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広告振り返り:~7月総括編~


・7月の広告のあらすじ

・広告の対象であるゲームのクオリティが超インフレ

 これまで当noteではゲーム本編はよくある放置ゲームだけどウソの広告のクオリティだけは異様に高いとか、何ならゲーム本編より広告の方がよっぽど凝ったゲームデザインなんじゃないかという広告を多数取り上げてきた。しかし2024年7月はそれが逆転し、異様にクオリティの高いゲーム本編の地力でぶん殴るような広告が多数登場した。
 
具体的には2D-3D演出の光るドットと美麗アニメーションで攻める鈴蘭の剣、AFKアリーナの世界観をそのまま3Dに起こしたような演出が見どころのAFKジャーニー、Hoyoverse期待の新作にしてアニメのような3Dモーションが映えるゼンレスゾーンゼロなど、大作ゲームと大作広告が嵐のように飛んでくる期間だったなあと思います。

・悪質な広告も超増加

 とはいえ、光が強ければ闇もまた濃くなるのが世の常である。明らかに色違いのフリーレンとリンクの服を着たサイタマがゼノブレイド2みたいな構図でポーズを取っているゼロから勇者は、これでも広告としてイケてしまうのかという驚きを持って迎えられた。
 
他にもAIを用いてトトロをパクった異世界のんびりライフや、通報されづらいバナー広告で万華鏡写輪眼を使ったピギーポケ、その他情報商材っぽさの強い怪しげな広告など、ヤバそうな広告がてんこ盛りでした。恐ろしい月よ……

・ルーキー級の注目タイトル

・鈴蘭の剣

 鈴蘭の剣はちょっと触った上で書くけども、ちゃんと広告通りの演出がゲーム内で遊べるタイプの高クオリティ広告です。大作を広告すればそのまま大作広告になるという王道の広告戦略を走ってきました。
 日本語が少し怪しい側面があるとかそういうケチの付け方は出来るかもしれないが、内容が良いせいでそういう所でしかケチがつけられなくなっているだけですからね。こいつはすごいぞ。
 実は肝心のゲーム本編はあまりにも時間がかかるという所から引退してしまったんだけど、また時間を作ってやりたい出来です。

・ゼロから勇者

 ゼロから勇者は既存作品からのパクリも話題であるが、広告戦略もキノコ伝説のパクリをやってきたのがすごい。ここまでパクリまみれの広告をやっているのは中々無いよ。
 そもそもキノキノも遊ばないという既存のキャッチフレーズをパクっていくし、謝罪広告もパクるし、歌モノ広告もパクったし、既存作品のパクリで初動の話題を取るやり口も一緒。オリジナリティがあるのは本編に登場するか分からない三国志の武将紹介だけというどうしようもなさです。
 もしやこれが次世代のキノコ伝説になってしまうのか? もしこれがキノコ伝説並に流行ったらいよいよ日本はナメられて終わりじゃないか? と色々危惧していましたが、結局大して流行りませんでした。良かった良かった。

・ミドル級の注目タイトル

・借金減額診断

 借金減額診断はもう後半のくだりは一緒なんだけど、前半のつかみがどれだけ面白いかにかかってる感にかかってますよね。今回はたまたま藍染の「あまり強い言葉を使うなよ……弱く見えるぞ……」のパロディが来たから自分に刺さりました、ってだけです。
 とはいえ様々なパロディをやってるってのはまあまあ大事な事だと思います。メンズクリア、借金減額診断、その他ゲーム広告、どこだって広告する事はそうそう変わらないんだから、つかみの6秒でどう摑むかという所に心血を注ぎ始めるのは理解できる流れだと思います。
 絶対に飛ばせない5秒に命をかけろ!

・マッチングトン・マンション

 マッチングトン・マンションは久々に現れたとんちき映像系の動画広告です。いきなりペンギンの出産シーンを見せてきたり、パンダの親子と人間の親子がいきなり崖から落ちそうになってたり、ハチャメチャな展開が見どころ。
 こういう荒唐無稽な広告は昨今あまり見かけなくなっていたんだけども、たまにやられると面白くてしょうがないんですよね。どんどんやってください。

・ライト級の注目タイトル

・ゼンレスゾーンゼロ

 ゲーム内容が良くて広告内容も良かったゲームの代表格はやはりゼンレスゾーンゼロでしょう。他の海外産広告にありがちな日本語訳の不出来さは一切感じないし、演出は並の広告を全て押しのけるレベルの出来で、初動での広告数も充分過ぎるほどある。完璧な1ヶ月でした。
 商売的な表現やモラル的な側面は健全な広告特有の厳しいレギュレーションを通過しているにも関わらず、一つの映像を複数種に切り抜いて広告の数を稼いだりファンメイドを取り入れたりする裏の広告特有の技法はきっちり取り入れている所はもっと評価されるべきだと思います。いわゆる現代の倫理的にダメな広告の中でも広告技法的に褒められる所は取り入れつつ、社会的に適切な表現の範疇に収めて取り入れていく貪欲さはゼンゼロの特に優れているポイントの一つ。
 
あんまり悪い所が見当たらないのでどうにかケチをつけようと思い始めたのに、ケチをつけようが無かったと言う凄まじいタイトル。これは真面目に参考にした方が良いと思いますよ。

・マスター級の注目タイトル

・パニシング:グレイレイヴン

 元祖、凝った映像のプロと言われ続けたパニグレの広告も新作がございます。この3DCGアニメもストーリーはよく分からないけど超凝ってるし、ゼンレスゾーンゼロとは違う方向性に魂を感じる広告になっております。
 映像を凝れば良いってもんではないと思うけども、それにしてもゼンゼロやパニグレレベルの映像広告が延々と流れてたら日本の広告で「ちょっと映像凝ってみたんですよ~w」レベルじゃあ太刀打ちできないんじゃないの。
 広告の映像美はどこまで進むのか、今後にも期待がかかります。

・キノコ伝説

 キノコ伝説は柏木由紀という大物芸能人とコラボし、マッシュルコラボや8月以降に始まるデジモンコラボなど、コラボでプレイヤーを集めるフェイズに入った。
 とはいえ、あの何とも言えぬPVやテーマソングが面白かったキノコ伝説に対して柏木由紀はあまりにも高級すぎた感があります。定番ネタを芸能人にやってもらう流れ自体はおねがい社長と同じなんだけども、さすがに短いスパンで目立とうとし過ぎて飽きられてしまった感が否めません。
 大体キノコ伝説に求められていたのは柏木由紀の名曲カバーじゃなくて、六艾司 Liliceとゼーノが送る新曲ですよ。有名芸能人を使えば何でも良いのだ、という訳じゃあない。

・おねがい社長

 おねがい社長は桜井日奈子とコラボしていたんだけど、1人の芸能人で広告を作りまくっててびっくりしちゃったんですよね。12作も桜井日奈子1人で広告してるんだからすごいぜ!
 
コラボする芸能人やタイトルの数は問題ではなく、たった1人としかコラボしていなくてもいくつもの動画をだせばよい。実は6月にも桜井日奈子で広告をしていたので、2ヶ月同じ芸能人を使用するやり方は他のコラボも見習った方が良いんじゃないですかね。
 やっぱり社長はすげえや!

・2024年7月のMVP

 2024年7月のMVPは『ゼンレスゾーンゼロ』です。
 広告の映像のクオリティで殴るスタイルというのはパニグレ以来かと思うんだけども、こうして見るとゲーム内容を紹介するだけで自然とすごい広告になるを地で行くトップランカーだなあと思います。
 とはいえこういう中身のゲームが良いおかげでメインの映像がすごすぎるタイプの傑作広告が出ると、中身のゲームはそうでもないけど広告の映像だけすごすぎる勢の広告技術も発展するのがこれまでのパターン。かつてのウマ娘ショックのように、ゼンゼロを真似したような広告が今後増えていくかに期待がかかる。

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