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【製造業 改善事例】現場で始める赤字からの脱却ノウハウ

「ものごとを簡単に伝える」とは、大切な考えです。セミナーで難しい言葉が並び、気づくと寝ていた。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか?

難しいことを難しいまま伝えることは、逆に簡単なことです。ものごとを簡単にするこそ、実力だと考えます。

製造現場も日々状況が変わり、難しさそのものです。

  • お客さんのオーダーが変わる

  • 気温や素材によって製造条件が変わる

  • 従業員の人数やパフォーマンスが日々変わる

今回は、工程をとても簡単にして、赤字脱却の目処付けをした改善事例をお伝えします。できるだけ簡単にお伝えします。ぜひ自社でも取り組んでみてください。


改善職場

会社概要

業 種:製造業
地 域:関東
製 品:カーペット
従業員:90人

出会いのきっかけ

ご紹介

抱えていた経営上の問題

  1. 経営が赤字
    近年の資材高騰と値上げ交渉の停滞もあり、赤字経営にありました。

  2. 在庫過多
    原材料、仕掛品※、完成品とともに過剰気味。棚卸し在庫は、売上で2ヶ月分に及び、キャッシュフローを悪化させていました。
    ※仕掛品(しかかりひん):工程間の在庫

  3. 改善策の空振り
    システム導入、ロボット導入など投資していましたが、赤字解消には至っていませんでした。

問題を引き起こしていた原因

すぐに改善効果を実感していただくため、原因を以下2つに絞りました。

生産の都合を優先した効率化

オーダーの取り方の影響もあって、現場は「作りだめる」傾向がありました。受注の振れ・製品による工数差で、長年現場は振り回されています。
納期遅れを起こさないため「作りだめ」は、できるだけ効率化しようとしていた、現場の知恵でした。

後工程が作りだめるため、前工程はさらに作りためることになります。後工程がどのぐらい作るかわからないため、多めに準備していたのです。
こうして、現場には仕掛品の山ができていました。

いつしかお客さんのオーダーに合わせることより、現場の都合が優先されるようになってしまっていました。

工程ごとの組織

カーペットは、おおまかに4工程からなっていますが、チームは工程ごとに形成。前後工程で分断が起きていました。
したがって、生産性も工程ごとに評価され、

「会社利益にどのぐらい貢献したか?」
よりも

「今日どのぐらい多く作ったか?」
が評価されるようになっていました。

結果的にこれも、在庫過多を引き起こします。

また副産物として「組織間の対立」という余計なものまで作ってしまっていました。

(前後工程で対立している会社さん、多いのではないでしょうか?)

解決の方法は「●●●化」

解決は徹底的に「見える化」に取り組みました。見える化とは、管理者が【パッと見てわかる】ことが重要です。

作りだめが起きていたということは、ブレーキ機能が働いていないということ。管理者が正しくブレーキをかけられるよう、2つの見える化を行いました。

【前準備】問題を先送りにする

ただしここで重要なことは、すべてのラインにおいて改善しない、ということです。重要な問題は先送り。まずはモデルラインを作りました。

【改善1】みんなで1つの情報を見る

まずは、生産管理板の導入です。4工程のうち、もっとも生産能力が低い熱溶着工程(カーペットの起毛とゴム基材を接合)をペースメーカーに決めます。

ここに生産管理板を2枚設置しました。

生産管理板
  1. 今日の生産予定/実績

  2. 明日の生産予定

前工程は、2の生産管理板を見て準備するため作り過ぎを防止できます。これで、仕掛品の量は最大1日分になります。

また、毎時の生産結果も記入されるため、「なぜ遅れたのか?」の原因解決が進むようになります。

【改善2】流れをつくる

工程別管理になっていたときは、乱流。つまり、製品の流れが枝分かれしていて、まさに複雑そのもの。簡単にするため整流化を行いました。

整流化

これにより、工程の分岐合流がなくなり、管理しやすい工程になります。

そして、モデルラインは設備、治具、作業者と全て同じ色で統一。これで、チームワークがうまれ、目標に向かって動き出すチームができます。

実際の設備

評価方法を、「どのぐらい多く作ったか?」から「チームでいくら儲けたか?」へ変えることで、勝手に利益を生む組織を作ることができます。

改善効果と今後の予定

決算は数カ月先のため最終利益はわかりませんが、単月では黒字化することができています。

生産現場においても、棚卸し在庫が低減。特に仕掛品は、30%になっています。

副産物として、整流化したチームではチームワークが生まれ、みなさんの表情が明るくなった気がします。

今後はモデルラインの結果を、全ラインに応用。そして、さらに棚卸し在庫を減らし、未来に向かう原資を作り出していきます。

まとめ

仕事は本来楽しいもの。複雑なものを簡単にすることで、会社利益だけでなく人々の働きがいに貢献することができました。

工場改善サービス株式会社では、お客様と一緒に働きやすい環境づくりをつくっていきます。答えは持ち合わせていません。一緒に作品づくりをしていただける仲間を募集しています。

無料工程診断も行っています。もしよければお問い合わせください。
https://koujou-kaizen.co.jp

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