![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/123993663/rectangle_large_type_2_f56977fd3f72d91b6d9eb87a4f7a3f3b.png?width=1200)
『5つのネイトの作り方外伝』5つのネイトにおけるシナリオコンセプトの作り方
1.はじめに
これは「ゲームにかかわる人が自由な記事を作る Advent Calendar 2023」12月7日の記事です。
https://adventar.org/calendars/9118
他の方の記事も面白いのでぜひ!
はじめまして、ねこどらソフトのシナリオライター河野と申します。
今回はスマートフォン向けRPG『5つのネイト』のシナリオコンセプトをどう作っていったか、を通してゲームコンセプトとシナリオをすり合わせるとゲームとして面白くなるかも?というお話をしたいと思います。
<『5つのネイト』って?>
『5つのネイト』は、ねこどらソフトとして作った初めての作品です。
スマートフォンで遊べるソロプレイのRPGです。(現在もろもろあって、Google Play Storeからは消えてしまっています……そのうち復活させます)
ニンテンドースイッチにて『5つのネイト+』が好評配信中です!
5つのネイト+ ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
![](https://assets.st-note.com/img/1702029673768-7rj6n1PaUQ.png)
「コマンドくるくるシステム」という独特な戦闘システム、そして「アシュレーとネイトの二人の兄妹がネイトにかけられた呪いをなんとかするために旅をしている」というわりにゆるふわなシナリオが魅力のRPGです。
みなさまに評価され、Google Indie Game Festival 2021でTop20になるという名誉もいただいた作品です。
<ねこどらソフトの話>
![](https://assets.st-note.com/img/1702029714667-Cqfukc16Uw.png)
本題に入る前に、少し自己紹介とチームの紹介です。
ねこどらソフトは2人組の小さなチーム。
一人はシナリオライター兼雑用のわたし、河野。
もう一人はゲームデザイナー兼プログラマーのせっき~。
デザイナーがいないのはわりと珍しいかもしれません。
さらにシナリオ専属のメンバーがいるという点は、インディーズチームとしてはちょっと特殊だと思います。
ぶっちゃけただのタダ飯喰らいではという疑惑。
いえいえ、ちゃんとシナリオライターをおいている意味はあります。ゲームを宣伝するときに有効なのはイラスト。これは間違いないのですが、そこからファンを定着させるには“物語”が必要です。
キャラクターのイラストだけでもファンはつきますが……やはり物語によって形つくられたファンは強いとそう信じています。
もちろん、ゲームそのものをすすめるための没入感や、モチベーションにも役立ちます。
じゃあ、どうシナリオを作るのか? それが次のお話です。
2.いよいよ本題
<プレイヤーはシナリオを読まない>
いきなり見出しで記事を全否定です。
これは私が言われて衝撃的だった一言をそのまま書いてます。
「そもそもプレイヤーはゲームをしたいからゲームをする」
と続けられて、なるほど……と実感した一瞬でした。
そのため、シナリオがプレイヤーのゲームプレイを阻害することだけは避けなければなりません。
その上で、企画コンセプトと合致した面白いシナリオを提供するのが私のねこどらソフトでの立ち位置です。
<シナリオを書く前に……>
まず、シナリオにおいて大事な要素は2つ。
・主人公の動機(スタート)
・目的の達成(ゴール)
とにかく大事なのは最初と最後!これさえ書いてしまえば、途中にテキストが無くても成立します。
この2つを考える時に大事なのが、
「ゲームのコンセプト」と「キャラクター(もっというと主人公)」
『5つのネイト』の初期段階では「スマホで遊べ、ちゃんと完結する中規模RPG」かつ「独自の戦闘システムが搭載されていること」、そして「大きなお話のプロローグである1話を書くこと」の3つがコンセプトとなっていました。
いやまてと。1つ目と3つ目矛盾してない? と今でも思うのですがまあ要するにちゃんと1作で起承転結をつけつつ、連載っぽくまとめろってことだったのでしょう。
とりあえず、コンセプトである「独自の戦闘システム」のためのキャラクターを構築します。
ただし、予算の都合上キャラクターをたくさん出すことは不可能です。
じゃあ、1人を複数人に分身させるか……がネイトのスタートです。
実は「コマンドくるくるシステム」に合わせてネイトの性格が設定されたのではなく、ネイトの「5人の人格がある」という設定から「コマンドくるくるシステム」が生まれていたわけです。
![](https://assets.st-note.com/img/1702032026042-dpgOTP8gkJ.png?width=1200)
※逆の手法で、システムからキャラクターを作るときにはそのシステムが成立する理由を考えるといいと思います。
もっと言うならば、「そのシステムをなぜ主人公だけは利用できるのか?」というところですね。
せっかくの主人公、設定を盛ったほうがいいですし、コンセプトと合っていれば、多少矛盾があっても結構みんな納得してくれます。
そして、そのシステムがシナリオの大目的と噛み合うようにしてしまえばコンセプトは完成です。
ネイトの場合は、「人格が分裂したのは呪いのせいである」という設定にし、その「呪いを解く」というのを目的としました。
ただし、呪いを解いてしまうと話が終わってしまうので、今回はあくまでその呪いを解くヒントが得られた! どまりにしておかないとダメなので、手がかりを掴んでおしまい! という形にしよう。
これで大枠は完成です。スタートとゴールが完成してしまえば、あとはゴールに進むようにイベントを配置してやればプロットは完成です。やったね。
というような感じで『5つのネイト』のシナリオコンセプトは作られました。この記事を書くために当時の企画書やらアイデア帳を見直していたのですが、思ったよりシンプルに考えていたようです。
複雑に考えるよりはえいやっ! でやってみるといいかもしれないですね。
気軽に途中で変更できる、というのもシナリオのいいところです。グラフィックとかプログラムは気軽に変更できないですからね。
3.最後のまとめ
ゲームにおいてのシナリオは「シナリオ自体を見せること」よりも「プレイヤーのモチベーションを保たせるための舞台装置」と考えています。
だから、ゲームが進んでるなら「ゲームが進んでますよ」と伝えてあげるテキストを書いておくとプレイヤーは頑張ろう! ってなりますし、なにかひとつ主人公に動機を持たせておくと、それだけでクリアへのモチベーションになると思います。
アクションゲームとかでも使えると思うので、短いテキストでも、ちょっと差し込んでください! なぜならシナリオ好きの私はそういうのが見たい! という話でした。
<最後に>
と偉そうに言っているものの、『5つのネイト』においては後で思いついてしまったプロットを無理やり入れたことによって、全体のストーリーとしてはやや失敗をしている部分があります。シーンとしてはとてもいいんですけれどもね。
この話はまた次回に書こうと思います。
<おまけ>
さて、最後に少し現状のお話をしたいと思います。
現在ねこどらソフトは、『錬魂のレナフィーネ』という運営ゲームをリリース、運営しています。
1話完結の『5つのネイト』とはまた違ったコンセプトでシナリオが書かれています。
記事を読んで、ねこどらソフトに興味を持たれたなら、ぜひ遊んでみてください!
![](https://assets.st-note.com/img/1702032093435-sx45So7QrU.png?width=1200)
薄幸の少女です
以下は『錬魂のレナフィーネ』のストアリンクです。
Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.nekodorasoft.lenafine
App Store: https://apps.apple.com/jp/app/id6447618995