広告振り返り:~9月総括編~
・9月の広告のあらすじ
・リアルイベントを活用した広告が増加
9月のゲームイベントと言えば東京ゲームショウは外せないワケだが、これを絡めた形でネット上でも広告しているタイトルがかなり多かった。代表的な所ではGo!Go!マフィン、ホワイトアウトサバイバル、キノコ伝説、インフィニティニキなど。
それ以外にもドゥームズデイ:ラストサバイバルを擁するICGが音楽フェスを開催してみたり、キノコ伝説はキノコ伝説で半周年のファン感謝イベントを開催してオフ会をやってみたりと、かなり海外ゲーム広告の潮目が変わっているんじゃないかという雰囲気を感じる。
こういう現実でのイベントを軸にした広告はこれまで海外のゲームというよりも日本の大企業が話題を取るためにやっていた印象があるんだけど、今後は日本の施設を海外ゲームが借りてガンガンリアルイベントを開催するような広告がメインになるのかも。今後も要注目。
・ルーキー級の注目タイトル
・ちび勇者の伝説
キノコ伝説リスペクターというジャンルは2024年に入って、タマモンワールド、進化!大食い龍、ゼロから勇者、銀竜の騎士たちなど色々あるのだが、ちび勇者の伝説はかなりガッツリキノコ伝説リスペクトが入っているように思います。
著作権違反、〇〇は遊ばない、変なテーマソング、7777連ガチャと言う形で過去のガチャ数を上回るノルマ、生成AI使用、全部やってる。ここまでしっかりやれている例は中々ないですよ。
逆に言えばキノコ伝説すぎて新しさはあんまり感じません。一部魔剣伝説のエッセンスはあるのだが……
・天宮の冒険
9月の広告で衝撃を受けたのはやっぱり天宮の冒険でしょう。
広告枠を購入せず直接DMで広告メッセージを送りアプリをダウンロードさせようとする手口や、たくさんのアカウントを用意して自前でサクラのリプライを送るとか、アカウントが凍結された時用に20個くらい公式アカウントを用意しておくとか、こんなやり方があったのかと悪い意味で驚かされました。やる事やる事全部普通の広告じゃあり得ない。
これが未来の広告戦略になるのかと言われれば絶対にNOだと思いたいんだけど、今の広告界隈からするとこの中の一部くらいはやられそうな雰囲気はあるんすよね。
・ミドル級の注目タイトル
・Myカードローンなど
Myカードローンにせよ他のX系広告にせよこういうテンプレ系広告は多いよな~と思っていたんだけども、数えてみたらMyカードローンは61作、他の同じような広告を加えてみたら132作なんだからそりゃあよく見るよなって感じだと思いました。マージから夜ふかしと一緒。
とはいえマージから夜ふかし周りとの違いは、1タイトルでたくさん出すのではなく違う業者が似たような広告をいっぱい出しているという面。これにメンズクリアとかも含めるとXの広告は本当に面白くなくなってきているから広告消したくもなるよね。Google Adsが無かったら即死だった。
・鳴潮
映像美で勝負するタイプの広告ではゼンゼロと別方向の完成形を見せてくれたのが鳴潮。カートゥーンアニメ調の3DCGが魅力であるのがゼンゼロであるとしたら、こちらは3DCGアニメの完成形であるように思います。
しかし途中の涙や水滴の表現はアニメ的な表現であるように感じられるし、よくもここまで映像表現を進化させてくれたな、と驚きを隠せません。傑作映像はゼンゼロだけじゃあないんだぞ、という所を見せつけてくれました。これもまた2024年の広告の上澄み勢と言って良い。
・ドゥームズデイ
今回の広告はドゥームズデイがすごい……というよりはICG MUSIC FESが面白いって話なんだけども、実際それが面白いんだからしょうがない。ゲーム会社が突然音楽ライブをやるって中々ないでしょ。
取り上げる割に実際にイベントに行ってないのであんまり詳しい事を書けないのが口惜しいけども、キノコ勇者、あるいは昨年の社畜の逆襲は今だブーム周りから始まった歌モノの流行ってのが音楽ライブにまで発展してくるんだから大したもんだなあと思います。
・ライト級の注目タイトル
・リクナビネクスト
ニコ動風広告というのは割と使われがちなアプローチだけども、リクナビネクストのニコニコ動画風広告はフィクションながらニコ動っぽさが強めの広告として注目すべきなんじゃないかと思います。
自分が思うにニコニコ動画のコメントらしさというのは、多数のコメントがありつつもそのコメントに一定の統率が取れており、それに登場人物の台詞を紐づけた上で大した意味が無い様なのではないかと思います。コメントが好意的か否定的かというのはあまり関連性が無く、単に登場人物が言っている事を大量に羅列しているだけでもニコニコ動画らしさってのは出てくるんですよね。
無論自分が見た範囲でニコ動っぽいだけなので、もっとニコ動らしいニコ動風広告は今後も登場すると思います。しかしこのリクナビネクストのニコ動風広告はかなり完成度が高い部類として、一度見て欲しいなと思います。
・ゼンレスゾーンゼロ
凝った映像を主軸にしたゼンレスゾーンゼロを再びピックアップしたんだけど、毎月毎月新しいアプローチを仕掛けられるのは一体どういう事なのだろうか? 映像表現のバリエーションという面では、他の広告の追随を一切許しません。
もうこれに関しては広告本編を見てくれとしか書きようが無いんだけど、正直ここまでクオリティを維持し続けているのは驚異的としか表現できません。そろそろテンプレの広告っぽい事を少しはやるのかなと思ったらやらないし、こういうゲームにありがちな無闇にガチャを推すような広告も出てこない。逆にガチャ推しが無いまま進むというのも恐ろしい話だと気付くべきだと思いますよ。
・マスター級の注目タイトル
・Hero wars
Herowarsも何回取り上げとんねんって話なんだけど、突然相撲部屋が舞台の物語が始まったり、いわゆるローグライクゲームのような表現が始まったりで、相変わらず一切見飽きない展開が目白押しなんですよね。
正直Herowarsも表現の手数が多すぎるタイプというか、ウソをつきつつもクオリティが高すぎる勢の一員にして良いと思います。普通の企業じゃゲーム本編に登場しないミニゲームを延々と広告し続け、かつ表現を試行錯誤し続ける奇行に予算が割かれるってそうそう無いと思いますよ。
それだけこの広告にも効果があるのかもしれないけど、それにしたってこいつはすごいよ。
・キノコ伝説
キノコ伝説は東京ゲームショウでの活躍が目立ったが、実はそれ以外にもファン感謝祭的なリアルイベントを開催したり、コラボも頻繁に行ったりと活躍が止まりません。そろそろ止まっても良いんじゃねえかというレベル。
リアルイベント広告ブームってのもよく分からんけど、最終的に広告の形態がオフ会などの体験形式になっていくのはどういう理屈なんでしょうか。大掛かりな事をやっていると確かに注目を集めるだろうけども、それをやるコストに見合う結果が出るのか?
むしろその結果が出るかを今ICGもキノコ伝説も模索しているのかなあ、なんて思ったりします。もしこれが上手い事行ったのなら、もっと大がかりな広告キャンペーンが始まるかもしれないぞ。
・2024年9月のMVP
2024年9月のMVPは『天宮の冒険』です。
Xのダイレクトメッセージに直接告知用のメッセージを飛ばすスパム戦法というのは少なくとも過去に見覚えの無い代物だったし、もしかして自動的にスパムとして分類されているDMの中にも見たことの無いゲーム広告があったんじゃないか? と思ってしまうような可能性の獣だったと言えます。
その上、天宮の冒険に対する投稿に対して直接お詫びリプライを飛ばすとか、バズってるゲーム関係者の投稿に対して宣伝リプライを飛ばすとか、とにかく広告にしては距離感がバグっている。このバグった距離感を生み出しているのも生成AIによる和訳、日本語メッセージ生成による賜物だと考えると、ある意味で天宮の冒険もAI世代ならではの新しい広告の形だと言えるかもしれません。
それに現代のいいねをしたら勝手にDMが送られてくる投稿や、執拗に広告を表示しまくるシステムだって見ようによっては迷惑メールやスパム扱いされたって何も文句は言えない。現代の進化し過ぎて利便性を損なう広告とスパムの違いは何か、という哲学的な問いを投げかける問題作であるとも言えるのではないでしょうか。
今後これを参考にしてスパム広告が増えたりするのかも……いや増えられても困るな……
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