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【現代ファンタジー小説】祓毘師 耶都希の復讐(40)命毘師、現る

(どんなやつか、楽しみだわ)

 命毘師への憎悪感と共に、僅かなワクワクする感が入り混じる。

 命毘師による蘇生期限は四十八時間と聞いていた。つまり二日後の夜まで現れなければ、蘇生はない。それを望むと同時に、そいつが現れることも期待していた。

 激しくなる雨の深夜。
 いつ来るか分からない命毘師のために、一睡もせず。朝6時過ぎには、すでにマスコミらしき男が二人、道路に立っていた。



『速報です。兵庫県議会議員回道《かいとう》正志《まさし》氏、50歳が、昨夜入院中の病院で死亡が確認されました。回道氏は二日前に体調を崩し、姫路市内の病院に緊急入院、治療を受けていた模様です。先月から不可解な事件の重要参考人として……』

 車中テレビで朝のニュースを確認していた。

(マスコミが押し寄せて来るな。……命毘師、そんな状況では来ないだろうね)

 朝8時頃には雨もやみ、回道宅に出入りする人、外にはマスコミ関係者が増えてきた。
 この状態では目的の人物も暫く来ないだろう。その場を離れ、最寄り駅付近の駐車場で二時間ほど仮眠を取ることにした。

 目覚めてから、再び回道宅の見える場所まで移動。誰がマスコミで、支援者で、野次馬で、等とはどうでもいいほど戯れている住宅街の一軒家。
 常備してあるお気に入りのドリンク剤を一気飲みし、ぬるいブラックコーヒーとおにぎり一個を食しながら、様子を窺う。停車する場所を何度か変え、時には徒歩で張り込んだ。
 午後3時を過ぎる頃、烏合の衆は半数以下に。

 状況の変化は、午後5時半を回った頃だ。
 回道宅から出てきた複数の人らは各々その場を後にし、スーツの男が外にいるマスコミ関係者などを追い払い始めたのだ。

(どうしたのだろう? )

 運転席に前屈みになり、さらに凝視した。
 静閑な住宅街のため、近隣住民への配慮もあるかもしれないが、家にいた関係者らしき人物たちも追い出したように感じた。
 六時頃には、外に一人もいなくなった。

(……来るか? )

 あいつは車で来るのか、電車で来るのかは分からない。少し離れた最寄り駅からなら、タクシーを使うだろう。車で来るにしても路駐するか、公園の駐車場に停めることになる。どちらにしても南東側から来ると予想出来た。
 南西側の玄関と南東側の勝手口がある回道宅。勝手口側の側道と、玄関側の道路が目視出来る位置で待機することにした。

 時計は7時に近づく。太陽は沈み、薄暗い住宅街。
 数分前に南東側へ下ったはずのショルダーバックの男と、身長の差のある女性二人が、視線左から徒歩で現れた。
 三人は、回道宅の勝手口に消えた。

(もしかして……)


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