100日後に死ぬ父。53日目。
父は歴史好きである。テレビで歴史の番組特番なんかがあると、父はそれをちゃんと録画して、休みの日にお菓子を食べながら見ている。父が特に好きなのは日本の戦国時代で、逆に海外の歴史にはあまり興味が無い。
僕は歴史が不得意で、歴史番組にはほとんど興味が無い。けれど「新選組」だけは何故が好きになり、大河ドラマや本を見たり、子供の頃は新選組のテレビゲームをして遊んだりもした。父も新選組は好きなので、当時は二人で大河ドラマを楽しみに見ていた。最近では新選組のブームが終わったのか、ドラマや特番もやらないので、僕は歴史に触れることは一切なくなってしまった。
今日は父が楽しみにしている歴史の特番が二つもあるらしく、ひとつは録画をしないで居間のテレビで見ていた。今日の織田信長についての特番で、父は割ともう知っていることばかりなのか、そんなに真剣には見ていなかった。おやつ代わりのカルパスを食べながら、ソファで横になっている。
僕も居間で何となく特番を見ていて、信長が死んだのが49歳であることを知った。ちなみに父は53歳である。かたや燃え盛る城で舞う者と、かたやそれをソファで横になって見ている者を見ていると、世の中は随分と変わったのだと実感する。