なぜ公務員試験の大手予備校は、択一試験対策を重視するのか。

多くの公務員試験予備校では、択一試験対策を重視します。
それは、なぜなのか?ということを整理して、ご説明いたします。

択一試験対策は重要です。

ざっと挙げられる理由だけでも、このくらい出てきます。

・一次試験で択一試験を設けている受験先が多いこと、
・公務員試験では併願が当たり前であること
 (どの自治体でも一次試験を突破する必要がある)

・択一対策は準備する科目の種類が多く、範囲が広いこと
 (一人で全て把握することは可能だが、それなりの困難を伴う)

・特に、数的処理対策は、合格点の6割以上をとるために相当の継続的な努力が必要であること
 (受験生が苦手にする分野。これが理由で受験を諦める人もいるくらい)

・公務員試験の受験(準備)期間は、半年~1年程度であり、他に、専門科目や論文試験、面接試験の対策を期間内に行わなければならず、択一対策に充てられる時間に限りがあること

どれも択一対策を重視すべき理由になりますね。

それでは、
予備校は、上記の状況を把握しているから、
択一試験対策を重視しているのでしょうか?

もちろん、そのとおり、といえる部分もあります。
受験産業は、受験生が抱える悩み(ニーズ)に応えるために存在しているからです。

併せて、予備校の特性を踏まえた事情があります。

その答えは、予備校の主なビジネスモデルにあります。

何を言いたいかというと、予備校は、全ての対策が込み込みのフルコースを前払いで購入してもらうことが最も、確実に、利益になる、ということです。

最も利益になるということは、予備校は、それを目的とした広告宣伝・キャンペーンを打つことになります。分かりやすく言うと、早期割引キャンペーンなどです。

これは、
予備校としては、細々と講座の単品販売(バラ売り)をするインセンティブが弱い、ということを意味します。特に、個別指導系サービス(論文添削サービス、模擬面接)は、それが顕著です。

個別科目で単品販売しているケースもありますが、そうすると、模擬面接や論文添削サービス等が付いてこないことが多いです。

これも根っこは同じで、模擬面接や論文添削サービスは、手間がかかる割に利益があげにくいからです。だから、フルコースで申し込んだ方に限定して提供することになるわけです。 

フルコースの半分以上は択一試験対策という予備校が多いと思います。予備校としては、択一対策は講座を大量に作ることができて、作成単価を安く抑えることができます。使い回しがききます。また、数的処理や民法、経済学等の苦手科目を克服したいという受験生が抱える個別ニーズにきめ細やかな対応をすることができます。

フルコースの中心には択一試験対策があり、
だからこそ、
受験性向けには、択一試験を押していく、という構図がそこに存在します。


もちろん、併せて、フルコースを利用することで、分からないところを教えて欲しい(質問制度、個別担任制)、学習スケジュールを把握したい、最新の受験情報を知りたいといったニーズにも応えることができます。

以上、簡単ではありますが、予備校がフルコースを含めて、コースを押し出す理由を説明してきました。
既に知っている人にとっては退屈な部分もあったかと思いますが、
意外と分析している記事をみかけなかったので、この場を借りて整理してみました。

我々は、予備校のビジネスモデル自体を批判するつもりは毛頭ありません。

予備校が個別サービスを中心に提供する場合、コストが高くついてしまい、その結果、提供する商品・サービスの単価(販売価格)が高くなる、という側面があるからです。
(この点が、社会人経験者向け公務員試験予備校が高い主な理由でもあります。)

大事なことは、「納得感」をもって、予備校を有効利用することです。

社会人受験生の皆様が、予備校を上手く活用するためのご参考になれば幸いです。 


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