高校入試頻出テーマ史の攻略5 食文化
本日もよろしくお願いいたします。
久々に今回は頻出テーマ史の攻略を行いたいと思います。実際の本数は今回で4回目となります。
今回は2022年で頻度の高かった食文化をテーマにまとめていきたいと思います。
前年度の予想問題でも記事にしてます。大体の出題形式が揃ったので、今回はその解析と学習対策について話していきたいと思います。
最後までお付き合い、よろしくお願いいたします。
■食文化 出題形式
それでは、食文化をテーマにしたときの出題形式ですが、大きく分けると3種類は作れます。
以上の問題があり得ると思います。歴史のテーマで食文化が出てきますが、地理分野でも出題があります。では、それぞれの問題でどのようなポイントがあるかを見ていきましょう。
①地理総合問題
地理総合分野で食文化の問題が出る場合、世界地理での出題が中心となります。
世界の料理に関する話題、宗教との関係、生産物、SDGsなど多岐にわたって出題されることが予想されます。2021年の大分県では外国の料理をテーマに様々な形式で出題してきています。その中でも、宗教に関わる問題、モノカルチャー経済などとの関連で出題しています。各国の代表的料理を出すが、出題は料理とはあまり関係ない問題もあります。
なので、地理分野で出題される場合、宗教・モノカルチャー経済、国際貢献(開発途上国の自立に関する問題)などを中心に出題を見ておくといいでしょう。もちろん、公民分野との関連性、環境問題、農業との関連も出題は予想されます。フードマイレージに関連した問題、六次産業化、環境問題との関連も見ておきましょう。
②歴史総合問題
歴史総合で出題される場合、庶民の食生活・貴族の食生活、農作物の生産、近代の食生活など多岐にわたって出題されることが予想されます。
2021年、2022年については大分県、広島県、長野県などで出題がありました。貴族の食事と関連するのは当時の租税制度です。主に、調について理解していれば問題ありません。史料として木簡を用いられたら8割は調と思っていいと思います(短文記述問題で出題することもあります)。農法なども聞かれることがあります。関連テーマとして、肥料・産業史(商品作物も注意がいる)と関連して出題することも想定されます。
つまり、考えられる関連問題は、租税制度→古代は調、近代は地租改正、現代は農地改革などと関連させて覚えていくといいでしょう。これを一つ一つ単品で覚えようとするから正答率が上がりません。また、農業との関連でいくなら農具・生活も見ておきましょう。この意識が高まることで、一つ一つの点が線とつながるのです。
③三分野総合問題
三分野総合問題は上記のものに加えて、食品ロス、フェアトレードなども関連してみておくといいでしょう。
食品輸送・環境に関する問題で、モーダルシフトも近年出題されます(食品に限らない)。関連する連絡橋も確認しておくといいでしょう。
無形文化遺産の和食も見ておくといいでしょう。
これを見るだけでも、どのような形式で聞かれてもいいように関連知識として整理しておくといいでしょう。
■2022年広島県の入試解析
そこで、2022年の広島県で出題された問題(大問3、問6)を解析していきたいと思います。この問題に関してですが、問題の使用許諾は得たうえで使用しています。また、著作権が関わる資料などについては使用できませんので、予めご了承ください。
それでは、さっそく解析したいと思います。
このような問題です。広島県では恒例の自由記述型の記述問題で、近年、他府県でもみられるようになった問題です。
上記の資料をもとに、条件は以下の通りです。
この問題を答えるには、条件を見ること、それぞれの条件に当てはまる資料に関する関連知識を活用すること、が回答の近道になります。そう。この問題は関連知識が弱い人は十分な記述ができない可能性があります。
が、救いは、自由記述のため、部分点はもらいやすい点です。資料Ⅳをみて、資料Ⅴとの関連性をうまく見つけると回答がしやすいです。
この問題は資料Ⅴの内容を吟味したうえで、資料Ⅳに当てはまる課題と関連させた方がやりやすいかもしれません。
一つ目の課題は、ファストフード店やファミリーレストランが各地で開店していることで、外食が日常化した、とあります。ということは、家庭で料理をする機会が減る、ということにつながっています。資料Ⅳではこの内容に関連できそうなものは一見ないように思いますが、ファストフード店やファミリーレストランを利用するという逆転の発想をすると、AやDは当てはまりそうな気がします。
そう、ファストフード店やファミリーレストランで郷土料理を提供すること、地元の農家が生産したものを使った料理を提供するなど、地産地消に関連することも可能ではないでしょうか。
二つ目の課題は、電子レンジの普及や冷凍食品、インスタント食品により、食生活は便利になったが、家庭内で調理する機会が減った、とあります。つまり、高度経済成長期で食生活が便利になった一方で、家庭内で調理する機会が減ったところもあります。
それを解決するには、BやCは使えると思います。Bでは地域の祭りや年中行事で食を共にする、とあるので、このようなときに家族が集まって食事を共にする、ということが書ければいいでしょう。Cでは、健康に留意した商品の開発などを提案する、ということでいいと思います。そして、自分で調理する機会を増やすことも考えるといいでしょう。
あとは問題の条件に合うように記述していけばいいでしょう。
上記に解答例は出していますので、参考にしてください(Bのみ教育委員会発表のもの、残りは吉野の模範解答)。
書き方の基本例としては、①課題→②和食の特徴→③具体的な対策や方法、という感じで記述できれば十分です。そして、字数もそこまでかからないので、60~70字程度でまとめられるようにしましょう。
なお、この問題の正答率ですが、完全正答が31.0%、部分正答が23.9%でした。トータルでも54.9%となっています。自由記述の問題であったとしても、問題の条件などを外したら点数は出ません。
■テーマ史は関連知識・背景知識を活用する
テーマ史の学習だけではないですが、近年の社会の入試問題は単純な知識問題、という形式は減りました。ということは、一言でいうと、単純な一問一答形式の問題では太刀打ちができなくなる、と思ってください。「社会は覚えれば何とかなる」という安易なアドバイスには騙されないようにしましょう。
そのうえで、色々な物事に疑問を持つこと、様々な角度で問題を見ること、などを行ってください。ワークを写して解いた体にするのは非常に危険です。入試は短期記憶ではないのです。長期的な記憶を行わないといけません。そのことを意識して、テーマの知識も入れていくと学習効率は上がってきます。
何よりも、近年の歴史はテーマ史出題が7割弱です。単元別の学習だけでなく、テーマ史も意識した学習を行いましょう。