マガジンのカバー画像

論語

56
『論語』に関する記事をまとめています。
運営しているクリエイター

2023年2月の記事一覧

他人からの評価なんて気にしなくていい(『論語』学而篇)

今回取り上げるのは『論語』学而篇からの名言。 他人が自分のことを分かってくれないことなんか気にせず、自分が他人を分かってあげられないことのほうを気にかけなさい、という意味。 孔子は、人として正しくあろうと心がける限り、他人からの評価は後からついてくると考えていました。 これは孔子自身の体験に基づくものです。 孔子は魯という国の出身です。 父はおらず、母とも一緒に暮らせず、とても貧しい少年時代を過ごしていました。 しかし、母が属する集団が祈祷や祭祀を執り行う知識人で

自分の限界を勝手に決めつけていないかい?(『論語』雍也篇)

今回取り上げるのは『論語』雍也篇からの名言。 今あなたは、自分の力量にはじめから限界を決めてしまっている、という意味。 自分は力不足であると嘆く弟子に対して、孔子が言った言葉です。 「あなたは自分で自分の限界を決めてしまっている。だから、もっと自信を持っていいんだよ」 といった感じの激励になります。 この弟子は冉有(ぜんゆう)というのですが、彼はきっと、師匠である孔子と自分を比較して落ち込んでしまったのでしょう。 すぐ近くに才能のある人や成功している人がいると、自

孔子曰く、「失敗から何を学ぶかが大事」(『論語』学而篇)

今回取り上げるのは『論語』学而篇からの名言。 失敗や間違いをしてしまった場合は、反省してすぐに直しなさい、という意味です。 人間たるもの、失敗はつきものです。 しかし、失敗するということは挑戦したということでもあります。 そこで得た経験を次につなぐことができれば、それは前向きな行動と言えるでしょう。 エジソンの言葉が参考になります。 とても前向きですよね。 エジソンにとっては、「失敗」は成功へのステップに過ぎなかったのです。 孔子も「失敗」をただそれだけで「失

孔子曰く、「楽しむことが9割」(『論語』雍也篇)

今回取り上げるのは『論語』雍也篇からの名言。 とあることを知識として知っているだけでは、それが好きな人には敵わないし、それが好きというだけでは、楽しんでいる人には及ばない、という意味です。 学問やその他の物事全般に言えることかもしれませんが、何事も楽しんだ者勝ちということですね。 あなたには趣味や好きなことはありますか? 最近、それらを楽しめていますか? 私は歴史や古典が好きです。 中国古代史や中国哲学だけではなく、日本の戦国時代や幕末、果ては神社の歴史などにも興

願うのではなく、行動することが大事(『論語』雍也篇)

今回取り上げるのは『論語』雍也篇からの名言。 「敬遠」という言葉の典拠です。 今では野球でも使用されているような一般的な語句ですが、元を辿っていくと『論語』に行き着くのは面白いですよね。 孔子の時代、死後の御霊は神聖なものだと考えられていました。 現世の肉体が滅んだとしても、魂としては残っていると考えられたのです。 そのため、神様や祖先の魂などの神秘的なものは「鬼神」と呼ばれ、恐れ敬われていました。 この考えは後に道教の元で洗練されていき、今でも「魂魄」という熟語

まずは質問してみることの大切さ(『論語』季氏篇)

今回取り上げるのは『論語』季氏篇からの名言。 孔子が考える、「君子」にとって重要な9つの要素のうちの1つとして出てきます。 疑問に思った際には、相手に質問してみることが大切だということです。 これはビジネスでも同じですよね。 知らないことや分からないことがあったら聞く。 ただ質問するだけなのですが、私は実はこれが結構難しいと思っています。 理由は2つあるのですが、 まず「本当は理解していないのに、分かった気になってしまう」ということ。 聞いたときには 「あー

怒りの悪影響を周囲に及ぼさない人になりたい(『論語』雍也篇)

今回取り上げるのは『論語』雍也篇からの名言。 魯という国の君主(哀公)が孔子の弟子について質問した際、若くして亡くなった顔淵の素晴らしさについて、孔子が語った言葉です。 顔淵とは顔回とも呼ばれる賢人で、孔門十哲(孔子の門下生の10人のすごい人のこと)の一人に数えられます。 清貧な暮らしを送り、徳の高い素晴らしい人でしたが、32歳の若さで亡くなったために、孔子は慟哭したそうです。 あの孔子先生が嘆き悲しむほどですから、どれほど将来を嘱望されていたのかが伝わってきますね。