いいこをやめたい。
私は良い子じゃない。そんなんじゃない。なのに、「いいこだから」だめになった恋がある。 それは、良い子を履き違えていたからだ。
物分かりのいい女がイイ女なんじゃない。そう気付いたから、もう良い子ぶるのはやめにしたい。
共通の知人が多いため、今では友だちとしてたまに連絡を取っている元恋人がいる。彼は大阪にいるので会うことはほぼない。SNSを見て少し太ったな、という事と、また新たにお店を始めたことしか知らない。
かつて聞いたことがある。
私のどこがいけなかったのか。
そもそもお互い嫌いになって別れたわけではなかった。結婚する前にもっと遊びたいとか割とわけのわからない言い争いをして私がもういい!ってなったような気がする。今となってはどうでもいいけれど。
けれど、一応どこがいけなかったのか聞いてみた。
すると、彼曰く、私は良い子すぎるからだめなのだと。
いやいや、数年一緒にいたわりにわかってないなこの人、と思った。私は全然良い子なんかじゃない。矢沢あい先生の漫画で言うなら「天使なんかじゃない」だ。いや、さすがに天使とは言ってないんだけどね。
良い子に見えたなら、それは猫をかぶってただけかもしれない。実際はそんなに良い子じゃない。
もしかしたら、私の思う"良い子"と、彼の思う"良い子"は違うのかもしれないと思い、もう少し突っ込んで聞いてみた。
すると、彼はこう言った。
「もっとわがままを言って欲しかった。」
わがまま?だってわがままを言う女は可愛くないでしょ?めんどくさいでしょ?
そう思って我慢したこともたくさんあった。
私はどこかで、彼の望むであろう私を演じていたのかもしれない。空想上の生き物だ。結局、向き合えていないのだ。上辺だけで幸せになった気になっていたのかもしれない。見たくないところからは逃げて。
そんなだから3年かそこらで終わりを迎えてしまうのだ。
私は本音を見せていただろうか。
嫌なことを嫌と言わず、平気なフリをして、寛大な女にでもなったつもりでいたのかもしれない。とんだ強がりだ。それこそ可愛くない。
けれど、上手にわがままを言える気がしない。
甘え方がわからない。
可愛いわがままと、鬱陶しいわがままの違いがわからない。困ったものだ。
けれど1つ言えるのは、物分かりのいい女がイイ女なんじゃない。そう気付いたから、もう良い子ぶるのはやめにしたい。
これからは少しくらい、可愛いわがままを言える女の子になりたい。