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前庭という感覚器〜進化と発達〜

おはようございます。最近はなかなか時間が取れずにアウトプットできていませんでした。
目標としていた就職試験がひとまず終わり、結果待ちの状態なのでまた再開していきたいと思います。

今回のテーマは前庭器官の進化についてです。人間が進化して誕生したことを考えれば各感覚器にも進化の過程があるのは当然です。

その中で前庭器官はどのような進化的な特徴を持っているのか考えていきましょう。

前庭システムは最も原始的な感覚

地球上のすべての生き物に共通して働く力は何でしょうか?

そう、重力です。この影響はどの生き物でさえも避けることができません。

このため、最も原始的な動物にも何らかの形で平衡覚器が備わっていて、体の傾きを感知しています。

私たちは地面を歩きますが、動物によっては水中を泳いだり、空を飛んだりします。その際には常に重力という力が伴います。その重力の方向を平衡覚器で感知して、自分の身体の傾きを知り、無意識のうちに調節するのです。

そのため、前庭器官は最も原始的な感覚といわれています。

味覚・触覚・嗅覚・視覚・聴覚の五感
固有感覚・前庭感覚の特殊感覚 

ヒトにはさまざまな感覚がありますが、進化的に最も原始的な感覚は前庭覚なのです。 

平衡覚器の構造はほとんどみんな共通している

これもまた面白いですが、重力は地球上のどこにいても、ほとんど同じように作用します。なので平衡覚器はどの動物でもほとんど同じ構造になっていて、脊椎動物でも無脊椎動物でも大差はないといわれています。

クラゲの平衡覚器を見てみましょう。

一部本の内容を引用します。

クラゲの平衡覚器は、本体は「平衡胞」と呼ばれる小さな袋であり、その表面に感覚細胞が分布している。感覚細胞からは袋のない方に向かって感覚毛が伸びていて、平衡胞の中に入っている「平衡石」に接触している。平衡石は、平衡胞の中を満たす液体に浮かんでいたり、細い糸で吊り下げられていたりしている。体が正常の位置にあるときは、平衡石は一定の場所に留まっていて特定の感覚毛に接触し、それを刺激している。体が傾斜すると、重力の作用で平衡石のいちがずれて、別の感覚毛が刺激される。
どの感覚毛が刺激されているかという情報は、感覚細胞に分布した神経から、中枢神経系に伝えられる。平衡覚器からの情報に基づいて中枢神経系が「体が傾いている」と判断すると、これに対応して筋の働きを調整し、体の傾きを正常位に戻すのだ。

長くなりましたが、このようになっています。

ヒトの平衡覚器も耳石という石の動きを感知して重力方向を理解していることを思い出すと構造、つまり感覚受容の仕組み自体は進化の過程でそこまで変化しなかったことがわかります。

前庭感覚は発達上でももっとも初期に刺激される感覚

一般的に言われることとして

乳幼児の姿勢制御は視覚情報が優位であり、発達とともに体性感覚も有意になっていきます。

なので、3歳以下の子供については閉眼時はほとんど平衡を保つことができません。

生後は眼で世界を観察し、視覚を優位にして環境に対する働きかけを多くします。

手や足の指しゃぶりを通して眼で見ている視覚と自分の指をなめているという触覚が一致することで自分自身のものであることを認識していきます。逆にそれが一致しないことで自分と自分ではないものを分けていくのでしょう。

出生前はどうでしょうか?

在胎32週ごろの胎児は子宮頚の方に頭を向け、頭部が下方になることにより、頭部の重さを感じ、前庭システムを刺激します。

今までは頭部が上にあり、その下に身体が来るというポジションでしたが、妊娠後期になって頭を子宮頚の方に向けるようになるとその関係性が逆転します。頭部に対する重力の向きも変化するのでこれによって赤ちゃんは前庭器官が刺激され、頭部の位置や向きを理解し始めるのです。

バランスを制御するのには主に体性感覚と視覚と前庭感覚が関与しているといわれますが、発達学的に考えると一番初めに刺激を受け発達していくのは前庭感覚なのですね。

まとめると、前庭感覚というのは進化上最も原始的な感覚器であり、発達学上でももっとも初期に発達する感覚となります。

最後に~気づける力があるか?~

このnoteを書こうと思ったきっかけは昨日、水族館に行ったときに様々な魚やクラゲをみたからです。

水族館ではいろんなことを気づき、考えさせられました。

・水の中を効率よく泳ぐにはどういうボディである必要があるのか。
・ほとんどの魚は自分の身体を左右にうねらせて泳ぐ
・エイのような平べったい生き物は波を打つように泳ぐ
・イルカは超音波を放出し、跳ね返ってきた超音波によって周囲の状況を判断するほど視覚は弱いはずなのに、イルカショーではトレーナーさんの手の動きに合わせているかが動いているように見える。
・イワシの自己組織化
・ペンギンは鳥である
                             などなど

今までだったら水族館に行って、

「イルカ、すごーい」「ペンギン可愛い~」で終わっていましたが、

動物の身体や進化についてある程度勉強したので今までとは全く別の視点で水族館を回ることができました。

言葉に言い表せないですが、このように気づきを持ちながら日常の出来事をみれるかってすごく大切なことだと思うんです。

そして日常からあらゆる気付きを得るには広い範囲の知識が必要だと思います。

経営のことを勉強していれば、街のお店の並びをみて理由や意味を推測できるでしょう。
ディズニーのことに詳しければディズニーに行ったときに友達に詳しく意味を解説できます。

一分野だけをひたすら勉強するのも楽しいでしょうし、いずれは自分も一つ見つけて突き詰めてみたいです。しかし、一生をそれに捧げる人って僕のイメージだと一緒にいて楽しくないんですよね。

僕は「理学療法の勉強や技術は一流だけどそれ以外はてんでダメ」な人にはなりたくないのでもっといろんな仕事には直接関係ないような分野も勉強してみたいです。

幅広い分野の知識を持つことで日常は気づきにあふれるはずです。僕はそのような気づき、日常が理想と感じるので今後も「ヒトのカラダ」に焦点を絞らずにあらゆる勉強をして一人間としての教養を高めていきたいと思います。

最後は本文とは関係なくなってしまいましたが、意外と日常の気づきと自分の学びはリンクするんだよということで書かせていただきました。

最後までお読みいただきありがとうございました!

参考

図解 感覚器の進化 原始動物からヒトへ 水中から陸上へ(文章・画像の引用はこちらの本です。)
前庭リハビリテーション めまい・平衡障害に対するアプローチ

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