映える秋がわたしの味方
ここ数年、モノトーンに傾倒していた。
黒いリュックを買ったのは2年前。お気に入りだったカーキのリュックがなんだかしっくりこなくなって、どうしても黒くて四角いリュックがほしくて、そんなときに雑貨屋で一目惚れして買ったのだった。
トップスは白か黒が9割。クローゼットから色彩が奪われて久しい。合わせるボトムスはデニムも少しあるけど、黒買いがち。下着もいつのまにか黒ばかりになっていた。
小物はグレー。グレーの水筒、グレーのスニーカー、グレーのハンカチ。迷ったらいつもグレーの方を選んでしまう。だってグレー、かわいいじゃん。あの淡さが。
いちばん最初の緊急事態宣言が出た頃のnoteで、わたしがモノトーンに惹かれてしまうのは彩りが女らしさに結びつくことへのレジスタンスだ、みたいなことを書いた記憶がある。
書いたそばからちょっと恥ずかしくなったのは、そういう意思表示の意味合いはあるものの無難なファッションに流れている面が否めないからだ。
モノトーンにまとめておけば失敗しないし、少ない手持ちで楽に着回せる。ただその言い訳にカッコイイこと言ってる感がしてしまう。
そんな後ろめたさのためだろうか。
あるいはモノトーンに振り切りすぎた反動か。
もしくはただ流行に飲み込まれているだけか。
ここのところ、パキッとした色合いに惹かれる。「かわいい」って素直に言える。そしてレジに直行する。
今日、靴下屋でソックスを買った。くるぶしが隠れるくらいの長さの靴下がほしいなと思って(それだけを指してソックスというらしい)、店内をぷらぷらしていたら見つけた。パキッとしたオレンジ。パキッとしたグリーン。
あ、好き。
こんな色の服は持っていないし、小物もない。だけど猛烈に惹かれた。白いスニーカーを履いた足下にパキッと覗かせるオレンジを想像した。良い。
一応黒も買っとこう(ちょっと日和ったか)。
パキッとした色味を全身に纏う勇気はないし、たぶん似合わない。だけどアクセントとして忍ばせてみたい、そんな遊び心がくすぶっているみたい。
そういえば、先週もかわいいタオルハンカチを買った。目の覚めるような鮮やかな色合いとフワフワな触り心地に一瞬でやられた。2枚買った。あの日から、わたしのカラフルスイッチが入ったのだ。
モノトーンは美しいし、グレーはかわいい。その評価は依然として変わらないし、それが好きな気持ちも変わっていない。
だけど今、その対極にあるようなパキッとカラーに体温が1度上がる。ときめいている。
それはもしかしたら、モノトーンに映えるからかもしれない。モノトーンとの蜜月を脅かすものではなくて、むしろ際立たせてくれるものなのかもしれない。
あるいはまた、わたしを新しいステージに引き上げてくれるのかもしれない。
なにはともあれ、わたしはこの新しいトキメキに気分がアガッている。昨日よりもステキな自分になれそうな予感。
肌寒さと雨と別れとで気が滅入りそうな季節だというのに、我ながら能天気なことだけど。
たぶんこれは、わたしの強さだ。
鮮やかな色の美しさを味方に、タフに生きていこう。