千葉県松戸市のマンホール
「橋と日本人(上田篤著 岩波新書 絶版)」は、いい本である。
「橋」という構造物を一つの手掛かりに展開する、非常にユニークな切り口の日本文化論が書かれている。
この本によると、完全な姿で現存する世界最古の橋は、フランスにあるガールの水道橋とされる。紀元前14年に、ローマの政治家アグリッパによって架けられたのだそうだ。
一方、日本でもっとも古い橋は、沖縄県宮古島に架かる池田橋で、その歴史はせいぜい400年から450年ほどにすぎない。
なぜ日本に橋という文化がそれほど発達しなかったのかというと、一番の理由は、国土が急峻で、かつ降水量が多いために、橋を架けたくても当時の土木技術では、水流や土砂流の激しさでままならなかったのだ。
そのかわりに、各地では渡し船が広くもちいられてきた。
舟が、もっともてっとりばやい渡河の方法だったのである。
千葉県松戸市のマンホールには、松戸市と葛飾柴又を舟で結ぶ「矢切の渡し」がデザインされている。
また、オーストラリアのビクトリア州ホワイトホース市と姉妹都市なので、コアラがデザインされたマンホールもある。
コアラと矢切の渡しが同時に鑑賞できるスポット。
尚、オーストリアにはコアラはいないので、あしからず。