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がん種ごとの学び方

レジメンに慣れてきたら、1つのがん種の治療の流れを勉強していきましょう。といっても、勉強すること多くてなかなか進まず、挫折しがち。しばらくして再度一念発起するも忘れてるから前に見たところからやり直し・・・書籍の冒頭、永遠ループしてませんか?!

このループから抜け出すポイントは、最初から完璧を求めないこと。

まずは柱となる基礎を短期間でさらって全体像を掴み、そこに枝葉を付け足していくように細かい勉強をするのがおすすめ。大腸がんを例に見ていきましょう。

治療法はStage(進行度)により分かれることが一般的ですが、術後補助と進行再発で分けると整理しやすいと思います。

まずは術後補助を見ていきましょう。
大腸癌の場合、再発高リスクのStageⅡとR0切除されたStageⅢが術後補助の対象です(R0切除とは完全切除のこと)。

★術後補助
・カペシタビン単独
・5-FU+ℓ-LV
・UFT+LV
・S-1
・CAPOX(カペシタビン+オキサリプラチン)
・FOLFOX

どういうときにオキサリプラチンを重ねるのか重ねないのか等は後回しでOK。まずはこれらレジメンを術後補助として使用するということを覚えましょう。イリノテカンは使用しないというような気づきも大切です。

続いて進行再発です。このとき、1次治療2次治療3次治療と呼びますが、このカウントに術後補助の経験は含まれません。進行再発としていくつめのレジメンなのかでカウントします。

では、それぞれの段階で用いるレジメンを覚えていきましょう。大腸癌の場合、MSI-H、BRAF遺伝子変異、NTRK融合遺伝子陽性などの情報でさらに細かく分かれますが、後回しでOK。まずは特記事項のないところが柱なので、そこを優先的に覚えます。

大腸癌の進行再発の1次治療と2次治療は似たりよったり。こういうときポイントになるのは、ここでしか使えないといった例外を覚えること。例えば、ラムシルマブは2次治療からしか使えません。そういう例外を押さえれば、あとはひとまとめに覚えてしまってよいですよね。

★1次治療、2次治療
オキサリプラチンorイリノテカン含有レジメン+分子標的薬が基本
でも、ラムシルマブが出てきたら2次治療の可能性大。
つまり前治療があるから、その影響が残ってないか加味して指導にあたらないと…となるわけです。

★3次治療
レゴラフェニブやFTD/TPI±ベバシズマブ
これらの内服薬が出ているならすでに後方ライン。オキサリプラチンは経験済だろうから、末梢神経障害の影響はどうかな。これまでの治療で辛かった副作用何かな。残された治療選択は少ないから、できるだけ長く続けられるように副作用は抑えていきたいな。患者さんは今、ご自身の状態をどこまで把握してるのかな…治療の段階がわかると、こんなことを考えられるようになります。

ここまで理解すれば柱は立っています。
あとは枝葉をつけるように後回しにした内容や、原発が左側と右側の場合の治療選択の違い等の細かいところを勉強していくと、柱が立っているのでスムーズに進められると思います。

この場合は、あの場合は…と調べることは大切ですが、最初から掘ってしまうと先に進まなくなって長続きしませんから、まずは全体像をざっくり掴んでから詰めていくと良いと思います。

正直、薬局での日常業務レベルならこの一連の流れが分かれば患者さんの対応に支障はないと思います。専門性を目指すなら深堀りして以下のようなことも知識として知っておくとよいのではないでしょうか。

術後補助は術後どのくらいに開始するのが理想?
CAPOXを3ヶ月に短縮できるのってどんなとき?
FOLFIRIとFOLFOXの使用順って決まりあるの?
RAS変異で使用できる薬剤が変わるの?
BVは1次治療に引き続いて2次治療でも使えるの?

最初から細かいことを考えすぎると難しく感じて挫折しがちです。挫折しないためのポイントは、とにかくまずは全体をさらうことを意識し、小さな疑問は後回しにしていったん先に進むこと。一度最後まで辿りつくと達成感が得られますし、全体像を掴んでから細かいところに立ち返ってみると最初より難しく感じず、勉強を続けやすいと思います。いつも途中で挫折して参考書の頭だけ繰り返し読んじゃう・・・という方は一度試してみてくださいね。今日も頑張りましょう!

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