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アイルランドの短編って?
岩波文庫で面白い本を見つけました。
『アイルランド短篇選』。
ぺらぺらとめくっていると……えっ、この作家もアイルランド出身なの!?
また、意外な出会いも見つけられ……実にいい読書体験をさせてもらった本なので、紹介させてください。
解説によると、アイルランドの歴史には、他のヨーロッパ諸国と異なり、ルネッサンスも宗教改革も産業革命も中産革命の勃興もなかったので、長篇小説というジャンルは成長しなかった、とあります。
確かに、ヨーロッパの名だたる長編小説を生み出した諸国は、そのような経験のある国ばかり……
その辺りの関係も調べてみたいところですね。
私の印象に残ったのは、エドナ・オブライエン著『アイルランドの酒宴』。
アイルランドの農家に生まれた少女メアリが、二年前に会ったきりの画家と再開できることを夢見て、パーティーに向かうお話です。
彼女は思い出だけ抱えて会場に向かうのですが……「私に会いたいというひとがここに泊まっているの」という彼女の心は、もう想像の世界に飛び立っています。
どの部屋にあの人が泊まっているのかしら、と思うばかりなのですが……
来てみたパーティにはあの人はおらず、お手伝いとしてこき使われ、何よりパーティは汚い。
しかも敬虔な信徒なのに戒律を色々破ってしまった……
パーティのこと、なんて言って帰ろうと思うメアリでお話は終わります。
他に収録されている作品も面白いので、ぜひ!