中学社会紙面講義 円高・円安
本日もよろしくお願いいたします。今回は時事的要素としても非常に重要な円高・円安といった為替相場(為替レート)について紙面講義を行いたいと思います。
来年の公立高校入試でも入試必須の内容です。この紙面講義を見て円高・円安の仕組みを理解しましょう。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。
■為替相場(レート)の教科書頻度・入試ランク
まず、紙面講義を行う前に、為替相場(為替レート)の教科書ランク、出題頻度の入試ランクを見ていきたいと思います。なお、入試ランクについては正答率を公表している及び判明しているところの個所に限っていますので、非公表のところでも出題はされています。
ここからもわかるように、為替相場、それに関する語句については教科書に必ず記載されています。そのため、本来は入試ランクが高くなければならないのですが、見ていただくとわかるように、入試ランクはBもしくはCランクです。Bランクといえば、正答率は40~59%の間です。Cランクだと正答率は20%~39%の間です。つまり、正答率はそこまでよくないのです。
※注意:上記のものについては、為替相場に分類したものを円高・円安に変更する可能性はあります。ここについては問題などを吟味したうえで判断しなおしますので、上記のランクが移動することもあります。
■正答率が低い理由
では、なぜ正答率が低いのでしょうか。その理由としては①円高・円安の仕組みが十分理解できていない、②ここの単元の学習が学校などで十分に行われていないなどの理由があります。
ですが、2023年入試に関していうと、出題頻度が非常に高くなります。理由としては、時事的要素として、日本の未曽有の円安が起こっていることがあるからです。その関係で出題が増えると予想されます。
ただし、ほとんどの問題は円高・円安の仕組みがわかれば十分に対応ができます。注意点は計算問題が入ります。
今回の紙面講義では円高・円安の仕組みを中心に、実際の入試問題を使ってどう対応したらいいか、まで講義します。なお、使用している問題については入試問題の使用許諾が得られたところを使っています。
■紙面講義 為替レート
①円高
1ドル=100円が1ドル=90円になるように外国通貨に対する円の価値が高まることを円高といいます。輸入中心の企業に有利で、輸出中心の企業には不利になります。また、海外旅行に行く人にも有利になります。
②円安
1ドル=100円が1ドル=110円になるように外国通貨に対する円の価値が低くなることを円安といいます。輸出中心の企業に有利で、輸入中心の企業には不利になります。海外旅行に行く人には不利になります。
これらは東京書籍の「新しい社会 公民」の教科書を基にまとめていますが、ほかの教科書や参考書でも同様の説明はします。そして、それに関する作業問題も記載されています。
外国為替については円高の場合は外国為替の量が多くなるためドル安に、円安の場合は外国為替の量が少なくなるためにドル高になります。
この内容がわからない人は以下の汎用知識を理解しているかがポイントです。インフレやデフレに関しても応用は効きます。
上記のことがわかれば基本的なものは十分です。計算問題でも同様にできると思いますので、類題問題などでしっかりと解くと理解も高まります。
■実際の問題を使って
では、実際に入試問題を使って出題形式・攻略ポイントを特別に教授します。なお、下記に取り上げている問題は問題使用許諾を得た上で使用しています。資料などの著作権が関わるところは掲載していません。
①2022年福岡県公立入試問題より
資料より、円安であることが分かれば、上記のまとめをそのまま使えば問題ありません。つまり、円安だと円の価値は低くなります。そうするとアメリカでの価格は安くなるため、輸出中心の企業に有利になります。
為替レートの問題ですが、円安の説明を空欄補充で答える問題に過ぎないのです。
そしてこの正答率ですが、驚愕の26%です(Webで公開されています)。つまり、円安の内容が確実に理解できていなかったことアメリカの価格に関する内容が理解できていなかったこと、完答であることなどの要素もありますが、それにしても正答率が低いです。
この形式の問題ですが、正答率ランクはBといいましたが、Cに限りなく近いBランクなので、難問扱いになると思います。
となると、学校では円高・円安の内容が十分な指導が行われていない恐れもあるのでは、と思います。
②2018年鹿児島県公立高校入試問題より
今回はグラフを見て解く問題ですが、文章を見ると、そこまでグラフは必要ではありません。Aのときを例として、100バレルの計算をすればいいです。
問題は1ドル=112円、1バレル=54ドルのとき、100バレルのときは5400ドルになります。1ドルが112円なので、5400ドルのときには5400×112=604800円となります。AからBに変化したときは円の量が減っているため、円高になるのは間違いありません。そうすると、輸入には有利になります。よって、正解はアとなります。
正答率は47.4%と2人に1人が正解しています(鹿児島県も正答率はWeb公開されています)。これはこの形式の問題では正答率は高い方です。
これも前半はバレルに対する金額を答える計算問題ですが、後半の選択肢は円高の内容をそのまま答える問題になっています。
■円高・円安が絡んだ問題は
今回は許諾が得られていた問題が上記の2題だけでしたが、見てもらうとわかる通り、円高・円安の内容を空欄補充で問う問題が中心になっていることがわかります。問題によっては、数値の計算問題が出題されることもありますが、大体の形式は上記の通りになります。形式が変わっても出題形式はほぼ同じです。計算問題が絡んだ場合は落ち着いて解くといいでしょう。
先ほども触れましたが、この問題は、時事的要素として2023年では出題数が増えることが予想されます。なので、今のうちに円高・円安の内容、為替相場の内容・演習をしっかりと行いましょう。
なによりも、上記の前提知識を確実に理解できているか、が正答率を分けるポイントになるでしょう。このように、語句だけ覚えても丸暗記しても出題形式がわからなければ、正答率は上がりません。そして、社会の語句を覚えるにしても、何をどう覚えないといけないかを、問題などを通じて理解できなければ意味がありません。ただの丸暗記は効果があまりありません。
■今後の紙面講義では
今後の紙面講義ですが、現在集めている入試データ、入試問題解析も含めて解析したいと思います。そのため、出題ランクなども絡めた上で解説していきたいと思います。