広告閲覧TIPS:広告につくコミュニティノートは対策出来るのか!? 大体2ヶ月くらい経った広告と背景情報の今を探る
広告閲覧において使えそうな知識を紹介するだけの企画、広告閲覧TIPSへようこそ!
今回はX広告(旧、Twitter広告)を揺らした新機能、コミュニティノート機能とプロモーション投稿の関係性を探っていく。
当然視聴者側からしたらウソ広告、誇大広告は指摘されて然るべきだと考えるだろうが、広告を出す側からしたらちょっとでも変な事をすれば指摘が来る、もしかしたら嫌われているだけでウソの指摘が入るのではないかと戦々恐々としているかもしれない。
そこで今回はコミュニティノートについてのおさらいをしつつ、この機能で実際にウソ広告が対処できるのか、またウソ広告はこのコミュニティノートにどんな対処をしているのか、という所をまとめていければと思う。
・そもそもコミュニティノートって何?
何となくX上で見かけるようになってきたコミュニティノートであるが、その詳細は一体何なのか。まずはコミュニティノートの基本情報のページを引用しつつ、どんな機能か確認してみましょう。
コミュニティノートの仕様に関して充分に把握していて素人の解説なんぞ読みたくないという方は、お手数ですが目次から「X広告とコミュニティノートの関係性」に飛んでください。
もし間違いがあったらコミュニティノートあるいはコメントで指摘してくださいね!
・コミュニティノートの意図
そもそもコミュニティノートとは、一般ユーザーが誤解を招く可能性があるツイートに対して「背景情報」として情報を追記出来る、というシステムです。
この背景情報には主にソースとなるインターネット上のリンクを追記されており、さらに一般ユーザーからの志願者であるコミュニティノートメンバーからの評価も入っている。よって、「根拠なく適当に指摘をする」あるいは「追記された背景情報にデマがあるけど高評価を得てかえって変な情報を拡散してしまう」みたいなリスクは低くなっているようです。
実際2ヶ月ほど様子を見ていてデマにデマを重ねる、あるいは比較的正しいらしい情報に虚偽を乗せるような事案は見ていないし、おふざけ感のあるノートも見かけたけど次に見た時は削除されていましたからね。現状はこの辺の自浄作用も働いているように見えます。
・コミュニティノートの評価基準は「役に立つかどうか」
コミュニティノートは多数決ではなく、評価の相違する協力者の中で「役に立つか、立たないか」という尺度で決まっているようです。つまり個人の主義主張が強すぎるようなコミュニティノートは弾かれる……らしい。
これは現状機能しているように見えるが、将来的に組織的な共謀で役に立つと強引に決められるような事態は発生しないのかな。そう思っていたんだけど、その辺は賢いX運営の皆さまの力で対策出来ているように見える。
このnoteはあくまで広告界隈がどうコミュニティノートと向き合っているか、という所を書きたいだけなので詳細は省く。正直この辺の話は半可通で色々書く方が誤解を招きかねないので、以下のリンクを各自ご確認ください。自分は軽く読んだ感じ良さげだとは思ったけど、明確に良いと断言出来るほど理解は出来ませんでした……
・基本的にコミュニティノートにX運営は介入、干渉しない
ここは地味に重要なポイントで、コミュニティノートはルールに違反していない限りX運営が介入する事はありません。
要は悪質な広告ツイートがあった場合、コミュニティノートで指摘するだけだと別にX運営は何も動かない可能性があるという事です。本当に配信停止して欲しい場合はX運営に「広告を報告」してください。
ちなみに広告を報告したい場合は、画面右上の「・・・」をタップするとミュートやブロックの下に出てきます。
・ノートの採点、評価付けはオープンソースである
コミュニティノートはオープンソースらしいので、気になる方はGithubから確認してみてください。
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・X広告とコミュニティノートの関係性
お待たせしました。ここからようやく本題、コミュニティノートと広告の関係性を見ていく事にしましょう。
・ゲーム広告は全般的に逆風
ゲーム広告ジャンルに関しては、すぐに広告の内容が真か偽かを確認出来てしまうので特に背景情報を記載しやすいと言える。
特に厳しいのがゲーム内でちょっとだけ遊べるタイプのミニゲーム広告すら「パズルゲームだけは遊べません」とツッコミが入ってしまう所である。これは昨年流行した広告スタイルではあるが、ゲーム内で遊べるミニゲームを広告することで広義にはウソでは無い、という方便も通じづらくなった。
もちろんもっとひどいウソのある広告は容赦なく背景情報が記載されるようになったので、多くのゲーム広告は現状に即した広告を余儀なくされてしまった。
・専門知識で対処できる広告もコミュニティノートが有効
投資など既存の知識を勉強していれば誤りが分かるような広告の場合、コミュニティノートを用いて先手を打つ事が出来る。
RENOSYの広告の場合、広告主のホームページを確認すると誤解を招く可能性がある広告だと分かるのも大きかった。この時はコミュニティノートを広告につけられるという事が分かった直後だったのでわざわざ調査してくれたのだろうが、今後この機能がごくありふれた物になった後は確認する人が登場するかは疑わしい。
一部のコミュニティノートは確認する専門家先生の善意で成り立っている事はゆめゆめ忘れないようにしたいですね。背景情報を書いている人間が偉いのであって、それを盾に広告に野次を入れる人は何も偉くありません。
・真偽を証明しづらい広告はコミュニティノートの影響が少ない
確認した範囲だと、情報商材系の広告、副業紹介系の広告はコミュニティノートがついている場合が極端に少ない。少なくとも自分が確認する範囲ではコミュニティノートがついていなかった。
理由を考えてみると誰でも怪しいと分かるから殊更にやってみようと思う人間がいない点、そして背景情報を獲得しに行くような汚れ役が現れづらい点が挙げられる。
もしニュースサイトやYoutuberなどが潜入取材などでこのサービスに関する情報をまとめた場合はそれが背景情報として掲載されるだろうけども、金にならないからそんな事をわざわざ取材する所も今更ありません。よって信頼に足る情報がいつまでも上がってこず、絶対怪しいのは皆分かるけど誰も背景情報を記載出来ない広告が誕生してしまう。
現状は皆分かるなら良いだろうという結論になるが、将来的に新しい情報商材の手口が生まれたりした場合はコミュニティノートが機能しない広告が生まれるリスクがあるので注意したい。
似たようなパターンだとこういうショッピング系広告も誰かが買って試して一次情報を作成する、あるいは何か不祥事が起きるまではコミュニティノートをつけられない。
基本的にはゲーム広告がローリスクに真偽の裏取りが出来るだけであって、それ以外の広告に関しては誰かが高い金を払って商品を買うとか、誰かが大損するとか、そういう犠牲を伴わないとコミュニティノートは出来上がりません。
その辺を把握しないで「クソ広告にはコミュニティノートがついて当たり前!!」みたいな思想を抱くのは止めておいた方が良いと思います。今でこそ露骨に中華製品のショッピング広告ばかりだからコミュニティノート無しでも困らないかもしれないけど、将来的に日本製品でコミュニティノートがつくような不具合品が出た時は足元をすくわれる可能性が高い。
・多数リリースされている広告にはコミュニティノートの漏れが発生する
これは機能全般に対する問題であるが、1ツイートに対して1つのコミュニティノートしかつかない。
よって、問題を抱えた広告が同時に多数リリースされている場合は1つの広告にコミュニティノートをつけても他に背景情報がついていない同じ問題を抱えた広告が発生する。
また背景情報を記載する人も有限であるから、今後物量作戦で大量の嘘広告がリリースされた場合は記載漏れが起きるリスクも増大する。しかも複数アカウントで内容が酷似した広告が多数リリースされるパターンはクローン系ショッピング広告やメンズクリアの広告で既に発生しているので、このリスクは早晩起こる可能性がある。
問題のある広告を規制するとしたら、まず複数アカウントから同一企業、同一商品の広告を出稿する事を禁止した方が良いと思います。
・広告はコミュニティノートに対して無力なのか?
広告はずっとコミュニティノートに辛酸をなめさせ続けられ、イメージ映像ですらまともに告知出来なくなってしまうのか。もう右も左も電通プロデュースになり、正義のさわやかダンス広告が跋扈するインターネットになるのか?
だが、広告も苦しい苦しいと嘆いてばかりはいられない。それどころかわずか2ヶ月にして指摘への攻略法を見つけた広告達も存在する。
ここからは現状見つかっているコミュニティノートへの対策を紹介していこう。
・配信前である間に嘘ゲーム広告を行う
これはウソの広告への締め付けが強くなってきた2022年12月頃から編み出された手法であるが、配信前のゲームであればそもそもファクトチェックが出来ないのでどんなウソ広告でも本当のゲーム内容かどうか確かめようが無いという盲点が発見されている。
配信前の間に嘘ゲーム広告で話題を取っておいて配信後は普通にゲーム内容を紹介する広告にシフトする、という手口は割とポピュラーなテクニックになりつつあるので、安全に嘘ゲーム広告をやりたい! という人は頭に入れておいても良いでしょう。
これはシュレーディンガーの広告戦略と(勝手に)名付けました。今後もこういう広告が増えていくかは分かりませんが、配信前のゲームの広告は話半分に見ておくと良いでしょう。
・注意書きを入れる
非常にシンプルな話、注意書きを入れればコミュニティノートを入れられたとしても「いや、そう注意書きがありますけどね?」で回避できる。
特にウォーキングデッドサバイバーは「NOT ACTUAL GAMEPLAY(実際のゲームとは異なります)」と書いたうえで嘘ゲーム広告をやっているので、むしろ映像と実際のゲームと異なっていない方が記述に偽りアリという状態になっているのが一枚上手。
もちろんそう書いていてもコミュニティノートが付く可能性はあるけども、もう開き直って「実際には遊べません! イメージです!」と言うのは正解の一つだと思います。健全な広告にも「※表現はイメージです」って記載自体は小さくあったりするんだからさ。
・チェックが入らない深夜帯に広告する
プロモーション界隈では広告に効果的な時間は21時~22時だとか、あるいは朝の10時が一番良いとか、もしくは学校が終わる15時~16時、部活が終わる18時~19時が若者に向くとか、色々なセオリーが語られています。しかし、闇の広告においては深夜1時に広告を投稿して人目を避けるのも一つのセオリーです。
何故ならルイヴィトンのパチモンの広告なんかコミュニティノートをつけるまでも無くアウトなので、真っ当な人間が広告を見ていないタイミングで広告をやっておく、というのも納得できます。もうコミュニティノートどころの話では無いけども、どうしても日の下を堂々と歩いているような連中に見せたくないような広告なら深夜に広告するのが向こうの手口っぽいです。なので、投稿時間帯が露骨に深夜な広告はちょっと警戒して見ましょう。
ちなみにこのパチモン広告は3種見かけましたが朝には3種ともアカウントが凍結されていました。それはそう。
・無視する
2022年広告四天王が一人、EVONYが取ったコミュニティノート対策は一番シンプル。かつてXがTwitterと呼ばれていた時より受け継がれている鉄の掟、「クソリプは無視」です。
実際はクソリプでは無い普通の指摘なんだけども、「広告なんてイメージ映像使ってるに決まってるだろ! コミュニティノートなんて知らねえよ」というスタイルで突き進んで、しかもいいねやRTの数も増やしているEVONYはバケモノです。全身に銃弾を受けながら前進出来るだけの胆力があるなら、コミュニティノートをガン無視するEVONYスタイルも一つの手ではあります。
何ならEVONYはリプライに「@CommunityNotes」などとツッコミを入れられるくらいに嘘ゲームの割合を増やしているので、実際にゲーム内で遊べるピン抜き広告を控えて嘘ゲーム広告を増やしているのはあえてコミュニティノートでのツッコミ待ちをして話題を獲得しようという戦略的な選択である可能性が高い。そしてそれがハマっているんだから大したもんです。
広告トップランカーはコミュニティノートという逆風すらも追い風にする。この大胆な知略に震えるしかないね。
・Xでの広告を避ける
もっとシンプルに考えるなら、そもそもX以外でも広告は出来るんだからXで広告するのはやめよう、というのも一つの答えです。
おねがい社長はTiktokでの活動が活発になりつつあり、Tiktok側でも見かけるAIイラストを活用した広告を積極的にリリースしている。YoutubeやTiktokなどに軸足を移した方が良い、と判断するのもまた良いと思います。
正直自分が見ている分には面白い広告を見ることが出来れば何でも良いので、野暮なツッコミが入るXよりもTiktokやYoutubeの方が実力が出せるのであればそっちに移るのも許す。けどXから他SNSに移動するならどこで広告してるかだけは教えてくださいよ!
・まとめ
いかがでしたか?
最初は自分もコミュニティノート機能によって広告は廃れてしまうのではないか、面白くない広告が増えてしまうのではないかと思っていたが、改めてまとめると意外と各自攻略を進めていてびっくりしました。
コミュニティノートは広告を出す側が試される機能に見えて、実は広告を見る側も試される機能でもあると再実感しています。今後もコミュニティノートと上手く付き合って、楽しい広告ライフを送っていきましょう。