7月に観た映画(遅)
暑くてやる気がありません
26.ブラック・クランンズマン
2018年公開 スパイク・リー監督
史実に基づく黒人警官のKKK潜入任務を描く伝記映画
今なおアメリカに根付く白人至上主義団体クークラックスクランによる問題を訴える社会派で硬派な映画。
「黒人警官がKKKに潜入」という宣伝文句からエンタメ色を期待してみたら全く違った。
実際に潜入を担ったのはユダヤ人の警官フリップで主人公の黒人警官ロンは電話に出る係。
ここらへんが疑問で、フリップが潜入するに当たって声の違いはどうするのかみたいなくだりがあるのだが、最初から電話もフリップが出るようにすればいいんじゃね?って思ったんだが。
この論理的でない設定で事がうまく運んでしまうようにKKKがおマヌケとして描かれるのだが、特に笑いどころというわけでもなく淡々と描かれる。
こういったユーモラスさに欠ける描写というのもすべては黒人差別問題というものに対する徹底したメッセージ性の強さがあるためで、この映画の最後には2017年に起きた白人至上主義者らによる抗議活動による事件の実際の映像を流して今なお根付く人種差別への痛烈な批判としてのメッセージを出している。
こうしたメッセージ性を色濃く描くがあまり設定的にどうなのかと思われる演出が感じられて個人的にはあまり楽しめなかった。もちろんそこには日本人としての人種差別問題に対する意識の低さみたいな前提が欠けていた部分はあるのかもしれない。
27.ザ・レジェンド
2015年 アメリカ中国カナダ合同作 アクション映画
ヘイデン・クリステンセン主演 ニコラス・ケイジ出演
最近はB級映画を事前に知ってみることが多くて2時間を切るB級映画というだけで自分の中で評価がワンランク上がってしまうというタイパ重視的な見方をしてしまうことに気づきました。
本作は思ってたんと違う!的なプロモーション詐欺的B級中世アクション。
時は12世紀、十字軍に仕えた騎士二人が戦いに疲弊し、中国へ旅立ち次の皇帝の座の争いに巻き込まれる話。
なぜ中国へ?という疑問はよそに、主人公ジェイコブがなりゆきで皇帝の次男ジャオを匿うことに。そこでジェイコブはジャオに戦いの術として弓矢を教えるシーンが印象的なのだが、このジェイコブとジャオの関係性はジェイコブの師匠でニコラス・ケイジ演じるガレインとの対比になっていることが初めて分かる。つまりジェイコブは師であるガレインを追って中国へたどり着いたというわけであるが、肝心のガレインとの再開ではガレインは酒に呑んだくれた盗賊(ニコラス・ケイジらしいっちゃらしいのだが)で一応最期に見せ場はあるもののなんとも情けない役どころ。
これ原題はoutcastつまり落伍者という意味であるのだが、この邦題の詐欺っぷりは酷い。
あとラストの適当な畳み掛け具合もなかなかひどい。ラスト5分が目まぐるしすぎてなんの余韻も残さないのはすごい。
ただこの映画美術関係は悪くなくてほんの一瞬しか出てこない十字軍の戦いのシーンでもセットや衣装などしっかりしている。主演のヘイデン・クリステンセンの存在感も悪くなく、アクション自体も普通に見れる。
そういう意味ではウォッチパーティー的にみんなで見るB級映画として悪くない部類に入ると思う。
28.ダンケルク(2017)
2017年 クリストファー・ノーラン監督
第二次世界大戦のダンケルクの戦いを描いた作品
ドイツ兵に一方的に追い詰められていく緊迫した展開の連続。
イギリス兵の救出劇をノーラン監督特有の3つの視点を切り替えながら描き常に張り詰めた空気感が面白い。
あまり戦争ものを知らないのでそもそもダンケルクの戦い自体知らず、そういった意味ではもったいない見方をしたかなという印象。もっと知識を付けて見てみたい。
劇中ではセリフは少なく淡々ながら緊迫した場面がずっと続くので上映時間100分にくらべ体感時間はかなり長く感じた。
ノーラン監督はインセプション、インターステラー、テネットなどSF作品に目が行きがちだがそんななかでダンケルクの戦いという史実を描く器用さも持ち合わせている一面が見られた。新作、オッペンハイマーも楽しみ。
やばい!週一ペースの視聴が崩れてしまった。8月で取り戻せるか。
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