コロナ×人権 ~教育を受ける権利~
■世界で多くの子どもが教育を受けることができない状況に...
ユネスコによると、新型コロナウイルスの感染予防のため、全国規模で休校措置が取られているのは、4月3日の時点で世界190の国と地域にのぼっているそうです。国連に加盟している国が196ヵ国であることからも世界的に対策に追われていることがわかります。
こうした休校対策により、本来学校に通うべき子どもたちの90%近くにあたる、15億以上の子どもたちが学校に通えなくなっており、その数は1か月前と比べて5倍近くに増加しているようです。
緊急事態宣言を受けて、多くの学校は休校の判断をしていますが、自治体ごとに対応の仕方が分かれ混乱を生じているところもあります。先日高校生のストライキにより茨城県の高等学校が休校になったという事例もありました。
■教育を受ける権利
教育を受ける権利は以下の条文から導き出されます。
第26条
1 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
さて、教育を受ける権利は国家の緊急事態においても保障されるべきなのでしょうか。現在休校を決めている学校は、今後コロナの影響が悪化、もしくは持続することになった際に、どのような判断を行うのでしょうか。そのまま授業を再開できずに、学ぶことができない状況になっていいのでしょうか。山中教授の言っているように、先行きは不透明です。
きちんとした教育が受けられないことは、そのあとの人生にも多大なる影響を及ぼします。たった数か月のブランクでさえも大きいのです。国家としては緊急事態であっても教育を受けられる環境を作ることが求められます。
文部科学省では、臨時休校中の教材をまとめたページを用意しているますが、利用するかどうかは本人や家庭の判断によるため、家庭によって教育環境が大きく異なってしまいます。特に受験生にとっては、そうした教育格差が精神的ストレスにつながってしまうこともあります。憲法26条にもあるように「ひとしく」教育を受ける権利があるのです。
日本の教育は、よく均質的だといわれますが、この緊急事態においてはその均質性が崩壊し、教育格差が開いてしまう事態となっているのが現状です。
フランス・アメリカなどでは、オンライン授業がすでに全国レベルで始まっているとのことですが、日本の場合全く、その環境を整えるだけの水準にはありません。昨年春の時点で、小中学校におけるパソコン等の端末普及率は、5.4人に1人の割合だとのことです。高校においての普及率は昨年冬の段階において、私立学校では44%に対して、国公立では5%ほどと大きく差がついています。現在、こうした端末の「一人一台」の普及に政府は乗り出していますが、全国レベルでオンライン授業ができる環境が整うのはまだまだ先でしょう。
一人一台の端末の普及には財源などの問題もありますが、日本は災害が非常に多い国です。東日本大震災の際にも、被災地の子どもたちは学校を失い教育をうける権利を失うという事態がありました。そうした際に、端末を一人一台持たせることは教育現場において大いに活躍するのではないでしょうか。
わたしも一教員としてこの問題を考えていかなければならないなと感じました。