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ビブラート 永遠の鍛錬

弦楽器弾きの皆さんはどのように「ビブラート🎻」を習得されたか、、とても気になります😊

私は小学〜中学時代に約4年間チェロを師事しましたが、ビブラートを教わる以前の段階でレッスン辞めてしまいました。ビブラートに関しては完全に独学で覚えたので人様に物申すなど恐れ多いのですが、、自分のビブラー歴💦を綴ってみたいと思います。

ビブラートに取り組むタイミングって人それぞれのようですね。「習ったのは7年目、それまでは先生に禁止されてた」というストイックな事例も聞きましたし、1〜2年目で教えてもらえたという友人もいますし、高校・大学オケで先輩の見よう見まねで覚えましたって人もいます、、

私が師事した先生の場合、音程が正確に取れるようになるまでビブラートやってはダメ、、という方針だったようです(後年、親から聞いた話😅)。まあ一理ある気もしますけどね。

【第一期 15~18歳頃】
ビブラートをおぼえるまで


高校オケに入部して先輩方がビブラートをかけているのをみて、「あっ、もうビブラートやってるんだ、すごいなぁ」って思ったんですよね。(今思い返すと、先輩方のビブラートが「きちんとできていた」かは甚だ疑問ですが😅、まあ当時は素直にスゴイと思ってました)。

そこから私の独学ビブラート猛訓練👊が始まりました。。
当時はトルトゥリエやアイゼンバーグのチェロ奏法の教則本を買い、ビブラートに関する記述を読んで、写真を凝視して、「理想のビブラート」を妄想しながら試行錯誤する、って感じでした。今はYouTubeで調べると参考動画が沢山見つかりますけどね。。
通学時間も電車の中で缶ペンケースや定規を使って熱心にエアビブラート練してました(不審者)。
当時は、演奏中は右手の運弓や左手の音程取りなど様々なことを気にしつつ、さらにビブラートを「考えながら」かけて弾いていたので、常に脳内大忙しだった気がしますし、不自然なビブラートでしょっちゅう指や肩を痛めていた記憶もあります。
そして1年経っても2年過ぎてもビブラートを会得できた感覚が持てず、誤った訓練をしているのかもと思うと常に不安でした。

しかし18歳頃、転機はある日「突然」訪れました。瞬間的に「あっ!こういうことか!」という感じで、自然に淀みないビブラートができた(と思えた)んですよね。。例えるなら、補助輪無しである日突然自転車に乗れた瞬間の感覚といいますか、一度できてしまうと、逆になんで今までできなかったのか理解できなくなってしまうような体験でした。。伝わりますかね👀?

ビブラートのコツは正直、言葉で上手く説明できません😅素人がテキトウに説明すべきでない気もするし。。手の大きさや指の長さ、形だって人それぞれですから正解は1つでは無いでしょう。皆様はどうでしたかね?
自分は3年近くかかってしまいましたが、ビブラートの感覚が降りてきた歓びは今でもハッキリ覚えています。
ここまでが第一期です。

【第二期 25歳~28歳頃】 
多様な「変化球」を覚える


ビブラートを覚えた後の落とし穴は、「ビブラートをかけること」がゴールになってしまうことだと思います。
どんな曲でもどんな音にも一様で均質なビブラートをかけて弾いている人ってたまに見ますけど、私自身、数年間はそんな感じだったんですよね。。ビブラートがかかった美しい音色に満足してしまって、それ以上の表現について深く考えることもなく、なんとなくチェロを弾いて酔っていた気がします。

ここでの転機は5年間ほど所属していた社会人オケでの経験でした。入団時にチェロトップ奏者だったTさんのビブラート技術に大きく触発されました。ある時、団の有志数名と室内楽演奏会を企画したことがあったのですが、Tさんはブラームスのピアノトリオ2番にエントリーされていて、本番の演奏が本当に素晴らしかった。持続音で微かなビブラートから入って音を膨らませるように次第に振幅を大きくしたり、ある時は装飾的にお尻に軽いビブラートをつけたり、、1音1音に様々な味付けのビブラートを取り入れていることに気づき、ステージ上のTさんに惹き込まれました。

逆に自分は何も考えてないなと。。ベタッと貼り付けたような単調なビブラートでいい気になっていたなと恥ずかしくなりました😞

しかし本当に良い気づきでした。そういう視点で観るようになると、プロ奏者の様々なビブラートの違いも理解できるようになり、自身も色々なビブラートの工夫を取り入れるようになり、やがて自分が「こんな音にしたい」って意識に身体が自然に連動してビブラートの変化に反映できるようになってきました。
ここまでが第二期てす。

【第三期 28歳頃~現在まで】
 「ノンビブラート」が演奏の軸になる

次の転機は、バロック奏法との出会いでした。
当時、鈴木秀美が主宰していた「ガット・カフェ」というマスタークラス?(アマチュアと思しき人から音大生まで色々な人が参加してました)が不定期に開催されていて、時折足を運んで聴講していました。主にベートーヴェンやビバルディを取り上げていたと思いますが、鈴木秀美はご存知の通り
「ベーレンライター原典版」
「ボウイングは記譜を厳守」
「ビブラート厳禁」
のリアルガチ系バロック奏者の旗手ですので、受講生にも全く容赦がありませんでした😆

ベートーヴェンのソナタ2番で長〜い持続音(下図のEs)がでてきても途中で弓を返してはダメ、ビブラートかけてもダメ、、受講生達は仕方なく?記譜通りにノンビブラート演奏しますが、貧弱でスッカスカのEsにしかなりません😱そりゃそうだ。
(プロ奏者もみんな弓を返して弾く音です)

衝撃を受けた、鈴木秀美のEs

そこで鈴木秀美がお手本を弾く。。衝撃👀でした。
一体どうやったらこんなに瑞々しい音色✨と豊かなダイナミクスでこのEsを一弓で弾けるのか、、と。

もちろん答えは右手の技術にあります。制約を受け入れることで生まれる音楽。初めて知ったノンビブラート演奏の可能性。目からウロコが100枚くらい落ちました。

それからしばらくは鈴木秀美にハマってしまい、CDの演奏丸パクリしてノンビブラートで強弱や緩急の練習したりして、、感化されやすいんですよね〜😅

そんな経験を経て、今でもバロックは基本ノンビブラートで弾いてますね。でもブラームスはビブラートかけちゃうけど。。ケースバイケースですが、自分はどんな曲も「ノンビブラート」を軸にして、ポイントを絞ってビブラートをつける意識で弾いてます。

弦楽合奏や室内楽で「そこはノンビブラートで弾きたいでーす」とか言うと、「えっ、この人何言ってるの👀」って顔をされちゃうこともあるんですよね😅。。
でもわかって欲しい〜ビブラートにこだわった時代を経て辿り着いたノンビブラートの楽しさってやつを。

ホント、チェロはやめられんわ🎻

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