手な子どもが「こういう曲をやりたい」「こういう弾き方をしたい」というように「自分で考える訓練を積む」ため、あるいは基本をちゃんと学び音楽を活かした仕事に就けるレベルになるためにはどこかの段階で個別指導を受けたほうがいいと思う。
受験や資格試験にも言える「集団指導」「個別指導」のメリットとデメリット
音楽教室だけではなく、受験のための塾や予備校でも、最近は個別指導というのが流行っている様子だ。集団指導のデメリットを感じている人が多いのかもしれない。
確かに、集団に対して先生が授業をする形式では「知識のインプット」はできるけれど、アウトプットの機会が少ない。
本人の理解の程度や希望にかかわらず、一定の時間が来れば授業が終わるで、やる気がない人は「単に出席しているだけ」になってしまう。「今日はこれを持ち帰ろう」という気構えがなければ、時間の無駄遣いに終わるだろう。
とはいえ、どんな勉強でも「初心者のうちは、先生の言うことを聞き、先生の指導の通りに宿題などをこなす」という段階があっても良い。そして上記のようなデメリットは、本人の心がけ次第でカバーできる。
「心がけ」を身に着ける機会を持つことで、大学に入学したり、社会に出たりする段階になれば、その積極性や計画性を活かしていけるのではないだろうか?
また、勉強に対する意識が高い集団に属することで、よい方向の「ピア効果」が期待できるかもしれない。
(※)なお、負のピア効果というものもあるそうなので、注意は必要である
とはいえ、集団全体がだらけたり、たるんだりしている場合には、成績の良かった人までその雰囲気に引きずられたり、体調不良による欠席でリズムをいったん崩すと、追いつくのが大変になったりするデメリットはあるだろう。
大人になれば「環境を選ぶこと」も自分の責任になる
子どもの間とは違って、ある程度の年齢になれば「やる気がでる環境」を自分で選ぶ責任があると思う。また、環境が整っていなくても「なにがなんでも、この勉強がしたい」と思う何かを見つけられるかも、自分にかかっている。
集団で授業を受ける資格スクールやセミナー、レッスンなどが合うのは次のような人だろう。
●1つの授業やお稽古で「この知識、スキルを身に着けるんだ」と毎回意識して臨むことができる人
●目指す資格やスキル、趣味の世界について知識があまりにもなく、何から手を付けていいか分からないレベルの人
●単に「仲間がいたほうが楽しい」という考えだけでなく、学習中や資格取得後に「どんな人たちと高めあいたいか」を明確に描くことができる人
個別的な指導が受けられる環境を選ぶほうがいいのは、次のような人だろう。
●ある程度の技術やスキルがあるものの、合格点に到達できない何かを抱えていて、集中的な指導を受けたい人
●依存心が強すぎない人。
「自分がうまくできなくても、講師がなんとか考えてくれるだろう」という発想になりやすい場合は要注意