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「わかっているのに動けない」から卒業する本 ——記号設置問題が解き明かす、本当のアファメーションと行動変容の秘密
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はじめに
ここまで本書の構成や主なテーマをざっくりとご案内してきましたが、まずは「なぜ本書が必要なのか」そして「どのような方に向けて書かれているのか」という背景をしっかり押さえていただきたいと思います。
この「はじめに」では、セッションの現場で浮かび上がった「頭ではわかっているのに、なぜか行動できない」という悩みや、その悩みを解決する鍵となる記号設置問題(シンボル・グラウンディング)などについて簡単に触れていきます。
本書を手に取った方の多くは、おそらく「わかっているのに動けない」という停滞感を日々味わっているのではないでしょうか。もしくは、これまでも数多くの自己啓発書やセミナーにチャレンジしたものの、結局あまり変化を感じられなかったり、「三日坊主で終わってしまう」ことを何度も繰り返してきたかもしれません。
さらに、自分が悩んでいる間にも周囲の人はサクサク結果を出していたり、家族やパートナーからは理解を得られずに、「申し訳なさ」「自己嫌悪」を抱えてしまうこともあるかもしれません。こうした感覚に共感できる方のためにこそ、この本は存在します。
ここで取り上げるテーマは大きく分けて五つあります。
まず第一に、何度も出てくる「わかっているのに動けない」ジレンマ。私たちはインターネットや書籍を通じて、すでに膨大な情報やノウハウを得られる時代に生きています。にもかかわらず、それを自分の行動に落とし込めずに苦しむ人が多いのはなぜでしょうか。
第二に、他者への遠慮や罪悪感の問題。仕事の進捗やキャリアアップを考えつつも、家族からの援助を受けてしまうと「こんなに手助けしてもらっているのに、自分はまだ不甲斐ない…」などと感じ、自己肯定感がどんどん下がってしまう。あるいはフリーランスやリモートワークの働き方ゆえに、周囲に理解してもらえないつらさが生まれることも多々あるでしょう。
第三に、環境の変化や多数の締め切りなどが重なり、メンタルが急降下してしまうケース。引っ越し、転職、パートナーとの生活上の調整…こうした大きなイベントがいくつも同時進行すると、どんなにしっかり者の人でも心身ともに疲弊するものです。そして落ち込んだ後は、「もうどうでもいいや」と投げやりになったり、逆に「頑張らねば!」と空回りしてしまうケースもあります。
第四に、アファメーションや自己啓発を試しても腑に落ちないという悩み。声に出して唱える、潜在意識に働きかける——この手のメソッドやセミナーは数多くありますが、「実感を伴わない」「言葉だけが空回りしている気がする」と感じていませんか。
そして第五に、「自分を満たす」と「他者のために動く」のバランスが難しいというテーマ。どのようにすれば自分の欲求やモチベーションを維持しながら、周囲の人に良い影響を与えていけるのでしょうか。
これらの悩みは、一見バラバラのように思えますが、実は本書のキーワードでもある「記号設置問題(シンボル・グラウンディング)」を中心とした視点でとらえると、同じ根っこから派生していることに気づきます。私たちは「頭で理解する」という作業は得意でも、それを「身体感覚」や「腑に落ちる感覚」と結びつけるのが苦手なことが多いのです。言葉やノウハウが実際の行動まで結びつかない理由の一端は、ここにあります。
では、なぜこの「頭でわかっているのに動けない」状態が起きるのか。セッションの場で何人ものクライアントさんと対話を重ねるうち、共通して見えてきたのは「自分だけがこの問題を抱えているわけではない」という事実でした。一人ひとりの置かれている環境は異なりますが、「頭」「情報」「意識」など抽象度の高い領域に比べ、「感情」「身体」「具体的行動」など現場感覚の領域がうまくかみ合っていないという点で、誰もが苦しんでいたのです。
あるクライアントさんがこんな言葉をもらしていたのが印象的です。
「やるべきことは明白で、やり方もわかっています。それこそ手順書やHow To動画も山ほどある。だけど、いざ動こうとすると体が動かないし、気持ちが追いつかない。頭だけ忙しくて、行動に繋がらないんです」
ここには「抽象と具体の断絶」がはっきりと見て取れます。脳内では十分に理解しているけれど、身体感覚が伴っていないために「臨場感」や「腑に落ちる手応え」が持てないのです。この状態では自信も湧かず、「もう少し準備してから…」と先延ばしが習慣化してしまいます。周囲に助けてもらっても、いつまでも取り組めずに自己嫌悪に陥ってしまい、さらに動けなくなるという悪循環に陥りやすいのです。
そこで本書では、「どうやって言葉や情報を“身体感覚”まで落とし込むか」という部分にフォーカスしていきます。特に後の章で詳しく触れる「記号設置問題」の考え方を応用しつつ、アファメーションや自己啓発をすでに試した経験のある方が「なるほど、こうすれば本当の意味で腑に落ちるんだ」と思えるような具体的なワークを用意しました。例えば、通帳の残高を視覚化するときに「桁を実際に書き足してみる」ワークは、その最たる例です。「年収一千万円を目指す」といったゴールを掲げるだけでなく、その数字があなたの中でどんな意味や感覚を持つのかを身体レベルで味わう方法を解説します。
また、それと並行して「自分を優先して動くのはわがままだ」という罪悪感や、「こんなに支援してもらっているのに自分はまだ足りない」という自己否定感にもアプローチしていきます。人によっては、家族やパートナーとの関係性が大きな壁になっているかもしれません。周りからすれば好意や親切心で助けてくれているのに、自分の側はどこか申し訳ないような気まずさを抱えてしまう。これが度重なると、やる気が空回りしたり、自分の可能性を狭めてしまうことにもつながります。
本書の内容は、決して「あなたが甘いから動けないのです」と説教するものでも、「とにかく気合で突破しろ」という根性論でもありません。むしろ、「誰しもこの“頭と身体のズレ”を抱えている」という前提に立ち、そこを「身体感覚のレベルで埋めていく」ための具体策を示すのが目的です。
さらに、周りの人とのコミュニケーションや心の持ち方もカギになります。フリーランスやリモートワークという働き方は、時間の自由度が高い反面、孤立感や責任の集中にも悩まされがちです。締め切りやタスクが集中したとき、誰にも相談できない状況でメンタルが落ち込んでしまうケースは珍しくありません。「誰かに見られている感」を上手に利用して、習慣化や行動の後押しを仕組み化するアイデアも、本書ではしっかり取り上げていきます。
では、ここであらためて「本書を通して得られること」をまとめてみましょう。
一つめは、「わかっているのに動けない」という悩みが生まれる心理的・身体的メカニズムの理解です。記号設置問題をはじめとする理論を用いて、自分がなぜ動けないのかを客観的に捉えられるようになります。
二つめは、「アファメーションを身体感覚で味わう技術」です。言葉だけ、イメージだけで終わらせず、「桁を書き足す」「五感を意識してビジョンを描く」など、日常生活で実践しやすい具体策を紹介します。
三つめは、「家族やパートナーとのすれ違いを減らすコミュニケーション」です。自分の夢やプランを理解してもらうにはどうすればいいのか、支援をありがたく受け取りつつ罪悪感に押しつぶされないためにどう考えればいいのか。そうした人間関係の調整ノウハウも、本書の重要な柱の一つです。
四つめは、「行動を持続させる習慣設計のコツ」。フリーランスであれ会社員であれ、何かを継続するにはモチベーションの波を乗りこなす工夫が欠かせません。具体的な時間管理のテクニックや、モチベーションが落ち込んだときの対処法など、現場で「使える」アイデアをお届けします。
そして最後に、私はこの本を通じて、「あなたは決して一人ではない」というメッセージを強く伝えたいのです。悩みは孤独感からさらに深刻化していくことが多いものですが、実際には同じように苦しんでいる方は大勢います。各章で登場する具体例やワークの数々は、実際のセッションから得た知見や、多くの人が実践してきた方法をベースにしています。あなたが一歩踏み出すための参考として、ぜひ活用してみてください。
これから始まる第一章では、さっそく「わかっているのに動けない」というジレンマの正体を解説していきます。フリーランスやリモートワークの特有の難しさ、そして家族やパートナーに理解されないもどかしさなど、ありのままの現実を見つめつつ、そこからどんな打開策が考えられるのかを見ていきましょう。
多くの方は、この第一章で「ああ、自分だけじゃなかったんだ」とほっとする感覚を得られるかもしれません。それだけでも十分大きな一歩ですが、後続の章では、さらに深く解決策を掘り下げていきます。記号設置問題とアファメーションを結びつける手法や、天岩戸伝説になぞらえた「自分を満たすこと」の意味など、具体的でわかりやすいアプローチをどんどんお伝えします。
この本は、あなたが「頭での理解」を「身体感覚での納得」に変え、それを現実の行動に結びつけていくためのお守りのようなものだ、と著者である私は考えています。もちろん、すべてを一度に実践しようとしたり、一晩で劇的に変化を起こそうとする必要はありません。どの章から読み進めても構いませんし、心に響いたワークやヒントだけを拾い読みしても効果は期待できます。
どうぞ気軽に、しかし着実に、本書の内容を試してみてください。あなたが感じている「行動できない苦しさ」「罪悪感」「情報過多による混乱」は、必ず解消できます。それは、多くのクライアントさんが実際に体験し、乗り越えてきた道でもあるのです。
私は心から、「この本がきっかけで、自分の人生を前向きに切り拓けるようになった」という声をお聞きできる日を楽しみにしています。たとえほんの少しの変化であっても、一度その手応えを味わうと、その次のステップが自然と見えてくるからです。
では、さっそく第一章から一緒に歩んでいきましょう。あなたの抱えている悩みは、そのまま本書を通じて解決への糸口になるはずです。どうか最後までお付き合いください。
さて、あらためて「行動できない理由」を、あなた自身の中から一緒に洗い出してみましょう。私もセッションの中で多くの方から「まだまだなんですよね…」という言葉を何度も聞いてきました。
しかし実際は「まだまだ」なのではなく、「身体感覚をともなう手立てを知らなかった」だけなのだと、私は思います。そのヒントをぜひ見つけていただき、あなたの生活や仕事、家族関係をより望ましい形へと導いてください。
目次でも予告しましたが、第一章では「悩みの正体」にフォーカスします。ぜひ、次の章へと読み進めてみてください。そこでは、あなたが抱えている「わかっているのに動けない」ジレンマがどのような背景を持つのか、具体的に見えてくることでしょう。そしてそれこそが、本書全体を通じて解決したい核心ともつながっていきます。
さあ、準備はよろしいでしょうか。ひとつでも多くの「なるほど」が得られる旅となるように、私も全力でガイドしていきます。あなたの中にある意欲や好奇心を大切に、まずは気軽に読み進めてください。
もう一度強調しますが、「わかっているのに動けない」状態は、あなたが決して怠けているわけでも、能力が不足しているわけでもありません。むしろ、「頭と情報」で全てを解決しようとする現代社会の傾向や、周りとの比較でかき立てられる焦りが、生身の身体との乖離を生んでいるとも言えます。
だからこそ、これから始まる各章で提示されるワークや思考のヒントは、あなた自身が「身体を使って腑に落とす」ための試みとして取り入れてみてください。すべてを真面目に実行しなくてもかまいません。「これは面白そう」「ちょっとやってみようかな」と思えるものだけで十分です。
そこから、あなたの暮らしや行動が少しずつ変化していく感覚こそ、「本当の学び」なのだと私は信じています。
それでは、第一章でお会いしましょう。
第一章 悩みの正体を知る: 「わかっているのに動けない」ジレンマ
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