悲鳴 (アサツグトリ3章:ヒバリとスズ)
このゲーム、別に百合として見てなかったんですが、百合(個人的定義を含む)の匂いを急に感じ取った。
スズがダンスを始めたのは好きだからではなく「褒められたいから」だった。幼少期は何もかもを与えてくれたが、友達の手作りリボンは唯一手に入らなかった。友達はそれを自慢してちやほやされていたから、それを取って怒られた。それから思う、次はうまく奪おうと。そこで、母親が好きだった歌劇団のダンスを盗むことにした。そうすればチヤホヤされる。
その話を聞いたヒバリは、学んだことが「悪いことはしてはいけない」ではないことが理解できない。「よくわからないよ」と正直に伝える。
スズは「下手にわかると共感されるより良い」と返答する。今まで通りの自然体のまま、ある意味ですれ違う関係を望んでいる。
「自分の胸のうちを喋ったら、少しスッキリしました。気分がいいから、1曲一緒に踊りましょう」
「ええっ、わたし踊れないですよ!?」
ぎこちなく踊るヒバリを見て「本当に下手ですね」と笑う。
スズはヒバリを理解する。
笑っているスズを見て、ヒバリも理解する。
スズは猫みたいで、気まぐれで自分勝手でわがままで、でも可愛いこと。
自分で武器にしているとわかっていても、可愛がりたくなることを。
(ダンス上手くならないとなぁ…)
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このシーン、「自然体でいいんじゃないか」と望んでいるスズが、ダンスを通じてヒバリに「もっと自分を理解してくれるんじゃないか」と期待しているように見えてすげー好き。
それを受けたヒバリも、ダンス上手くならないとなぁ、って歩み寄りに行くのがね…
そして、カリンとヒバリでの探索パート
同じ場所で、スズとカリンとヒバリが1人ずつ踊るシーン。
そこで踊ったヒバリが「基礎はできてますね」とスズに褒められる。
ヒバリも(褒められるとやっぱり嬉しくなる)と心地よく思う。
実はこの場面、さっきのシーンがループで消えた後の別ver。
会話はループで消えるけど、スズから教わったダンスの基礎は残っていて、それを褒められている。
スズが褒められるために身に着けたダンスを、ヒバリが教わって、スズ自身が褒めている。こんな形の自己肯定が見れて感動しています、本当に。
自分が百合に魅力を感じているのは、その2人でしか得られない対等性や不足を補う相互支援性が理想的な人間関係がより形成しやすいと思っているからだったりします。
なので、スズの「そんなに深い関係は別に」って姿勢を、ヒバリが打ち破って補完してくれているので、もうまさしく欲が満たされた感じがある。
・おまけ:4章
あとがき:これ書いてるときに父親に覗かれて「百合って書いてる」って指摘されたの納得いかない
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