社会人2年目、親知らずを抜いた日
こんにちは。高校5年生です。
つい数時間前のことです。
「ん……ん……痛い……」
横たわったまま左手を恐る恐る上げた私に、歯医者さんが言います。
「麻酔足しましょうか」
私は答えます。
「歯……じゃなくて、ほっぺたが痛いです」
ぐんと気温の下がった11月下旬のある日、私は親知らずを抜きました。親知らずの抜歯は初めてではなく、大学卒業前に抜いて以来2度目。痛かったけれどすんなり終わった記憶があったので、気軽に構えていた私は、30分近く経っても抜けない歯に驚いておりました。
部分麻酔をして横になったはいいものの、色々な器具を突っ込まれても、頬をこれでもかと引っ張られても抜けない親知らず。歯医者さんは手を変え器具を変え、顎が外れるのではないかと心配になる力強さで私の歯と格闘しておりました。だんだん申し訳なくなって、「ごめんなさい……ごめんなさい……」と繰り返すしかない私。いつしか「もう大丈夫だよ、役目は終えたよ、大丈夫だから出ておいで」と親知らずを応援しておりました。
やっとこさ抜けた歯はとても立派な大きさで、「これは抜けないわ」と納得しました。既に嚙み合う相手の歯がいなかった親知らず。役目もないまま残し続ける意味がなく、他の歯の虫歯の原因にもなるかもしれないので抜くことにしたのでした。大学生のうちに一緒に抜いておけば良かったのですが、ここまで連れ添ってくれた歯を最後に渡されて、妙に愛着が湧いてきました。どんなときも一緒だった歯。歯磨きをサボって、大事にしてやらなかった日がよみがえります。ごめんね。
これまで抜けた歯、抜いた歯は全て取ってあります。また1つコレクションが増えました。もうこれで喜ぶ年ではないですが、私が生きてきた証として大事に取っておきます。
以上、「社会人2年目、親知らずを抜いた日」でした。
最後までお付き合いくださって、ありがとうございました。
また、次の投稿でお会いしましょう!