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秋と北海道③

朝、写真を撮ろうと外に出ると息が白くなったりする。
ぐっと冬に近づいたという感じだ。前回も書いたが秋という感覚はあまりない。
ここで載せる写真は一週間前のものだが、感覚的にはもっとずっと前に感じる。過ごしやすい季節はもう過ぎてしまったのだ。そう考えると北海道には“過ごしやすい秋”というのはほとんど存在しないのかもしれない。
まぁ地獄のような冬に比べれば少し寒いくらいなど可愛いものである。

秋を撮るのにオールドレンズはどうだろうか。
ピント面はある程度シャープに、四隅は暗く、光は滲む。
柔らかい光を受け止めるには、これくらい緩い方が良いのかもしれない。
一週間前に撮った写真を見ながらそんなことを考える。見返すと思ったより良い感じに撮れているからだ。

この日は後半から使ったことのないレンズを試してみた。
Canon 50mm F1.4 II型。
これもお気に入りの100mmと同じLマウント、約60年前のレンズである。

レンジファインダー機のModel7にくっついて来たやつで、すっかり存在を忘れていた。たまにフィルムでも撮ってやるかと思い、持ち出したModel7を見て思い出した。友達からL39→LMマウントアダプターを貰い、LMからの変換アダプターがある今、これ普通に使えるなと。
調べてみるとズミルックスに近い写りをするとか何とか。作例を見てもよく分からない。これに限らずレンズの作例、特にオールドレンズのものは参考になりそうでならないことが多い。光の状況や撮った人のセンス、使っているボディで同じレンズでも、まるで出てくる絵が変わってくる。最新のハイエンドレンズはともかく、オールドレンズ特有の数値で表せない欠落や癖なんかは、自分で使ってみないと分からないのだ。

開放で何枚か撮ってみる。F1.4なので被写界深度が浅く、ピント合わせが大変だ。
なるほどなるほど、こういう感じかと一人ごちる。

昔のレンズ特有のぐるぐるボケ

シャドーの階調と少し青っぽく出てくる感じが、確かにズミクロンっぽい気がする。ウェブで作例を少し見たくらいでしか知らないが。
状況によってはボケが少し暴れ気味だが、それもまぁ味だろう。
今回みたいな光が差し込む森林には割りとベストマッチかも知れない。
50mmという画角は使いやすいが、使いやすい故につまらない絵になりがちだ。そういった意味では使いにくく、分かりやすくセンスが問われる。
標準ということは、つまりそういうことなのだろう。

少し絞るとぐっと使いやすくなる。
絞った時の空気感が非常に良い。
ノスタルジックというよりシネマティックな、古き良きオールド映画のような味がある。
これは非常にイイぞ。

フレアもどこか懐かしい感じ

ズミルックスと比べてどうかは分からないが、当時のライカに対抗しようというCanonの意気込みを感じる。
ズミルックスに比べ相当安く手に入るのも良い。ライカレンズに憧れるけどやっぱり値段が…という方には是非オススメしたい。
どうしても外国産のレンズに惹かれてしまうが、こう見ると国産もなかなか悪くない。
まぁそれでもやっぱりライカ欲しいなぁと思ってしまうのが、写真好きの悲しい性である。

これもまた使いこなすには難しそうだが、ゆっくり馴染ませていきたい。
そう思えるレンズやカメラに出会えることは幸せである。
消極的な理由で使っているオールドレンズだが、少しずつこれはこれで良いんじゃないかと思えてきた。
まだ少し冬には時間がある。
それまでにお気に入りのレンズで短い秋を撮っていこう。


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