倫理法人会 モーニングセミナー 原稿

おはようございます。 本日は倫理法人会 モーニングセミナー 講師のご依頼ありがとうございます。

振り返りますと、5年前にもご依頼いただきまして、今回が2回目になります。
今日は「議員活動の抱負」と題しまして、お話をさせていただきます。

自己紹介から始めたいと思います。
昭和51年9月20日生まれ辰年です。現在46才です。
巻町役場に勤める父と幼稚園教諭の母のもとに生まれました。
父親の実家のスポーツ店で生まれました。正確には店の離れに生まれたのですが、以前選挙のプロフィールに「離れ」と記入しましたら私生児、妾の子か?と心配されたことがありました。そういう心配はないと思います。お店とつながった母屋があって、離れがあって、両親が結婚当初離れに住んでいましたので、そこで生まれたという事実を正確に、正直に書いた結果が「妾の子」です。困ったものです。
現在は妻と小学3年生の娘の3人で暮らしています。
娘に兄弟ができたら良いと思い、3年前から里親に登録しています。まだ委託はうけていません。

仕事は巻の商店街で小さな塾を経営しています。
先月、5月2日からは新潟市議会議員を兼職しております。
週1の無料塾 学校で使う制服や学用品を無償で貸し出すリサイクルバンク事業を
塾と並行して行っています。

26才で始めて選挙に出ました。
今年の4月初当選しました。今は46才です。初当選まで20年の時間がかかり、6回目の選挙で当選することができました。これまで5回の選挙に落ちました。正しくは6回選挙に落ちて、当選者死亡による繰り上げ当選です。
繰り上げが決まって当選証書を受け取るとき、報道の質問にこのように話しました。
「人が亡くなった結果の当選なので嬉しい。とか、おめでたい。という気持ちは一切ありません。けれど、亡くなった小林さんに投票した方、そして私に投票した方の期待に応えられるように議員の活動に取り組みたい。」その気持ちは今も全く変わりません。
 「当選おめでとう。」という言葉に素直に「ありがとうございます。」と言えないのは申し訳ない気持ちです。

選挙の期間中は年度替わりの時期と重なりました。
ですから、選挙中にも制服が必要、体操服が必要、ランドセルが必要という方が
来られました。選挙期間中は「寄付したい。」という人には少し待ってもらいましたが、
「利用したい。」という人には対応していました。

「明日の入学式のランドセルがない。」という親子が来られました。この方は選挙の終わった月曜日に来ました。正直、私がめちゃくちゃ落ち込んでいるときでした。ランドセルは多くの寄付をいただきますが、利用者が少ないため、在庫が多くあります。リサイクルバンクを活用していただくのはまったく構わないのですが、入学や進級の際に必要な物品を低所得世帯に支援する「就学援助制度」がありますがご存じですか?と聞きますと、「知っているが利用できない。」とのことです。何らかの事情があると思います。けれど、電話ではそれ以上は聞くことができませんでした。
西蒲区の外から車がないために電車で来られました。お子さんのクツはぺったんこの体育館の上履き。一目見て、失礼ながら生活に苦労されているように私には思えました。それでも女の子はランドセルへの期待からかとても嬉しそうな表情だったのが印象的でした。選挙で落選して、心が弱っていた時でしたから、ランドセルを裏に取りに行ったときには、涙が抑えられず、呼吸を整えてから、ランドセルをとってきました。いくつかのランドセルの中から気に入ったものを選んでもらい、他にも必要なものはないか、と話を伺い、鍵盤ハーモニカ、リコーダー、算数セット、書道セット、絵具セット、そしてお兄ちゃんの使う学生ズボン。
たまたま、ちょうどいいサイズのものがあったので、スニーカー、運動会で履くといって、
全部、喜んで持って帰りました。

「ランドセルが買えない。」という人がたまに来ます。
ランドセルはどちらかの祖父母が買ってくれる家庭も多いかもしれません。そういう援助が受けられない。就学援助などの制度を知らない、制度を知っていても事情から利用できない。そういう家庭が少ないけれど確実にいます。

選挙期間中「選挙は大変でしょう」と心配してくれる人が多くいました。
けれど、私は娘にランドセルを買うことはできていますし、なにかあれば祖父母のサポートも受けられます。決して豊かな生活とは言えませんが、それでも今日のご飯に困ることなく毎日生活できています。
生活が大変な人は多くいて、相談に来る人を思えば、「選挙が大変」なんて甘えたことを言っていられない。困っている人を助けるためにも頑張らなければいけない。そう思って選挙運動をしていました。
これで、選挙に受かっていれば、良い話なのですが、選挙にはなかなか受かりません。

それでは、リサイクル事業を始めた、経緯を話します。
随分前に、教室に小さくなった体操服を着ていた子がいました。聞けば、制服も小さくなっていたようでした。中学3年生の男の子でしたので、もう卒業も近く、新品を購入するのはもったいないと考え、私が機転を利かせたつもりでOBを頼り体操服や制服を譲ってもらいました。本人はもとより、保護者から大変喜んでいただきました。卒業した後、母親が
「制服をもらったときは本当に助かりました。制服や学校指定の学用品の購入のとき、毎月の家賃や携帯電話の支払いは減らせないので食費を削って購入しなければならないときもある。」という言葉は本当に衝撃でした。
その家庭は毎月、遅れることなく指導料をいただいていましたので、私には生活に困っているとは全く思えず、普通に生活しているように見えていました。
「貧困が見えにくい」という言葉をそのとき初めて実感しました。
「必要なものが買えない、食べるものにも困ることがある。」
生活が苦しいとか、食べ物がない、という状況では目の前のことでいっぱいで、勉強したいとか、将来を考えるとか、親にも子どもにも難しいのではないかと思います。
有料で塾に通っている家庭でさえも生活が苦しいときがあるのですから、もっと大変な家庭があるのだろう、無料の塾だけでなく、その前にもっと必要な支援が必要だろうと私は思うようになりました。そういう経緯から、リサイクルバンク事業を始めることにしました。

おかげさまで、リサイクルバンク事業は少しずつ認知されるようになり、利用者も増えてきました。 そして利用者以上に、リサイクルバンクの趣旨に共感していただき、着なくなった制服、体操服、使わなくなった学用品を寄付していただける方が多くいるからこの事業は回っています。制服に関してはシミなどを防ぐ目的で事前にクリーニングをお願いしています。そのクリーニング代を負担してまで寄付をいただいています。 また集まった制服を整理する作業、学用品を掃除する作業などを無償で、ボランティアで協力していただける方など本当に多くの方にこのリサイクルバンク事業は支えられています。
また、無料塾やリサイクルバンクが継続できるのも、有料の学習塾の料金を毎月負担していただいている保護者の理解があるから継続できています。選挙に出ることを含めてですが、私がこうして好きなことをできているのは多くの方々に支えられていることを、こうして話しながら、思い出しているところです。本当に感謝しています。

では、議員の活動について話させていただきます。

市議会議員の任期は5月2日からでした。
その任期の前から、住民の要望をいただきました。今は6月中旬で、この1ヶ月半の間にも
道路の補修をして欲しい。横断歩道が欲しい。ミラーが欲しい。ガードレールが欲しい。信号機が欲しい。道路わきの草を刈って欲しい。映画を上映したい。本当に多くの要望をいただきます。
 新潟市は政令市とはいえ、基礎自治体でもありますので、生活に密接した相談、問題を伺うことは議員の重要な仕事と私は考えます。伺った要望はその都度、先輩議員に相談し、市役所の職員に相談し、なんとか実現できるように働きかけています。
予算に上限がないのであれば、どの要望にもすぐに対応できるのですが、残念ながら予算には限りがあります。「緊急性と公益性」で優先順位が決まると私は考えています。市の優先順位もほぼ同じであることは、職員に確認しています。 自己紹介で私の父は役所の職員だったことに触れました。その父が嫌がったことは、この役所の優先順位を議員が介入することで、ときどき変更があることでした。生前の父は自宅でときどき、私に話していました。子どもながらに、そういうことがあるのだなー、と聞いていました。
「権力は正しい順番がゆがめられたときに、それを正すために使うものです。ルールや規則をゆがめるために決して使ってはならない。」これだけは決して間違ってはいけないことだと、議員になった今、心に刻み、また私は弱い人間であることを自覚しています。ですから、ここにおられるみなさんに証人になっていただきたいと思います。「私は正しく権力を使います。ルールや規則をゆがめるためには決して使いません。」
亡くなった父に恥ずかしくないように、ここにおられる証人のみなさまにも、私が間違ったときには、きつく叱っていただきたいと、お願いをします。
 
もちろん、緊急性や公益性は固定されたものではありません、状況々々で変わるものです。状況が変わったことを議員が訴えた結果、優先順位が変更されることは当然あるはずです。それを決して否定するものでもありません。そのための議会や委員会などです。正しい手段で住民の利益を追求していきます。
 
この優先順位について私が気になることが1点あります。
「緊急性、公益性」で優先順位が決まります。けれどそれ以上に、予算の大小で優先順位が大きく影響されているように私には思えるのです。
 
小さな額の道路の補修、草刈りなどは市の決済でなく、区の決済で可能です。
ですから、小さな額の要望は比較的、通ることが多くあるように思います。
 
けれど、どうでしょうか?そもそも私たちは自分たちのお金でできないような、学校を作ることや橋や道路のような、何年も使える、多くの人の利益になる、そういう大きなものにお金を使うために税金を納めているはずです。
けれど、予算の小さなものが優先され、そのために予算の大きなものが後回しにされるというのは、そもそも税金の使い方として正しいのだろうか? 私には疑問があります。
 
先日、ある小学校に伺いました。 その学校の体育館はもう何年も雨漏りが直されません。 体育館にはバケツが10数個置かれていました。 朝夕、担当の教頭先生と用務員がバケツを出し入れし、雨の日にはバケツを置いたまま体育の授業をする。 雨漏りのために床は傷み、ささくれ、床もテープで応急の補修をしている。そういう状態が何年も続いていると伺いました。
最初はこのバケツも1個か2個だったはずです。予算が付かないために、何年も放置され、その間にバケツの数が3個、4個、5個、6個 と増えていき、今では20個近くのバケツが置かれるようになりました。日々のバケツの出し入れ、雨漏りのために制限される授業、これらの損失は数字になかなか表すことができませんが、大きな損失です。屋根の補修だけで済む話だったものが、床の補修まで必要になる。 お金を惜しんだことで、お金がないことで、更なる費用がかかってしまう。こういうことが、本当にもったいないことだと私は考えるのです。  教育委員会の施設補修の予算は決まっていて、その予算の中で優先順位があります。その順番を待っている間にも施設が傷み、さらに予算が必要になる。ますます予算が少なくなり、補修が遅れる、補修が遅れるから・・・ もう悪循環です。
私は学校に関心がありますので、学校のことから調べました。 けれど、このようなことは決して学校だけではないはずです。現場を見て、目に見えることを確認すること、目に見えることから、過去、未来を想像すること、市民から預かった税金をどのように使ったら、市民が豊かになるのか?最も有効な税金の使い方はどうなのか?常に考えながら議員の活動に取り組みます。
 
もう一つ、私が優先順位を考えるときの軸にしていることを紹介します。
 
 
最後にエピソードを紹介します。
 私は毎週 月曜は巻駅、 火曜は曽根駅 水曜は岩室駅の前にいます、
もう5年以上続けているルーティンです。
選挙運動という、身もふたもない理由もありますが、役所が閉まっている通勤前、通学前に住民の相談を受けたい。と思って駅前という場所を選んでいます。妻や、支援者にはどうせなら、駅以上に交通量のあるバイパスの交差点などに立ちなさい。と言われますが、住民の相談を受けるには、駅前の方が適していると考えています。そこは、私のわがままを通しています。
 議員に当選する前は不登校の相談が多くありました。当選した後は、先ほど話したような、道路や交通に関する相談をいただくようになりました。
 
そこで、先日「あなたに投票していないけれど、相談して良いか?」
と正直な紳士が来られました。
「議員はそういう仕事、役割なので、選挙は選挙、仕事は仕事です。全然、気にせず相談ください。」と伝えました。
次は私に入れて欲しいと思いながら、決して悪い気持ちではありませんでした。
 
私は、政治家は道具だと思っています。できれば、みなさん住民、市民にとって
使いやすく、役に立つ道具でありたいと思っています。
職業に貴賤はなく、その報酬に差がありますが、その役割に貴賤はありません。
政治家の仕事は世の中が上手くまわるように、人やお金などの資本を分配して社会を豊かにするのが役割です。役割の違いがあるだけと私は考えています。
私はまだ未熟で、まだまだ役に立てないことの方が多いかもしれません。
それでも、相談や要望には真摯に一生懸命取り組みます。それは約束いたします。
 
住民の困りごとを一つ一つ解決すること、できれば、問題を未然に防ぐ仕組みを作ること、その繰り返し、その積み重ねが住みよい地域を作ると私は考えています。
超絶、優秀な政治家、どんな問題も解決してしまうような万能の政策、そのようなものはない。私はそう考えます。 繰り返しますが、問題を一つ一つ解決することの積み重ねだと思っています。 ですから、みなさんの要望、相談が地元を良くするトリガーです。議員は道具です。どんどん使ってください。気軽にケンタと呼んで使ってください。お願いします。 選挙に関係なく、事務所はいつでも開けています。今はまだ塾と併用でご迷惑をおかけしますが、いつでもお越しください。 とはいえ、まだ開けたれない時間もあります。少しずつ時間を伸ばして行きます。事務所に来られなくても、電話やメールで呼んでください。住民の相談、要望が優先です。こちらから伺います。 
 
最初にランドセルの女の子の話をしました。「住民を困窮させないこと」それが政治家の最低限のそして、最上の役割だと私は考えます。女の子が笑顔で学校に通える、そういう議員になりたいと思っています。
 
ご清聴ありがとうございました。

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