大学4年生内定者、給与デジタル払いに思うこと
こんにちは。高校5年生です。
少し前に政府が、資金移動業者の口座への賃金支払(給与のデジタル払い)が2023年に解禁すると発表しました。これについては賛否両論が飛び交っておりますが、まだ社会人として働いた経験がない私はどう考えるか、この記事で書いていきたいと思います。
考えていることは、3点あります。
・いつしか、デジタル払いを強制されるのではないか
厚生労働省HPには、「賃金のデジタル払いは、賃金の支払・受取の選択肢の1つ」「使用者は希望しない労働者に強制してはいけません」と書かれております。ですから、これまで通り銀行口座などで受け取りたい人は、そのまま受け取ることができます。
しかし、私はデジタル払いが当たり前になったとき、「制度の上では口座受け取りも選択できることになっているが、事実上デジタル払いで受け取るしかない」という状況が生まれるのではないかと危惧しております。
そう考える理由は現在、多くの会社が口座振り込みによって賃金を受け取るよう、労働者に強制しているからです。
こちらのWEB記事には、「労働基準法24条1項は『賃金は、通貨で支払わなければならない』と規定していて『通貨払い』が原則とされている」「口座振込による賃金支払は本来、この『通貨払いの原則』に反するが、この原則を厳格に適用すると、使用者・労働者の双方にとって不便なので、厚生労働省令および通達は、口座振込による賃金支払も認めている」という内容が書かれております。
弁護士ドットコムニュース「入社したら「給与の振込先はこの銀行で」と口座を指定されたー社員は拒否できるか?」
https://www.bengo4.com/c_5/c_1100/n_4265/
つまり、労働者は通貨払いを希望することもできるわけです。しかし、現在口座振込によって賃金を受け取っている人の多くは、勤め先から「賃金を振り込むから、口座番号を教えて」と言われ、そうしているのではないでしょうか。
私も昨年末、内定先の企業さんから給与口座の情報を書くアンケートがきました。「口座振込で良いですか?通貨払いもできますけど?」という質問は一切なく、当然口座振込に同意するだろうという前提のもと、アンケートには1週間の期限が設けられておりました。
この状況で「すみません、私は通貨払いを希望するのですが」と言い出せる人はいるのでしょうか?
賃金のデジタル払いは現段階では、賃金の支払・受取の選択肢の1つであって、希望しない労働者に強制することは認められておりません。けれどもいずれは賃金の口座振込のように、「法律ではそう書かれているけど、事実上の取り扱いは全然違う」みたいな状況が作られてしまうのではないでしょうか。賃金の支払い方法に限らず、世の中には同じような状況の制度・ルールが数多く存在します。賃金のデジタル払いも同じ道を辿るのではないかと、杞憂かもしれませんが、心配です。
・使い道がデータとしてはっきり残り、勤務先に知られるのではないか
私はデジタル払いで賃金を支払った後、支払った側の企業がどこまでそのお金の使い道を把握することができるのか、よく知りません。そのためこれは想像でしかないのですが、企業が労働者のお金の使い方、ひいては生活実態を全て把握できてしまうのではないかと考えます。
「企業に知られて何が悪いの?」と疑問を持つ方も少なくないでしょう。確かに、知られるだけなら何の問題もありません。既にクレジットカードや電子マネーでの決済が浸透していて、そういった問題が浮上していないのですから、問題ないでしょう。
ただ、もし企業が賃金の使い道を把握できるとしたら、例えば小売業の会社に勤める人が、プライベートで別の企業の商品を買ったとき、履歴を見た上司から「何でうちの商品を買わないの?」と言われるといった事態が想定できます。縛られているようで嫌ですよね。
そういう状況が作られそうな気がするので、勤務先からは見えない設定になっていると良いですね。
・現金に換えられるのか
私が賃金のデジタル払いに抵抗感を示すのは、これが1番大きな理由です。まだまだ現金が必要な場面はありますから、デジタル払いで受け取った賃金を現金に換えられなかったら、かえって利便性が下がります。
世の中が現金を持っていなくても問題ないシステムになっても、災害大国である日本に住む以上、お金をモノとして保管できないことは大きな不安材料です。私はICカードにいくらか入っていても、必ず現金を持っておかないと気が済みません。デジタルで支払うものは、いつどこで使えなくなるか分からないからです。災害の他にもテロやシステムの不具合といった非常時に頼れるのは、まだまだ現金なのです。
こうした理由から、私は賃金のデジタル払いに慎重な姿勢を見せております。皆さんはどうお考えになりますか?
以上、「大学4年生内定者、給与デジタル払いに思うこと」でした。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
次の投稿でまた、お会いしましょう!