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「社員は家族ではなく仲間」—コウダプロが目指すのは一人ひとりが持ち場を守る『キングダム』的な在り方


こんにちは、プレスラボの池田園子(@sonokoikeda)です。昨年から毎月1回、「コウダプロ朝礼レポート」を担当させていただいています。

前回(2024年9月)の朝礼noteはこちらから。


今回は朝礼レポートの前に、コウダプロとの個人的なエピソードを少しだけご紹介させてください。

皆さんは「アスガール」という商品をご存じですか? 宣伝するわけではありませんが、個人的な感想として、とても美味しく感じています。味わいはさっぱりしていて、後味がすっきり。爽快感があるのも特徴です。

初めて手に取ったとき、パッケージの可愛さに「これなら持ち歩くだけで気分が上がるし、誰かにプレゼントしたら喜んでもらえそう」と感じました。

そんなアスガールをこの夏、Amazonで購入しました。ドン・キホーテなどのリアル店舗でも手に入りますが、今回は急ぎだったのでオンラインでの購入に。遠方でのロケで、久しぶりにお会いするチームの皆さんにお渡しする目的でした。


アスガールを注文して感動した私的な話


泊まりを伴う仕事の特徴のひとつとして、「食事会」とあっさりした言い方をしながらも、盛り上がって深酒になる傾向があります。
そこで、皆さんが連夜気持ちよくお酒を楽しんだ後でも、翌朝には元気なコンディションで集合できるように、末端の私なりのささやかな配慮としてアスガールを準備しました。

さらに、私が大好きな会社であるコウダプロが開発したこの商品を、まだご存じない先輩方がいたらぜひ味わっていただきたく、今回の購入に至ったのです。

結果はというと、驚くほど喜んでいただき、「そこまで感謝していただけるなんて!」と思うほどの良い流れに。私自身も幸せな気持ちになりました。

この素敵な購買体験の一コマとして、荷物が自宅に届いて箱を開けた瞬間にも幸福感が広がったことを記録しておきます。なんと、社員直筆の一筆箋が同封されていたのです――それは沼っちからのものでした!

私は、noteやオンライン越しに沼っちの活動(「タンクトップ新卒社員note」でその存在を知り、その後の沼っちの報告をnoteで追いかけていました)を拝見してきましたが、たとえ彼のことを知らなかったとしても、こうしたひと手間をかけて温かさを伝える会社は少ないものです。受け取る側の心を温めてくれる、企業としてのそんな在り方に感動しました。

私にとって、「いい会社だな」と感じる瞬間が積み重なっているコウダプロ。ここから今回の朝礼レポートをお届けします。



日本企業の武器「団結力」が失われゆく世界で


「コウダプロはかつて離職率が6割を超えていました」 

コウダプロ社長の幸田さんは、驚きの数字を明かしました。私にとって、現在の良好な社内の雰囲気からは、到底信じられないような数字です。  

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幸田さんによると、人材採用の精度向上とモノが言いやすい組織運営により、コウダプロは強さを増してきたといいます。

「コウダプロは、ピンチのときにこそ強くなってきた組織です」と語る幸田さん。その背景には主にふたつの要因があるようです。

ひとつめは「プロの事業家集団」として、全社員が一体感を持ち、共通の方向に向かって進んできたことです。団結力が組織の強みとして機能しているのです。  

ここで幸田さんが挙げたのは、1979年に刊行された故エズラ・ボーゲル氏の著書『ジャパン・アズ・ナンバーワン アメリカへの教訓』です。

本書では、戦後における日本経済の高度経済成長の要因には、歴史的に息づいてきた日本独自の「団結力」があったことが語られています。

しかし、幸田さんは、最近ではこの団結力が低下する兆候が見られると指摘します。たとえば、リモートワークの普及もその一例です。もちろんリモートワークには多くの利点がありますが、あらゆる物事には表裏があります。  

コロナ下でリモートワークが浸透し、「どこでも働ける」という働き方を取り入れる企業が増えました。しかし、9月にはAmazonが現在のハイブリッド勤務を廃止し、2025年1月から週5日のオフィス通勤に戻す方針を発表し、話題となりました。  

幸田さんは、この決定の背景には組織の弱体化を防ぎ、「従業員エンゲージメント」を高める狙いがあるのではないかと考えているようです。


「社員は家族」ではない。目的を同じくする「仲間」である


従業員エンゲージメントとは、従業員が自社に愛着を持ち、「会社に貢献したい」と思う気持ちを指します。

しかし、日本企業の従業員エンゲージメントは、世界的に見ても低い傾向にあります。ギャラップ社の調査(2023年版)によると、日本の企業で「エンゲージしている」と答えた従業員はわずか5%で、4年連続で過去最低を更新しました。この数字はOECD加盟国の平均値である20%を大きく下回り、日本の従業員の多く(95%)が仕事に何らかの不満を抱え、ストレスを感じていることが示されています。  

そんな状況の中、コウダプロのメンバーが朝礼で語る言葉やnoteの発信を見ていると、従業員エンゲージメントの高さが伝わってきます。「この会社が本当に好きなんだ」という想いが、言葉の端々に感じられるのです。  

この背景には、コウダプロがメンバーを大切にしている姿勢があるのでしょう。いわゆる「返報性の法則」に近いかもしれませんが、人は自分を大事にしてくれる相手を自然と大事にしたくなるものです。  

とはいえ、コウダプロでは「社員は家族」という考えは持っていません。あくまで「仲間」としての関係を重視しています。これは、社長の幸田さん自身が実の家族を「最も近しい関係の仲間」と捉えていることにも表れています。  

「極端な話、実の家族であっても『自分さえ良ければいい』という考えを持つ人がいれば、血のつながりがあっても仲間とは認識できません。同じように、社員でもそういった考えの人は仲間とはいえない」と幸田さんは冷静に語ります。  

「社員は家族」と言う経営者も少なくありませんが、私はこの考えに違和感を覚えます。家族には血縁に基づく独特なしがらみがあり、それをそのまま会社組織に当てはめるのは難しいと感じます。

その点、「仲間」という表現はしっくりきます。血のつながりはなくても、共通の目的に向かって共に進む者たちの集合体。それこそが仲間であり、私もそう思いたいです。


調子の良いときこそ手を打つのがリーダーの役割。最悪の選択をしないために


コウダプロが成長を遂げてきた背景のふたつめは、「リーダー(経営者)の仕事」を自覚的に果たしてきたことです。

幸田さんは、リーダーの仕事は厳しい決断を求められるものであり、非常に困難な役割だと語ります。最悪の場合は、社員を切る判断をせざるを得ないことも。「組織内で最も難しい選択をするのがリーダーだ」というのが幸田さんの持論です。しかし、できればそのような厳しい場面には立ちたくないのが本音でしょう。

「だからこそ、最悪の選択をしなくて済むよう、平時――つまり、安定しているときこそ他の人の10倍の手を打っておくことが必要です」と幸田さんは言います。

この言葉を聞いていると、幸田さんの視座の高さに改めて感服します。

どんな組織であれ、誰もが避けたい決断をしなければならないのがリーダーの宿命です。それがリーダーである者の責務でもあります。ですが、幸田さんの言うように、最悪の事態を想定し、それを回避するための準備をすることは可能です。

こうした準備を怠らないリーダーがいる組織は生き残り、繁栄します。一方で、その覚悟が欠けた組織は徐々に衰退していくか、やがて滅びていくのでしょう。

幸田さんの生き様を見ているコウダプロの社員たちは、幸田さんが「自分にしかできないリーダーの仕事」を全力で果たしていることを知っています。その姿を見て、メンバー全員が自分の役割を果たし、自分の持ち場を守り抜こうと決意しているのだと思います。

そして、最終的に組織の命運を握るのは「人」です。幸田さんは、コウダプロの文化に合う人材を見極めて採用し、彼らを定着させ、最高のチームを築いてきました。これこそが、コウダプロの今の良い状態につながっているのです。



今のコウダプロは『キングダム』のような理想的なチーム


この日、幸田さんは映画化もされた漫画『キングダム』を取り上げました。

累計発行部数9,000万部を超え、日本の漫画史に名を刻むこの傑作について、説明は不要かもしれません。中国の戦国時代末期を舞台に、最下層の少年が数々の強敵との戦いを乗り越え、将軍へと成長する物語です。一般的な成功譚ではなく、兵を率いるリーダーシップ、数千人から数万人規模の組織の運営、人材育成、戦略や戦術の立案といった、多くの学びを含む作品です。経営者やビジネスパーソンの愛読書としても知られています。

幸田さんは、「会社や組織全体が『キングダム』の主人公や主要キャラクターたちのように、共通の目的を持ち、仲間を信頼し、皆で闘う姿勢を持ち続ければ、必ず勝てる」と語ります。そして今のコウダプロには、そのような意識を持つメンバーが自然と集まっているのだといいます。

この考え方をより深く理解するために、私たちが熱狂するスポーツの世界を挙げてみましょう。たとえば、プロサッカーチームは、ゴールを決めて観客を魅了するセンターフォワードのような華やかなポジションの選手だけでは成り立ちません。試合の運営やチケットのチェック、スポンサー獲得、会場の清掃など、ここに書ききれないくらい多岐にわたる役割を果たす人々がいて初めて、チームはひとつにまとまります。

華々しい活躍を見せる選手も重要ですが、裏方で地道な仕事をこなす人々もまた、組織を支えるのに欠かせない存在です。たとえば、「トイレをピカピカに掃除しておくことで、お客様が快適に過ごし、またこの会場に訪れたいと思ってくれる」というマインドで業務に取り組む姿勢が求められます。

すべてのメンバーが自分の役割に誇りを持って取り組むことで、組織全体として大きな成果が生まれます。コウダプロでも、そのような仕事の仕方が根付いていて、同じ意識を共有する人々が集まっています。

人ひとりで成し遂げられることは限られています。だからこそ、同じ目的意識を持つ仲間が集まり、力を合わせてチームを組むことが、組織を成功・繁栄へと導くカギとなるのです。


まとめ


本日もそろそろまとめに入ります。

改めて、コウダプロの組織としての強さの源泉に触れる貴重な朝礼でした。「社員は家族ではなく仲間」という発想や、全員が共通の目的に向かって団結する姿勢が、組織の一体感を生み出していることがよくわかります。

また、リーダーとしての役割についても、最悪の事態に備え、平時から十分な準備をしておくことの重要性を改めて学びました。この学びを通じて、自分の今後の業務にどう生かしていくかが明確になった気がします。

Text/池田園子




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