金融機関が求めるリスケは、事業者が求めるリスケとは違う。両者の比較と、事業者にとって理想的な返済例
1.金融機関の求めるリスケと事業者が求めるリスケの違いを比較
2.2回目以降のリスケが通る条件は「経営改善計画の80%必達」
3.事業者が作成すべき1~5年目までの返済計画例
4.理想①1年目・2年目は「返済ゼロ」
5.理想②3~5年目は「微増」
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1.金融機関の求めるリスケと事業者が求めるリスケの違いを比較
「金融機関の求めるリスケと、事業者が求めるリスケは違う」
ということ。
金融機関がリスケで求めるのは、「できるだけ早期の回収」。
そのため、「多額」を「短期」で返済する経営改善計画の作成を要求してきます。
一方、事業者がリスケで求めるのは、
「できるだけ無理なく事業が存続できるようにすること」。
「少額」を、「時間をかけて」返済する経営改善計画を立てたいのが本音です。
また事業再生に必要だと考える期間も、金融機関は5~8年、
事業者は15年~25年と大きな開きがあります。
上記を踏まえたうえで経営改善計画を作成し、
さらに金融機関が納得する交渉を「継続的に」
「息長く」行う知識を持っておきたいものです。
2.2回目以降のリスケが通る条件は「経営改善計画の80%必達」
リスケは通常、半年もしくは1年しか認めてもらえません。
つまり半年ごと、または毎年、リスケ交渉をすることになります。
2回目以降の交渉時は、前回出した経営改善計画の「80%必達」を求められます。
いちど「実現不可能な経営改善計画」を提出し、
半年/1年後の達成度が80%を切っていると、金融機関は
「事業者の経営改善計画の立案能力に問題あり」と判断して、
リスケのハードルを上げます。
たとえその経営改善計画書が、
「金融機関の求めに応じて」作成した内容であってもです。
すなわち「経営改善計画書を80%以上達成」こそ、
「継続的な」リスケのためにいちばん重要なのです。
3.事業者が作成すべき1~5年目までの返済計画例
先述のように、金融機関はリスケ1年目から返済を求めたがります。
そして、5年目ぐらいまでに通常返済になっているのが(金融機関の)理想です。
しかし、現実にはそんなことはあり得ません。
リスケを要するほど財務内容や経営内容が傷んでいるのですから、
5年で通常返済に戻る企業は稀です。
再生に至るには短くても10年、長ければ15年以上の時間が必要となります。
しかもリスケをしている間は、金融機関からの融資はまず期待できません。
事業運営の必要資金は、利益からプールしなければならないのです。
4.理想①1年目・2年目は「返済ゼロ」
それを踏まえた経営改善計画としては、
1年目と2年目は「返済ゼロ」を通したいところです。
この間に利益が出たからといって返済に充ててしまうと、
不測の事態が発生して資金が必要になったときに対処できません。
1年目や2年目で利益が残ること自体が難しいと思いますが、
たとえ利益が出たとしても、けっして返済に充ててはいけません。
5.理想②3~5年目は「微増」
3年目以降の返済計画は、「微増」程度にしましょう。
例)
●3年目:月額5万円
●4年目:月額8万円
●5年目:月額12万円
3年目以降も「返済ゼロ」にすると、金融機関から返済意志を疑われます。
かといって多額の返済を計画すると、プールできる資金が減少。
それが、3~5年目は「少なめの返済計画」にしておく理由です。