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【保育フォト】発 表 広 場


何をするにしても「じゃぁ みんなに…」と言った瞬間、
フリーズする 年中組さんたち。
超照れ屋で 恥ずかしがり屋の子ばかり 24人が集まったクラス。
それでも、昨日のできごとや 楽しかったことなどは、
担任に話してくれるように。
 
そこで「その話し、友だちにも聞かせてあげて」と、
クラスのみんなに 話す場を作りだしました。
 
もちろん、一人で話せる子なんて 一人もいません。
担任が肩を抱き寄せながら、事前に聞かせてもらった話しを耳元で囁き、
それを子どもが リピートすることから始めたのです。
 
それでもやっぱり、友だちに 話しを聞いてもらえることは嬉しくって、
話せたことが誇らしくって、
「発表したい」と自分から申し出る子も ちらほらと。
よし っと、“発表広場”と名付け、毎日 行なうことにした 二人の担任。
 
いつしか 完全予約制となっており、他の活動ができない日もあるほど。
その内容は、休みの日の報告・経験談から始まり、
登園途中で拾ってきた青い柿の実や、トカゲの死骸のお披露目。
「私のママは 何歳でしょう」といった家族ネタのなぞなぞや、
作品の紹介と、まぁ~思いつくままに やりたい放題。
 
それでも次第に、ぬり絵を切り抜いて作った紙芝居の発表や、
「ボールはボールでも 四角いボールは 何でしょう」といった
まともな なぞなぞに。
その発表に刺激されたようで、
自作のペープサートや人形劇・紙芝居などの上演や、
家族で考えた なぞなぞを出題したりするようにも。
そのうえ、「静かになったら 言います」なんて、
場を仕切る言動も 見られるようになってきました。
うぅ~ん いい感じ。
 
とはいえ、予約したものの いざ 自分の番になると、
キャンセルをくり返す子が数名。
予約する気配すら 感じさせない子も。
筋金入りの恥ずかしがり屋さんたち。どうしてくれよう
 
そこで、以前から予約表を見ながら毎回、
「次は○○ちゃん」と独り言をつぶやいていた
クラスで一番の恥ずかしがり屋さんに、自分の席に着いたままでいいので、
次の発表者への、スタンバイの声かけをお願いしてみると、あっさりOK
一人ひとり 友だちの顔を見ながら、
「○○ちゃん、スタンバイお願いします」と。
その姿を見て、雑になっていた 自分たちの保育を 反省させられた担任。

やがて彼の「○○ちゃんお願いします」の声かけを待って 発表するように。
すっかり彼の 司会進行役が定着。
 
しかし そんな おいしい役を、
いつまでも彼一人に 独占させておくはずはなく、
一週間後には「私もやりたい」と、これまた とびっきりの照れ屋さんが。
すると 司会を独占していた子が、交代制にすることを あっさり快諾。
楽しい経験は、友だちと共有せずには いられないんですよね。
 
さて 発表内容は、
「イカはイカでも、丸いイカは」と なぞなぞに磨きがかかってきた頃、
上から読んでも 下から読んでも同じ言葉や文章となる、回文が登場。
「とまと」「子ねこ」から始まり、「新聞紙」「馬が舞う」と
文字数が増えていきます。
さらに「ドレミファミレド」「象くんパン喰うぞ」「台風吹いた」と続き、なんと、自分の名前を利用した「佐藤ゆうとサ」には どよめきが
 
数字問題の出題では、大人が「7(なな)」と予想するなか、
53335」との声が。すると「ブブー、正解は 0110でした」と。
「それなら なんでもOKじゃん」と思う大人。
でも、真顔で楽しんでいる子どもたち。
頭も心も 柔らかいんだよねぇ。
ちょっと視点を変えた「南」なんて回文も。
そしてついに、「練馬のトマトのマリネ」に至るのでした。
かなりの力技

他にも、歌詞カードを手にしての独唱や 二人組でのダンス、
友だちとユニットを組んでの オリジナルの人形劇や
ペープサート、ニュース・手品・フラフープなどなど。

どんな発表に対しても、感心しつつも
メラメラと対抗心を燃やしだす子どもたち。
すぐにアレンジを加えて 真似し始めるため、
どの活動も、あっという間に “みんなの活動”に。
しかも  レベルアップして。

司会進行にも 磨きがかかります。
話しを聞いていない子には、黙ってレッドカードを提示。
準備ができてなければ、「じゃあ 後に回すか」とも。
「これだから男の子は~」なんてお小言も。
 
自分たちで声をかけ合って、
「これこれ~」といった顔して、“発表広場”を楽しむ子どもたち。
その姿を、嬉しそうに見守り続ける ふたつの笑顔。

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