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短編小説「子猫を助けてトラックにはねられた俺は、まさかの異世界転生!?~言語の壁は大変!~」

おれはどうしようもないクソニートだ。

そう思いながら、いつものようにベッドに寝転がって天井を見つめていた。
外は夕暮れ時。

俺は何とはなしに、外に出かけた。

道を歩いている時、ふと車道に目をやると、そこには子猫が何も知らないといった顔で立ち止まっていた。

そのすぐそばには、大型のトラックが差し迫っていた。

普段運動もろくにしていないはずなのに、体が瞬間的に動いた。
腕を伸ばし、子猫を歩道まで突き飛ばした。

「ああ、これで終わりか。まぁ楽しめたし、いい人生だったんじゃないか…」

そう思った瞬間、強烈な衝撃と共に世界が真っ白になった。



気が付くと、そこは見知らぬ街だった。
ゲームの中で見るような中世風の住宅が立ち並び、街ゆく人々の服装も派手なものである。

「ここは…もしかして…異世界!?」

呟きながら、俺は自分の体を確認した。
服は元のままだが、どこか体が軽い。

街を歩いてみると、通行人たちが俺を珍しそうに見ている。
この格好じゃ、目立って当然か。

でもこのままでは、生きていくことすらままならない。

俺は意を決して、屋台を営んでいる主人に話しかけてみた。

「すみません、ここはどこですか?」

店主は奇怪なものを見る目で、俺の全身をなめ上げた。

『☆◇♭♪※◎△▽♯!』

店主は確かに言葉を発したが、何と言っているかわからなかった。
異世界転生とは相場、言語は分かるものではないのか。

気が付くと、店の周りには人だかりができていた。

その中から数人、剣を腰に差した人物がこちらに躙り寄ってきた。
体格も大きく、防具も身に着けているようだった。

恐らく現代でいう、警察のようなものだろう。

『≛≋≈≂≃≄≅≆!』

その中の一人が何か言ってきたが、またもわからなかった。
俺は武装した彼らに囲まれると、どこかに連れていかれた。

別に抵抗はしなかった。


しかし、俺は彼らが足を止めた場所で、すぐに拷問を受けた。

水攻め、鞭打ち、火あぶり。

どれも現代人の俺からすれば、耐え難い苦痛だった。

「別に何も隠すつもりなんてない! だから…もうやめて…」

そう叫んでも、彼らは手を緩めない。
俺はそのまま気絶してしまった。


気が付くと、俺は少し高い場所で人々に見上げられていた。
手足を動かそうとしても、反応しない。
瞼も半分しか開かない。

真下では武装した男たちが、俺の体の前で長い槍を交差させている。

「異世界って…そうだよな…」

俺は胸と脇腹に大きな痛みを受けて、視界が真っ暗になった。

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