情報は止まっていない!それを読み取るには?
同じ情報を見ても、得られる情報の質に違いがある。それは、その情報を見る視点の高さの違い。では、どんな風に見ればいいのか。続編です。今回の段階では、情報を固定された文字情報として受け取るのではなく、あたかも生き物のように、止まらない、動きのあるものとしてとらえる方法です。
初回の記事はこちら。
前回のおさらいをすると、情報を見る段階には、これくらいの段階があります。
【情報を見る段階】
1:情報の内容
2:情報の根拠と解釈
3:情報の出所(それを述べたのが誰か、どんな人か)
4:情報を出した動機(なぜその人はその情報をこの形で出そうと思ったのか)
5:他の情報同士の関連性
6:情報同士の関連性の全体構造(情報の語られ方の特徴)
7:自分がその構造とどういう関係にあるか
8:自分がその情報をどう受け取ったか(自分の受け取り方の構造・癖)
9:その情報を受け入れることで自分がどう変化したか
10:自ら、もしくは自らの変化がその情報に与える影響
11:変化した・変化する情報の内容
12:変化した・変化する情報全体の動的な構造(自らを含む動的な全体構造)
前半1〜6は、簡単に言えば、ある情報に紐づく情報や、その情報を発信している人(団体)の特性や、意図までを含む、大きな情報の構造を見ることで、一つの情報からより大きな情報を手に入れる方法を、段階に応じて説明しました。
(その記事はこちら。)
今日は、後半、7〜12を少し説明します。
7:自分がその構造とどういう関係にあるか は、自分の立場や思考傾向、態度や行動が、その情報構造とどういう関係にあるか、ということを含めて見ていく段階です。その情報に、どう自分が巻き込まれ、どう対立し、どう取り込まれているのかを見ていきます。
8:自分がその情報をどう受け取ったか は、自分の受け取り方の癖や構造によって、その情報をどう受け取ったかを含めて見ていく段階です。7がより客観的であったのに対して、8はより内面的な部分です。自分が情報のどの部分を、どう解釈し、どう心の中に取り入れたか、です。
9:その情報を受け入れることで自分がどう変化したか は、その情報に触れたことで生じた自分の変化に目を向ける段階です。自分を一つの情報と見て、その変化を見ていきます。情報自体が自分に受け入れられると、変容していくことにも気づく段階でもあります。(そしてそれは、全ての人の中で起こっています。)
10:自ら、もしくは自らの変化がその情報に与える影響 情報は、ある固定された文字情報で、基本的に変化しないはずだ、と思われています。しかし、実際は、その情報が自分に作用を与えることによって、その情報の妥当性は変化します。それは情報に触れた人は、その情報に触れる前には戻れないからです。よく観察すると、自分がそれを受け入れた後、その情報構造が変化することがわかるはずです。自分が、その情報の一部になるからです。それは受け取った人が多ければ多いほど、広範囲・大規模に生じます。
11:変化した・変化する情報の内容 は、その変化を実際に観察してみる段階です。この情報が発信される前後で、自分を含めた世界という情報空間がどう変化したかを観察します。
12:変化した・変化する情報全体の動的な構造 は、それらが常に動いている様子を不断に観察し続ける段階です。11までの段階を丁寧に観察できた時、世界という情報空間は、いっときも止まらない、物凄い勢いで変容する存在であることに気づくはずです。それは自分が観察していない間にも動き続け、自分がそうだと思っている世界は、ほとんどの場合、次の瞬間には存在しません。その動きの中に、自分もいる、という気づきが持てた時、変化する世界自体を、変化しながら掴む可能性が出てきます。
以上が、一つの情報からいかに深い情報を効率よく手に入れるか、という方法論です。
実は、情報世界は動き続け、変化し続けているのですが、それを変化のまま捉えるということは、なかなか難しい。言葉にすると時間が止まってしまうからです。しかし、それをできる限り動きの中で、動きのままで捉えられるようになった時、少し世界の見え方が変わり、私たちは知識を持つということに少しだけ謙虚になれる気がします。
次回は、一つ具体例をあげて、このプロセスをもう一度辿ってみたいと思います。
質問も受け付けています。