
「優しさはリスクに繋がる」と、社会に教えてもらった。
こんにちは。高校5年生です。
優しさはリスクに繋がる。

そう考えるようになったのは、社会人になって1年が経とうとする頃でした。まさか自分がこんな考え方に至るなんて、想像もしておりませんでした。世の中全てがそうだというわけではありませんが、このことを肝に銘じておかなければ損するのは自分だと思いました。
かつて、私は誰に対しても優しくするように教えられてきました。学校の先生も、親も、祖父母も、接する人全員に親切にし、相手の得を優先して動くことが最善だと私に説きました。それが正しいか間違っているかなんて、私には疑う余地がありませんでした。そういうものだと受け止め、それ以外の選択肢があるとすら思いませんでした。
ところが、社会に出た私を待ち受けていたのは、それを覆す現実でした。優しさは時にリスクになることを、社会は私に教えてくれました。
例えば、優しくすると勘違いされるリスクが生じます。「この人は多少雑に扱っても怒らないし、こちらに悪影響が及ぶことはない」と見くびられ、軽く見られる可能性があります。男性には「異性として好意を持っているのか?」と疑われる可能性があります。人として付き合う上で優しくすることは特別なことではないとこちらが認識していても、相手が同じ考えかどうかは分からないのです。
また、優しいのが当たり前になり、普通に振る舞ったことでマイナスの印象を持たれるリスクが生じます。優しくあることが標準になると、普通に過ごすことが優しくない状態に見えてしまい、悪い印象を持たれないためにずっと優しい状態を続けなければいけなくなります。無理している状態にも関わらず、周りはそれが当たり前だと思っている。そんな、優しい人だけが苦しい状態が簡単に生まれてしまいます。
さらに、「この人なら」と足元を見られ、騙されたりひっかけられたりするリスクが生じます。周りにすぐ言いそうな人やネガティブな意見を臆せず言える人には最初から仕掛けないことを、優しい人には仕掛ける人が世の中にはいるのです。
こうしたことが原因で、優しくすると心を病んでしまうリスクが生じます。優しい人は世の中全体にとってプラスの財産であるはずなのに、その優しさにつけこまれる形で他の人に行くかもしれなかったマイナスな感情や不利益が集まってきます。優しさを持ち続ける人はそれを他のところに渡さず溜め込み、自分がどんどん壊れていってしまう可能性があります。
「人に優しくすることで、自分も大切にされる。自分が困ったときに助けてもらえる」と教わってきた私。しかしそれは、私が育った狭いコミュニティでのみ通じるものでした。コミュニティ外の人からは、それは見返りを求める考え方であり、良くないと判断されるものでした。優しさを出す人は見返りを求めておらず、余裕があるから優しさを出している。だからそれに応える必要はない。余裕がないなら優しさを出さなければ良い。そういう考え方なのだと思います。
私はこれに最初こそショックを受けたものの、今は悲しんでおりません。元来、人は利益を追う生き物です。助け合う、持ちつ持たれつという関係が成り立たないと初めから分かりきっているなら、優しさをわざわざ出さないのは当然のことでしょう。むしろシンプルで合理的です。ただ、この考え方のもと生きている人と、従来私が信じてきた考え方のもと生きている人とでは接し方を変える必要があります。変えなければその人との縁が切れてしまったり、自分が損したまま何も得られなかったりする可能性があるからです。私は前者が多いコミュニティの中で今生活しておりますが、学生時代からの知人や家族は後者です。前者に上手く適応していく努力をしなければなりませんが、完全に慣れてしまってはいけず、後者と接するときに前者への接し方を出さないよう気をつけなければなりません。つまり、私は完全に後者を忘れることはできないながら、前者のコミュニティで生きていかなければならないのです。
これは結構難しく、今は正直、どっちつかずの状態が続いております。どっちつかずが1番良くないと分かっていながら、素で使い分けるのは本当に難しいです。私は毎日迷ったり、悩んだり、傷ついたりしながらこのギャップに向き合っております。前者が多いコミュニティで、後者として生きていくのは損することが多く、精神的にダメージを多々受けます。しかし、私は正直、傷ついても良いから後者として生きていきたいです。後者である私の方が私らしいと思うから。優しさを純粋に信じていたいから。自分から優しさを裏切る行為はしたくないから。
長文でしたが、ここまで読んで「何か分かるかも」と感じてくださる方が1人でもいらっしゃったらと願いながら、この記事を締めくくります。

以上、『「優しさはリスクに繋がる」と、社会に教えてもらった。』でした。
最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
次の投稿でまた、お会いしましょう!