【短編小説】No.2 森のくまさん
ある日 森の中
くまさんに出会った
花さく 森の道
くまさんに出会った
「この歌おかしいと思わない?」
「おかしいって何がだよ」
「くまさんと出会ったのよ?のんきすぎない?」
そう言って彼女は口を尖らせている。
「おとぎ話はのんきなもんだろ」
見るもの全てに不満がある彼女には、正直飽き飽きするときもあり、このときがまさにそんなときだった。
「今、適当に返事したでしょ?」
常に鋭い目で世の中を見つめる彼女といると、小さな挙動も見逃してくれないから気が抜けない。
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