好きなアルバム 一枚で消えたものの名曲満載の90年代モータウン系グループMind,Heart&Soul「同タイトル」(1995)
90年代のソウル(R&B)界隈では、Boyz II Menや、Jodeci等のブレイクをきっかけに雨後の筍のようにボーカルグループが数多くデビューしました。今回紹介するのは、そんなボーカルグループブームの中、老舗モータウンからデビューし、一枚きりでシーンから姿を消したMind,Heart & Soulというグループのアルバムです。
1枚で消えたけどかなり本格的に売り出そうとしたグループ?
1枚だけで消えたグループだけに、ネット上でも情報は非常に少ないです。分かっているのは、リードボーカルの一人であるDaveon Overtonは一部のソウルミュージック好きに支持されているSmoke Cityという80年代に活動したグループ出身で、エグゼクティブプロデューサーが何とモータウンの設立者のBerry Gordy、アルバムの多くの楽曲を自身もモータウンに在籍、そしてSmith Connection、Lovesmithといったファミリーグループやソロシンガーとして活躍し、Jackson5やBobby Brown等にも楽曲を提供しているMichael Lovesmithが手掛けています。ちなみに日本人では小比類巻かほるも彼の曲をカバーしています。
Michael Lovesmithは知る人ぞ知る存在ですが、メロディーメーカーとして才能が有る人物ですし、Berry Gordyはモータウン全盛期の60年代ならともかく、90年代にプロデューサーの仕事を受け持ったのは調べる限りかなりのレアケース。ソングライターとして定評の有る人物、そして設立者がわざわざ重い腰を上げてプロデュースした・・という点を考慮すれば、その力の入れ具合が伺えます。
その歌と楽曲
そのがっつり歌うボーカルスタイルは、やはり圧倒されるもの。レーベルの先輩、Boyz II Menが比較的大人しめでクール、優等生的イメージだとすると、もっと彼らは威勢の良さを感じさせ、往年のボーカルグループの熱量を好むソウルファンを満足させるもの。かといってJodeciのようにサグいというか、バッドボーイ的なイメージは無く、まさに「良いとこどり」とも言えます。そして楽曲は、ソウルミュージックだけでなくポップスとしても優秀な楽曲を多くヒットさせたモータウンだけに、ソウル、R&B好きだけでなく、ポップス好きにも親しみが持てるキャッチーな曲が並びます。
注目曲を挙げれば、がっつりした歌いっぷりが楽しめ、Boyz II Menの「End Of The Road」を彷彿とさせる語り入りのタイトル通りの泣きのバラード、「Tears」、往年のソウルシンガー、Teddy Pendergrassのような太い声のボーカルがリードする「Make Up Your Mind」、当時円熟を極めていたニュージャックスウィング風のノリノリのサウンドで、個人的に一番好きな弾ける爽快感が魅力の「Just Say When」、どこかそこはかとなく哀愁を漂わせるも、ポジティブな明るい旋律が魅力の「We're Kickin' It」辺りでしょうか。60年代と70年代のモータウンのヒット曲であるTemptationsの「My Girl」、そのTemptationsとThe Undisputed Truth競作だった「Smiling Faces Sometimes」のクオリティの高いカバーも収録されており、そこからはこのグループがモータウンレーベルの往年のグループ達の正統的後継者である事を示唆しているように感じます。
しかし、これだけ魅力的な歌、曲を歌うグループであったものの、冒頭でお伝えした通り彼らは特にヒットも出す事なく姿を消してしまいます。このまま埋もれてしまうのは勿体ない・・という事で今回アルバムを紹介した次第です。
ダウンロード出来るサイトは現在有りませんが、Amazonでは輸入盤が安値で販売されています。
Just Say When(おすすめ)https://www.youtube.com/watch?v=86acXOEdd5U
Tears https://www.youtube.com/watch?v=Q2BgBVTVM1Q
We're Kickin' It https://www.youtube.com/watch?v=I4cjPt6d38I
Amazon https://www.amazon.co.jp/Mind-Heart-Soul/dp/B000008NOT
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