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さよならで終わらせて
付き合っていると、さよならするときは別れ話をするだろう。
私たちには、それがない。
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会うのは気まぐれ。忙しい君が来るのは、決まって深夜だ。
また会うかどうかもわからない、曖昧な関係。
それが気楽で、たまにちょっぴり寂しい。
会えない日々が愛を育てるなんて言うけれど、会えない日々は自分の生活をするだけだ。多くは干渉しない。生きているのならそれでいい。それでまた会えたなら、やっぱりとても嬉しいのだ。
返事が返ってこなくなったと思ったら、1ヶ月後に普通に返ってきたり。
「え?いま?笑」
「うん、いま。」
なんてやり取りで、空白の時間が埋まる。
今度もなかなか返事がない。
仕事が忙しいのはわかるので、特になにも言わずに日々を過ごす。
急かすでもなく。つつくでもなく。
そうして次第に、これはもうおしまいなのかもしれない、と気づく。
+++
私たちの終わりにさよならはない。
いつの間にか終わってしまうものなのかもしれない。
けれどそれでは、気持ちの区切りはつかないまま。
またふらっと来るかもしれないなんて、淡い期待に縛られてしまう。
君が愛してないのは知ってるから、
せめて最後はさよならで終わらせて、と願う。
君の影を追わなくていいように、さよならで切り捨ててほしい。
君がさよならを告げるなら、私はそれを飲み干そう。
けれど君はそれをしない。
そして私も何も言わない。
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