個人の成長の限界を感じたら
管理部門は日々の業務を淡々とこなすことが役割であり、それゆえ毎日、毎月、毎年同じことを繰り返しがちになる。
しかもルールとルーチンにのっとって行う必要があるので、創意工夫の余地は限られる。
改善活動は手作業をマクロで自動化したり、書類フォーマットの項目を合理化するなど、日々の業務を効率よく行う範囲に限られ、あまり劇的なインパクトはない。
手続きの改善活動の定量評価をしたとき、浮いた時間数と人件費時間単価から出た数字に「こんな程度しか・・・」と思ってしまったものである(継続的に効果が出ると考えると塵も積もれば、だが)。
残酷なことを考えれば、手続きを合理化して管理部門1人を不要にすることが最も効率的に経費削減になるのである。
そんな管理部門にとって、全社規模のプロジェクトに参画することは、日々の業務で培った知見を活かすとともに新しい知見を得る絶好のチャンスである。
例えば新しい事業の発足、大きな事業所の設立・社屋の建設、大規模システムの導入・開発・リプレイス、新会社の設立、M&Aなど、会社が数千から億単位の投資をかけるものなどである。(法務にとっては訴訟などマイナスとも言えるものもある種プロジェクトだが。)
一度プロジェクトを経験すると、視野の広がり、レアな経験などプラスは大きい。
一方で、プロジェクトが終わってしまって暫く経つと日々の平穏な業務を退屈に感じてしまう、死ぬほど辛いなかで必死に終わらせたようなプロジェクトでも、「またないかな」という気持ちが芽生えてしまう人がいる。
そんな人はワーカホリックかもしれないし、向上心があるのかもしれない。
たが、これはあくまでも個人スキルの向上にしか目が向いていないというのも忘れてはいけない。
組織は複数の人によって成り立っており、自分一人のスキルが向上することの影響には限界がある。
人を育てることは、その人を通してさらに多くの人を育てることになる。
自分が3人の成長に貢献したら、その人達がさらに3人を育てたなら9人の成長に貢献したことになる。
自らの成長に限界を感じたら、波及効果を意識した組織成長に眼を向けてはいかがだろうか。