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広告振り返り:~5月総括編~


・5月の広告のあらすじ

・例年通り著作権違反広告が増加

 もう割といつもの流れかもしれないけど、スイカゲームをモロパクリしたどころかBGMも無断利用しているシンカゲーム、スイカゲームとジャイアンと進撃の巨人、またワンピースのゾロをパクったハンターのマジック、もぺもぺの平穏な所だけパクったマジックカード、謝罪文を出しておきながら絵師の絵を直接パクったドット勇者など、著作権がこの世から消え去った世界になってしまった。
 ライトな所でもポケモンの児童向け動画「幸せなら手を叩こう」の構図やBGMを早回ししてパクりつつパルワールド経由でポケモンをパクり続けるタマモンワールド、Hero Warsの広告をパクったTop Heroesなど、指摘しようと思えば割とたくさん出てくる。どうしようもない。
 例年より5月~6月はパクリの季節。昨年はドット勇者がシレンやデジモンをパクったし、一昨年はハンターズソウルがモンハンをパクったのを思い出していただきたい。各社の著作権チェック部隊は5月~6月は警戒していくべきです。

・ルーキー級の注目タイトル

・異世界のんびりライフ

 異世界のんびりライフは見た感じ生成AIをメインで使わず、ダンジョン飯×異世界転生モン娘ハーレムという割と王道の流行りそうな広告を連発して話題を取ってきた。現状は目立った違法感ある広告も無いし、今年のIYAGAMESを真に牽引するのはこれかもしれません。
 もちろん生成AIを使った広告も出しているんだけど、それは明らかに違和感を強めていてAIアンチを釣ろうとしている感が満載なのがまた結構なお点前なんですよね。この調子で行くとキャラの色塗りや仕上げにAIを使って違和感を消しながら使いつつ、生成AIアンチを釣って話題を取りたい時はそれ用の広告も出すと言う柔軟な使い方をしているんじゃないかと勘繰っています。
 何せIYAGAMESが生成AIを使い始めたのはおねがい社長からで、昨年のオタ恋と同期かそれより少し前程度。それくらいの技術を磨いていても全くおかしくないんだよなあ。今後にも要注目です。

・タマモンワールド

 タマモンワールドはポケモンの子供向け映像の構図をパクりつつ有名動画の音源を早回しして広告を出すというロクでも無い広告をやっていたのが注目ポイント。幸せなら手をたたこうじゃないよ。
 何なら魔剣伝説的な茶番もやったし、パルワールドを露骨にパクったような広告もやったし、キノコ伝説もパクった。こうして広告を見ていると、キノコ伝説モデルに魔剣伝説を強く意識したようなブレンド感で広告をやっているように見えるんだよなあ。
 この辺の婉曲なパクりにメスが入る日は来るのか。もっと露骨な奴らがいる以上後回しにされそうなんだよね。

・星矢ジャスティス

 星矢ジャスティスはインターネット上だとイマイチ目立たない上に街中で広告をやっていても「でも聖闘士星矢ならそれくらいやるんじゃね?」という反応が戻ってきがちなので過小評価されている感があるが、普通にこれ海外ゲーの広告だと見ると相当屋外広告をやってますよ。こんなに屋外広告をやった例は他にない。
 その上X上での広告写真をアップしてくれ! という形でのX広告を主軸にしているのは新しいアプローチだと思うし、何だかんだ未だに過剰なガチャ勝負や偽広告に手を出さないでやっているんだから独自性の塊みたいな奴だと思います。自分はかなり高めに評価してるけど、屋外広告ウォッチャーからもネット広告視聴者からも何も言われてない寂しい奴だ。自分は高評価してるんで、今後も頑張ってほしいです。

・ミドル級の注目タイトル

・Temu

 Temuはその広告支配率が話題になり、いよいよ広告市場でもこいつヤバいんじゃねえかという話題が目立つようになってきたのが見どころ。
 THE SECONDという漫才番組での地上波進出も含め、今後はよりTemuの広告を見かける機会が増える物と思われる。nonnotooがやべえ~、D2C(Direct to Consumer)広告がやべえ~、みたいな事を言っているうちに、日本の広告界隈はTemuに支配されつつある。
 結局個人情報を抜かれるという問題点もどこまで改善したのか分からないし、勘弁してほしいよな。

・ラストウォー:サバイバル

 ラストウォーはマックスむらい、かまいたちの広告を継続して出しつつ、MasuoTVやぎこちゃんまでプロモーション担当に起用して勢いが止まらない。
 偽ゲームのバリエーションも日に日に増していき、これだけ原作から離れたバリエーションを出してしまってはコミュニティノートで言う「主となるゲーム内容は全く異なることに注意が必要です。」という指摘に対して自己弁護する事も出来ないだろう。
 たくさん広告をやっている奴がエライという風潮はあるが、その上で新しい偽ゲームをやりまくっているのは一時のEVONYやトップウォーを思い出す重量打線だ。

 あとこのマックスむらいの広告もヤバい。注釈文で「※この動画はイメージです。実際に実施しているキャンペーンではございません。」と記載しているのを良い事に、「ラストウォーで30秒死ななかったら10万円もらえますよ!」という無法の広告を展開。広告における注釈文は完全無敵技なのか?
 もしこれが許されるならここまでの広告鑑賞会も全部茶番というか、全てに注釈文で「開催しておりません」のバリアを張りながら100億円プレゼントも9999京連無料ガチャも紹介出来てしまうよ。やってないという言い訳で何でも主張しても良い世の中にいつなったのか。
 ここに来てちょっとレベルの違う広告をぶつけてきたせいで、夏の猛暑もマイナス30℃に感じるほどの寒気を覚えました。これで良いのか広告。

・ライト級の注目タイトル

・Apple

 5月の広告と言えば炎上したAppleの広告の紹介は外せないでしょう。モノを粗末にしている! という理由で謝罪した割に、結局動画が残っている所を見ると一度出したものを引っ込める事はしなかったんだと意外に思います。こういうの削除するもんじゃないの。
 たかだか物をぶっ壊したくらいでデリケート過ぎると見るか、あるいはやっぱり心が痛むと思うかは知りませんけど、何にしたって7月になっちまえばもう話題は過ぎ去ってだーれも話にすら出しません。二度とApple製品なんて買わない! とまだ思っている人も果たしてどれだけいるのか。
 今後は安直に物をぶっ壊す広告はやらないでしょう。もしまたやったらさすがに話題狙いだと思います。

・あんさんぶるスターズ!!4Pieces企画

 ナイスPなる人物を主軸にしたオーディション企画の広告なのだが、XのトレンドテイクオーバーのみならずYoutube、Tiktok、AbemaTV、ゲーム内企画など多面的な展開を行ってアイドルオーディション番組を再現しようとした広告に驚きました。アイドル関連の話題は不勉強だから適当言えないけど、オーディション番組パロをここまでしっかりやろうとした企画って初めて見たよ。
 いわゆる企画を多面展開して広告にもつなげよう、みたいな動き自体は他のゲームでもやっているだろうけども、それを目立つような形でやれているかと言うとまた違うでしょう。あくまでゲーム内のイベントとして消化されがちな所を、様々なメディアを通して盛り上げようと言う試みは評価すべきだと思います。
 正直自分も全貌がよく分かっていないんだけども、むしろその全貌の分からなさも広告としての魅力だと思っています。広告で全部分かっちゃったらわざわざダウンロードする必要無いですからね。

・マスター級の注目タイトル

・ドット勇者

 ドット勇者はペルソナ5とコラボしている傍らで絵師の作品を広告に無断利用し、ドラクエの意匠をパクったような広告を出していたのが目立った。結局昨年7月に出した謝罪文も広告の一環だったってワケ!
 
全くひどい話だが、これではっきりしたのはドット勇者がコストカット、注目を集めるためならパクリ素材も平気で使う側だという事です。さすがにこれからコラボしようと思っていた所も付き合い方を考えるんじゃないでしょうか。
 とはいえこう騒ぎになってもコラボ出来るところは平気でコラボするもんだし、案外9月の1周年のタイミングには皆この辺の前科を忘れて他のタイトルもコラボしているのかもしれない。喉元過ぎれば熱さを忘れるとは言うが、さすがにツーアウトは看過できねえと思うけどなあ。もし看過されたらその手腕に拍手しちゃうね。

・パニシング:グレイレイヴン

 ブラックロックシューターコラボというお題目で、相変わらずカッコいい広告をやっていたのがパニグレ。しかも野外広告にも力を入れつつPC版もリリースという大盤振る舞いをきっちり広告したんだからすげえぜ。
 パニグレもぼちぼちソシャゲとしては長命な類になってきたと思いますが、広告をやる期間が長くなればなるほど表現の幅が広がり、広告の規模も拡大していっているのを見るに純粋に正統進化を続けている感じがします。どこかで手抜き感とか、マンネリ感が出て来てもおかしくない所なのに、毎回新鮮な広告を見せてくれる辺りマジですごい。
 もちろんゲームとしてはHoyoverse勢の方が人気なのかもしれませんが、広告の良さみたいな所を語るならパニグレの方が大したもんだと思います。7月に広告が本格化したゼンレスゾーンゼロ辺りは広告のクオリティがさらに増しているように思うし、ピンからキリまで広告の進化が止まらないなあと感心するばかりです。

・2024年5月のMVP

 2024年5月のMVPはラストウォー:サバイバルです。
 インフルエンサーの起用数も半端じゃないけども、「※この動画はイメージです。実際に実施しているキャンペーンではございません。」とまで書くのは流石に終わってるよ。いくらなんでも巻き込まれたマックスむらいがかわいそうだと思った。
 結局削除もされずに残っているし、ラストウォー本体のセールスはうなぎ登りな辺りに現代社会はどうなっちまったのかと思わざるを得ないが、何にしてもこれだけ過激かつパワフルな広告をやっているのは注目せざるを得ない。「良い子ちゃんにしてちゃあ飯は食えねえんだよ!」とでも言いたげな現代広告環境に救いは訪れるのか。
 ラストウォーは6月もデカキンとのコラボが控えてる辺りもう留まる所を知らないし、キノコ伝説を超えるビジョンも充分見えてきたと言える。もう行くところまで行きそうですね。

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