8月の読書
7.その昔、ハリウッドで
タランティーノ著、田口俊樹訳
2019年「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のノベライズにしてタランティーノ初の小説作品。
今年5月に発売された単行本で値段は3000円。単行本なんてほとんど買うことないけどやっぱり高い!
ちなみにこの間古本屋のセールで2000円くらいで買った13冊の小説があるのでぼちぼち読んでいきたい。
確かにワンハリのノベライズではあるんだけど、小説ではストーリーの描かれ方が大きく違っている。
映画ではラスト十数分の事件に向けてリック、クリフ、シャロン・テートの3つの視点が描かれているが、小説版はまさにタイトル通りに、50、60年代のハリウッドの歴史をリック・ダルトンという虚構を交えて語られるハリウッド史で映画で起きるその事件の顛末は小説ではたったの数行で語られるのみである。
そういう意味ではこの小説は映画を見た前提で成り立っているように思える。
この小説では前述の3つの視点以外にもチャールズ・マンソンやマンソン・ファミリーの視点で映画のあのワンシーンを描いていたりもするが、全体を通してみるとリック・ダルトンというハリウッド制作のウエスタンドラマ時代を生き抜いた俳優とその時代の移り変わりを描くものであると思う。この小説を読んで驚くのがこの50、60年代LAのシーンを彩ったエンタメたち(TVドラマ、映画、音楽)の固有名詞の多さだった。中には虚構のものもあると思うのだが、このしつこいほどの細かさというのがタランティーノの映画オタクならではのものだった。
映画を補完するという意味でも映画版が好きだった人なら読んで損はないし、タランティーノファンであるならぜひとも読むべき一冊。
読書習慣なんとか戻しました。大量に購入した古本(主にミステリー)を読んでいきたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?