レジメンごとの副作用の学び方
いざレジメンハンドブックなど開いても、どうやってこれを覚えていけばいいの!?となっている方へ。構成薬剤に分解し、それぞれの特徴を足し算するように勉強していきましょう。
レジメンを構成薬剤に分解してみよう
例えば大腸がんで考えてみましょう。代表的レジメンとして、
CAPOX(カペシタビン+オキサリプラチン)
FOLFOX(5-FU+オキサリプラチン+レボホリナート)
SOX(S-1+オキサリプラチン)
IRIS(S-1+イリノテカン)
CAPIRI(カペシタビン+イリノテカン)
FOLFIRI(5-FU+イリノテカン+レボホリナート)
などなどあります。
抗がん剤たくさん~・・・と感じますが、構成薬剤は似通っています。
レボホリナートを除くと、ここに登場している薬剤は5種類だけ。
しかもカペシタビン、S-1、5-FUは同じフッ化ピリミジン系。同系統の薬剤の副作用は類似していることも多いです。
そう考えると、少しできそうな気がしてきませんか?
レジメンごとではなく、構成薬剤を学ぶ
レジメンごとに丸覚えしようとすると、そりゃぁ大変です!
ですが、この副作用はどの薬剤に起因するのかな?ということを意識すると、同じ薬剤を含むレジメンについても学びやすくなります。特徴的な副作用だと無意識のうちにしている覚え方だと思います。
例えば、「CAPOXには末梢神経障害の副作用がある」という覚え方では他に応用が利きませんが、「オキサリプラチンは冷感刺激による急性末梢神経障害に注意が必要である」という覚え方であれば、CAPOXでもFOLFOXでもSOXでもその指導ができるようになります。また、オキサリプラチンは中等度催吐性リスクに分類されるから、CAPOXもFOLFOXも催吐性リスクは中等度だろうな、と考えることができます。
何となく、ではない覚え方をしよう
化学療法は副作用が発現することを前提とした治療です。そのため、なんとなく起こりやすそうな悪心を確認しておこうかなとか、そういうモニタリングをしがちです。
ですが、先に述べましたように、「オキサリプラチンを含むから催吐性リスクは中等度」のように理解しておくと、そのレジメンの催吐性リスクを考えながら悪心のモニタリングができるようになります。
他剤併用療法ではもちろん相加・相乗効果で単剤よりも増強される副作用もありますが、そうしたものは基本を覚えてから肉付けするように勉強すると覚えやすいです。まずはベースを整えるために、「このレジメンでは●●の副作用が起こりやすい」という覚え方から「このレジメンは**という薬剤を含むから●●という副作用が起こりやすい」という覚え方をしてみませんか?
*補足
催吐性リスクは構成薬剤の中で最も高いリスクのものになることが多いですが、一部異なるものもありますので、紹介したものは一例です。
例外)FOLFIRINOXはイリノテカンもオキサリプラチンも単剤での催吐性リスクは中等度ですが、レジメンとしては高度催吐性リスクに分類されます
まとめ
いかがでしたでしょうか。言われてみれば当たり前のことだったと思います。ですが、副作用を考えるとき、ひたすら丸覚えしようとする方が多いように思います(私の周りだけ…?)。
・どの薬が原因なのか
・同系統のまとめ覚え(副作用類似しているものが多い)
この2つでだいぶ楽になります。手あたり次第ではなく、似たレジメンをセットにして勉強していきましょう。