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金融機関の融資方針が大きく変わるのは半年後?
2024年4月に金融庁の監督指針が変更され、金融機関の融資方針が大幅に変わりそうな気配です。
今はまだ融資方針を大きく変更させているところは出ていませんが、半年後ぐらいから徐々に変わり始めるでしょう。
もくじ
①金融機関の融資方針はどう変わるか
②なぜ半年後ぐらいから金融機関の融資方針が変わるのか
③金融機関が融資先に求めるもの
④ほとんどの事業者は「事業計画書」も「経営改善計画書」も作れない?
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①金融機関の融資方針はどう変わるか
金融機関が変える融資方針とは、以下のとおりです。
(1)融資審査が今までよりも厳しくなる
(2)リスケを安易に認めないようになる
(3)コロナ融資の残高が多い事業者への融資はより慎重になる
②なぜ半年後ぐらいから金融機関の融資方針が変わるのか
半年後ぐらいから金融機関の融資方針が変わる理由は、ちょうど、そのころに「金融庁検査で融資方針についての指摘が出始めるから」です。
金融庁は各金融機関に対し、定期的に(2年に1度程度)「金融庁検査」を行います。
金融庁検査とは、金融庁の監督指針が守られているかどうかのチェックです。
金融庁の監督指針が改正された2024年4月以降、しばらくの間はまだ金融機関に浸透していないため、金融庁が検査に入っても今回の改正内容について厳しく問われることはありません。
しかし半年も経つと、今回の改正部分についてのチェックが厳しくなります。
重点的にチェックされるのは、金融庁が今回改正した以下の部分についてです。
・金融庁の改正部分
●企業の資金繰り→事業再生へ支援の軸足を移す
●過剰債務を抱える融資先に対しては債権放棄を含む
抜本策の実施を促す
・現場(銀行)でのチェックポイント
●安易な融資をしていないか
(申請内容を吟味した上で融資審査を行っているか)
●抜本的な経営改善や事業再生を見据えたリスケに
なっているか
発表から半年後くらいに金融庁検査で「甘い」と指摘されるケースが増え、金融機関は状況改善を指導されます。そのころから、金融機関の融資方針が変わっていくのです。
③金融機関が融資先に求めるもの
今後、新規融資に関しては、金融機関は融資先に「返済できる根拠」に関する説明や資料を今までよりもシビアに求めてきます。
根拠が不明確だと、金融庁検査が入ったときに金融機関は抗弁できなくなるからです。
返済できる根拠を明確に説明するための「事業計画書」の作成が大いに求められるでしょう。
またリスケの際も同様で、抜本的な「経営改善」や「事業再生」に踏み込んでいるかが問われるため、より緻密な「経営改善計画」の作成を求めてきます。
・新規融資で求められる書類
●事業計画書
・リスケで求められる書類
●経営改善計画
④ほとんどの事業者は「事業計画書」も「経営改善計画書」も作れない?
「事業計画書」や「経営改善計画書」を求められても、ほとんどの事業者は作成するノウハウも経験もなく作成できません。
もちろん金融庁もそれがわかっているので、金融機関には「事業計画」や「経営改善計画」の作成サポートを行うよう指導しています。
その補完として中小企業庁は2024年2月、「早期経営改善計画策定支援を活用した民間金融機関による経営改善支援の促進」制度を創設しました。
これは、「経営改善計画を作成するための補助金を、金融機関が経営革新支援機関として利用できる」ように定めた制度です。
しかし人的リソースの少ない信用金庫・信用組合では、そのような制度があっても活用することができません。
かといって「事業計画書」や「経営改善計画書」がない状態で融資やリスケの審査をすると、金融庁検査で厳しい指導が入ります。