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【激務のシンママ/サバイブコラム】忙しくても7万字書く!(4)書くための「欲」の取り扱い【地図井式】
シングルマザーライターの地図井です。
突然ですが私には中学生になる息子がおりまして、直近で東京の中学受験というものを体験しました。ゲームや公園内で思い切り遊ぶ子供たちと、小学生だというのに受験競争に巻き込まれて勉強漬けになる息子を比べて、母としてどちらが正しいのか、選んだ選択肢は本当に正しいのかと悩む日々も過ごしました。
ですが、「子の受験」というものに寄り添ったおかげで、「書く」という行為と欲を追求することに関してまたひとつお伝えできるエピソードが得られたのでまとめます。
「書く以外の欲」も制御しないことが「書く」につながる
ここまでの記事をご覧いただいていた皆様はお気づきかと思いますが、私はとても欲深い人間で、欲しいものは全て欲しいし、私が書いたものはここを通る全員が読んで永久保存してほしいし、死ぬときに仕事も私生活も何もかも、欲するものを全てやりきった!と思って死にたいと思っています。
なのでもちろん、クリスマスや年末年始といったこのシーズンはいつも、今年やりたい新しいことと、毎年恒例にしている行事を網羅していくととても9日連休では足りないなとスケジュール管理と胃腸の管理に追われています。
激務正社員をやめてすべての時間を書くことに使えると思っていた今年、ずっと書くことに費やすことができたはずなのに、私は書くことにだけ時間を使うことができませんでした。なぜなら、私には社会人生活で抑圧されてきたやりたいことがたくさんあって、そのやりたいことリストの実績解除を同時に行わねばならず、それは書くこと以外のこともあったからです。
でも、1年過ごしてみると脇道と思われた私の実績解除は、私の「書くこと」を不思議にレベルアップしてくれました。書くこと以外に費やす、自分の欲望を解放する自由な時間を過ごすことができたおかげで、今まで応募したことがなかったジャンルにも挑戦でき、今年の私の収入のうち一番高い割合を占めるものが賞金でしたので、自称「賞金稼ぎ」を最近では名乗っています。
それを振り返って、応募したいあの公募の締め切りがある状態なのに、書くこと以外に没頭してしまう余暇の時間、私って本当にダメだなあと思っていたころの自分に、「いやそれも大事だよ」と伝えたいと思います。
やりたいことの実績解除で目覚める力がある
実績解除というのは、またゲーム用語で申し訳ございませんが「アイテムを〇〇個集める」「〇〇に行く」といったミッションタスクを実績としてクリアしていくことで、「やりたいこと」や「多くの人が経験すること」を実績と見立てて、ゲーム以外にも転用して呼ぶようになった言葉です。
ちなみに私はゲームにおいてはこれを100%コンプリートしてから次のゲームに行く、というスタイルのゲーマーなのですが、その話はさておき、書く生活の中で、書くこと以外の実績解除も非常に大事だなと思っています。
私がサラリーマンをやめたとき、実績解除したかったことのひとつが、「息子につきあう時間を増やす」ということでした。長らくシングルマザーでかつフルタイム仕事だったので彼につきあう時間を削減したり外注せざるを得なかったのですが、都内では多くの人が経験する中学受験というタイミングでもあったので、思うままつきあってみました。
中学受験の詳細は省きますが、子の勉強のモチベーションを観察していてひとつわかったのは、健康に自分がやりたいことが発揮されている状態でこそ、目覚める力があるということです。
というのも、彼は小さいころからなぜか走ることが好きでしたが、受験中に勉強時間を作るため、ややそれを制限せざるを得ない状況にありました。成績が伸び悩んだころ、本人の申し出で朝のランニングをおもむろに再開したところ、勉強にも謎のアクセルがかかり急に成績が伸びました。
このことで私が思ったのは、適度な運動がよいですとか、朝のランニングはいいよねと言った話ではなく、やはり生まれたときからなにか満たすことを定められた欲みたいなものを満たして初めて目覚める力が、人間には備わっているのではないかということです。
もちろん私も彼の父親にもランニング習慣はなく、運動会の雨天中止を願っていたような小学生だったので、彼が走るのが好きなのは教育によるものではなく、しいて言えば、歩けるようになったときから不思議と走ることが好きだったということを見てきた私としては、その欲を満たさないと、進化できない力みたいなのがあったのではと思いました。ちなみに彼は最終的に広いグラウンドのある学校を自ら求めて志望校を決めました。
すべてを「書く」につなげるために
勉強と「書くこと」は似て非なるものではあると思いますが、息子のケースや、私自身のやりたいこと実績解除をした一年で思ったことは、自分のやりたいことをやったうえで書くということは、意欲を増したり、書きたい中身を増やしたり、文章の力を覚醒させる力があるということです。
人生でこれをやらずに死ねない!という自分のタスクが明確になると、その他毎日やってるけれど、これやらなくても生きられるな、ということはどんどん削除できるようになっていきます。
限られた自分の時間を、ストイックに「書くこと」に費やすことも否定はしませんし、それが向いている人もいると思います。
しかし、それをできていないからと言って嘆いたり自己否定したりせず、ほかにやりたいことの実績解除をして、書く力をあげる経験値集めを行い、自分自身をレベルアップしていくのがベターです。自分にしか与えられていない欲を解放していくことで、自分にしか書けない作品がきっと書けるようになります。
これまでに仕事しながら書くための時間の使い方やメンタルなどをお伝えしてきたつもりですが、やはりどんな行動も「書きたい」という気持ちがないと書き進めることができないため、この「書きたい」意欲がなくなってしまったら全ての方法論は無意味となります。
なので、すべてを「書くこと」につなげるために、私も含めて自分の欲望に蓋をせずに、全部実績解除して、コンプリートした自分を薪にして書き続ける火を絶やさないようにしたいなと思います。
特集:【地図井式】忙しくても7万字書く!
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