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【面白い小説は物語の展開がカギ!】あなたの小説をもっと面白くする4つの方法(2017年6月号特集)
「話芸=笑い」と「文芸=小説」、両方に詳しい藤井青銅さんのお話を参考に、笑いを呼び起こす意外性のある展開を小説に生かす、その方法を紹介します。
1.いきなり本題に入らない
いきなり本題に入るのは、知らない人の話を無理やり聞かされるのに似ています。話自体は面白くても、相手のことを知らないので聞く耳を持てないのです。
落語ではそれを防ぐために「枕」から始めます。本題に関する小話をするなどして、観客が自然に話に入っていけるようにするのです。
バラエティー番組の台本も同様で、いきなりコントを始めるのではなく、「桜がきれいですね」「○○さんが結婚して驚きました」といった季節や旬のトピックスから入ります。これは小説にも応用できるテクニックです。冒頭に物語を象徴する詩や名言などを引用したり、気が強い主人公ならケンカの場面から始めたりすることで、読者は「どんな話なの?」「この主人公、面白そう」と興味をひかれ、物語世界にスムーズに入っていくことができます。
2.転がらないなら別の案に
物語を書いていると、どうも話が先に進まないという事態に陥ることがあります。
そうなってしまう原因として考えられることは、結末が見えていないのではないかということ。ゴールが見えないまま書き出せば、設定を書いた段階で行き詰まります。
藤井さんいわく、「行き詰まってしまった展開でどうにかしようとこねくりまわしてもうまくいかない。最後までたどりつかない展開は惜しまず捨て、別の案に変えます」とのこと。
―つの話を作るときは、1、2案で終わることはなく、4、5案は展開を考をるそうです。
3.意外なテーマを組み合わせる
ラジオドラマを週に2本作らなければいけなかった新人時代、藤井さんは自分では思いつかないようなテーマや設定を考えるため、B5のルーズリーフを横に3分割したネタ帳を作っていたそうです。
上段に「SF」と書き、タイムスリップ、UFOなどのSF関連の設定を1枚1枚書き入れていきます。
中段には「学園もの」と書き、同じようにデート、文化祭、カンニング、テストなど学園もの関連の設定を書き入れます。
下段にはさまざまなオチのバリエーションを書き入れて完成です。
これをパラパラめくり、「UFO」と「デート」と「ふりだしに戻るオチ」といったように、ありえない設定やオチ同士をパズルのように組み合わせ、うまくいかなければ入れ替えながら考えていくと、予想外の物語ができ上がります。
4.オチへの落差を大きくする
フリとオチは落差が大きいほど面白くなります。
とはいえ、人を驚かせるオチをいくつも考えるのは至難のワザです。
そこで、藤井さんら笑いのプロは、オチを大きく落とすのではなく、逆に振ってフリを強調することで、落差を大きくします。
「大病院で『北川景子さん』と呼ばれ、どんな人かと思ったらおばあさんが出てきた」という状況を想像してください。
これもそのままではオチが弱いですが、「『北川景子さん』 って呼ばれた瞬間に、『誰だろう、誰だろう』って周りがザワザワして」というようにフリを強調すれば、周りの人たちの期待度がクローズアップされ、そうすると恥ずかしそうにおずおずと登場してくるおばあさんのオチが生きてきます。
落差を出すためにあえて持ち上げるわけです。
小説に笑いのエッセンスを取り入れよう
特集「笑いを知れば、もっと小説は上手くなる」
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※本記事は「公募ガイド2017年6月号」の記事を再掲載したものです。