私も"あなたを作るひとり"になれますでしょうか

　燃え殻さんの記事(男はみんな｢元カノの成分｣でできている)を読んで、ずしんと深く響く夜。

とっくに大人になってしまったボクが「大人になれなかった」とうそぶくとき、あの頃の自分が死なずに、43歳になって公園のベンチで弁当を食う自分の中で、まだ息をしているのを感じる。だから男が昔の恋人のことを、ついこの間のことのように生々しく思い出したとしても、「それがあなたの成分なのね」と笑って（笑わなくてもいいですが）許してほしい。

私も"あなたを作るひとり" になれますでしょうか

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正確には彼女じゃないし、お互いの都合のいい時にしか逢わない。ずるい関係だ。
ずるい関係でいようと提案したのは私なのだけど。

「なんかね、一生一緒にいるイメージがつかないんだよねぇ」と言った彼に、

「さよならするのは嫌だから、どちらかに大切な人ができるまで今のまま続けませんか？」と提案した。

我ながらなかなかのクズだなと思う。いつか後悔する日がくるかもしれない。

それでも、彼の人生に関わりのある人間でありたかったから。彼の人生に、何か残せる女でありたかったから。

だから彼女じゃないのはまぁ構わないのだけれど、それでも淡く、「私も"あなたを作るひとり" になれますでしょうか」そんな風に思ってしまう。

いや、ちょっと嘘ついた。

本当はすごく、思ってる。

元カノにすらなれないけれど、少しでも、少しでも、 "あなたを作るひとり" になれますでしょうか。

いつかさよならした後に、 "あなたを作るひとり" になれていたらいいなと思う。静かにそっと、そう思う。

思い返せば、彼は私を作るひとりになっていた。彼が好きだと言ったハイスタを聴くようになり、私が「そうだよねぇ、そうだよねぇ」とゆっくり言葉を繰り返すようになったのも、彼の口癖や話し方がうつったから。

片眉を下げて少し困ったように笑うのも、朝にブラックコーヒーを飲むのも、夏にそうめんときゅうりを食べるのも、全部、彼の影響だ。

男に影響される女にはなりたくない、なんて思っていたこともあったのに、しっかり影響されているのだから笑えない。

男はみんな｢元カノの成分｣でできている、と燃え殻さんは書いていたけれど、女もまた、好きな人の成分でできているのかもしれない。

私も "あなたを作るひとり" になれますでしょうか。

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