蒼歌表紙版

蒼空の歌謳 -4-

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白夜が来てくれたおかげで、形勢逆転!!
俺達の人生初魔物との戦いは、見事圧倒的な勝利に終わった!!
・・・・・・って、上手い具合に話が進んでくれればいいが、現実そうは行かないさ。

ヒューン!!

「・・・・・・ねぇ、リーン~」

ヒュン!!

「ん? どうかしたか?」

ビュン!!

「・・・・・・いつまでこれ、続けるのぉ?」

白夜は左腕をゆっくりと上げると同時に白夜の周りに風の元素霊リズが集まり、サッと振り下ろすとリズが作り出した風の刃を『切り札』へと放つ。
俺とフォノは白夜が何をやっているか分かるが、はたから見れば白夜がただ腕を上下に振っているようにしか見ない。
今村の連中に見られたら、これから怪しい人として扱われそうだ。・・・・・・何食わぬ顔でそんな白夜の近くにいる俺達を含めてな。

今は『切り札』に対して反撃中だ。一応。
さっきまでの戦いで、俺の氷龍やフォノの炎鎚での物理攻撃は効かないことが分かった。
フォノの使う武器への属性添付『インスタル』は詠唱に時間がかかるし、フォノの集中力がいつまで続くか分からない。
こんな状況下で思いついた、ヤツへの対抗策及び時間稼ぎのための作戦が、これだ。
ひたすら風の刃を使ってぶつける。
白夜が今使っているのは『元素霊術』というリズなどの元素霊、主に火、水、土、風の四大元素を操ることが出来る特殊な術。
どこが特殊かって? この術は、精霊にしか使えないんだ。
そもそも、元素霊自体精霊にしか見えないから、他種族は使おうにも使えない。
ま、そんなややこしい連中を、なぜかは知らないが俺は見えるし操ることが出来るんだよなぁ。

「いい加減、別の解決策を練った方がいいわよ。白夜の体力も心配だし」

フォノはいつの間にか俺達の近くに普段の表情よりも更に不機嫌な顔で立っていた。
俺は氷龍をできるだけ傷がつかないように近くの地面に刺している。

「僕は大丈夫だよぉ。リズ達を使う時は特に力は要らないから~」

ヒュンッ!! 白夜はのんびりとした返答をした後、また風を『切り札』にぶつけた。
風が近くで生まれるせいか、剣で一気に振り下ろした時に聞こえる音、空を裂くような風の音が異常に耳に響く。

「・・・・・・でも、そろそろ百発は超えるんじゃないかしら。それに・・・・・・」
「グラララララララ!!!!」

フォノの呟きと同時に、ヤツの叫び声を上げた。

「・・・・・・あまり、効いてないみたい。もう、時間稼ぎは無理ね」
「きっと、この攻撃が効いたのは、違う攻撃が来てびっくりしていただけだねぇ」
「あ、実は俺もそう思ってたんだぜ」

「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」

お互いがお互いの顔を見合わせ、一瞬沈黙が流れた。
俺は急いで右手をサッと挙手。

「・・・・・・さっ、作戦タイム!!」
「あるわけないでしょ!!」

こんな大声で冗談を交わしているが、『切り札』はさっきからその場を全く動かないし、攻撃も仕掛けてこない。
今は何も目的がなく、動く気がないようにも見える。
数分ぐらいは、本当に作戦を練ることが出来そうだ。
・・・・・・あまりお礼を言いたくないが、ありがとう『切り札』!! もう少し動かないでくれよ。
フォノは、大分参ったような表情を見せる。フォノがこんな表情を見せるとは・・・・・・。

「とりあえず、あの魔物の属性を調べないと・・・・・・私達にチャンスはないわ」
「そうだねぇ。でも、さっきの攻撃から分かったことがあるよ」

なっ、何だって!?
俺とフォノは弾かれたように白夜の方を向いた。どうやら、フォノも白夜の発言には驚いたみたいだな。
白夜は、いつもののんびりとした表情を引き締め、真面目な顔になる。

「ウソだろ・・・・・・時間稼ぎに使っていたあれだけで分かったのか?」
「うん。属性には、同じ属性に対する攻撃は攻撃が無効化される特徴あるから、それを使ってね。
さっきまで、僕は元素霊を使っていたけど『風』の属性で攻撃をしていた。
でも、あの魔物には全く効かなかったし、あの魔物の近くには風の元素霊が集まっている。
つまり、あの魔物の属性は現時点では『風』、もしくは『雷』の二つに絞ることが出来たんだ」

やっぱり、白夜は真面目になると本当に真面目な声になるなぁ。普段の口調と喋る量の差が大きいぞ。
フォノは「そういうことね」と軽く頷き、俺はゆっくり、しっかり深く頷いた。
へぇ、頷く動作だけでも理解している人と理解していない人を比べてみると、随分と違うな。
俺はきちんと理解できてないけど、とりあえず話にはついて行こう。

「じゃあ、あいつの属性がどちらかを調べないといけないのね」
「うん・・・・・・どちらかに絞らないと、僕もきちんと攻撃できないから・・・・・・」

白夜が歌謳を使う回数は、体力の関係で限界がある。それも、ほんの数回しか使えない。
あいつには、あまり無理をさせるわけには行かない・・・・・・。二つの選択肢を一つに絞る方法・・・・・・あ!!
俺の頭から、豆電球が突然点灯したような溢れる輝きと共に素晴らしいアイデアが!!

「なら、あいつにさっきとは別の属性の術をぶつけたらどうだ?」
「「別の術?」」

二人の声が重なった。
フォノがはて、と首を傾げ、白夜は左手を軽く握りアゴにつけながらフォノと同じように首を傾げて考えている。
白夜は、首を傾げたまま呟くように尋ねる。

「じゃあ、どんな術を使うの?」
「そうだなー・・・・・・ウォルを使って水をかけるとか」
「・・・・・・ふぅ」

今度はフォノにめいっぱいため息をつかれた。
白夜は、そんなフォノの態度と俺を交互に見て苦笑い。

「リーン、あなたの耳は単なるお飾りかしら? その様子だと、さっきの話は全く聞いてないように見えるけど」
「俺の耳と呼ばれている部分は先程も今現在も正常に活動中ですが。それが何か?」
「・・・・・・なら、学力不足ね。『水』の属性は、『風』に対して全く相性を持たないの。つまり、無意味ってこと」
「『風』は『火』に弱く、『土』と『氷』に強い。『雷』は『水』と『重』に弱く、『炎』に強いからね」

フォノの説明に、白夜が属性の相性について補則を入れてくれた。うん、何とか理解できた気がする。
でも、これだけ属性ごとの相性が多いとなると、どの術を使ったらいいか困るな。

「ねえ白夜。今、歌謳何回使える?」
「最高、二回だね。それ以上も使えるんだけど・・・・・・半年以上も使っていないし、体力が持たないから」
「だとすると、『火』か『土』、もしくは『重』を使うとして・・・・・・」

まさか、白夜とフォノは、ひたすらさっき出てきた属性を全てぶつける気なのか?
まあ、こんな状況下で上手く頭が回らないのは無理もないか。
どこかに、一つだけでもいいから、共通している属性があるといいんだけどな・・・・・・ん?
確か、『風は土に強い』。そして、『雷は土に弱い』だったな。
・・・・・・そうか、これだ!! どうやら、こういうときの頭の使い方は二人より俺の方が上みたいだな。
俺は急いで手を伸ばして氷龍の柄を握り、地面から慎重に引き抜く。
突然動き出した俺を見て、フォノは急いで両手を広げて俺の前方を遮る。

「リーン、今は何も解決策がないのよ。下手にあの魔物を刺激したら、村中に被害が・・・・・・」
「じゃあ、解決策があるなら俺は動いていいんだな?」
「!?」

フォノは信じられないという目で俺を見る。白夜も、同じような表情でこっちを見た。

「・・・・・・本当なの?」
「ああ。て言っても、解決策へ繋がる方法だけだけどな」

白夜は、心配そう尋ねた。まあ、閃いたのが俺なら無理もないけど、そんなに心配しないでくれよ・・・・・・。
でもな、これだけは絶対に上手くいく。いや、上手くいかないとおかしいんだ。

「それを、今から試してみるんだ。大丈夫。絶対上手くいくから」

白夜は更に不安そうな表情を見せたが、一度頷くと表情が和らいだ。
いつもののんびりした顔とまではいかないが、落ち着いている。
フォノも不安そうに見えたが、すぐに表情をいつも通りに戻った。

「じゃあ、僕達は何をすればいい?」
「属性を調べたら俺はすぐに教える。白夜は、その後に術を使ってヤツを攻撃してくれ。フォノは、白夜を頼む」
「分かったわ」 「うん」

フォノと白夜は同時に頷く。俺は二人に背を向け、氷龍を両手で構えた。
軽く深呼吸をして気を落ち着かせる。そして、気持ちをしっかりと集中させる。
そのまま『切り札』の近くまで一気に走り、ヤツの後ろへと回る。その間、ヤツは全く気付いてない。
よしっ、このまま行くぜ!!
俺は氷龍は左手に持ち替え、右手を地面へしっかりと付けてその場に左膝をついてしゃがむ。
その姿勢のまま地面を少し眺めた後、目の前に見えるヤツをしっかりと見る。そして、右手をグッと地面へ押し付けた。

「サン!! 行けー!!」

ドンッ!! 体中に軽い地震が起こったときのような衝撃が走ると同時に、目の前の地面が数箇所盛り上がった。
盛り上がった地面は徐々に先を尖らせ、大地から槍が生まれた!! ・・・・・・とも表現できるな。
そして、鋭く尖った地面はヤツの背中へ一直線。速度を緩めることなく突き進んでいく。
よしっ!! このまま行けば、大成功間違いなしだ。そして、槍の様に尖った地面はヤツへと達した。
だが、その瞬間ヤツの身体の周辺から風が巻き起こり、放たれた槍はあっさりと鋭く尖った先から徐々に削られていってしまった。
くそっ、やっぱりダメだったのか・・・・・・なーんてな。これでハッキリしたぜ!!

「白夜ー!! こいつの属性は『風』だー!! 『火』を使ってくれー!!」

白夜に指示した内容通り、俺は白夜にヤツの属性を叫んだ。
白夜は俺の突然の行動を理解するのに苦労しているらしく、動きを止めて目を丸くして俺を見ている。
だが、それもほんの一瞬のこと。

「・・・・・・あ、そっか!! 『風』と『雷』は『土』に対する相性がほぼ逆ってことを使ったんだね」

そういうこと。やっぱり、白夜は考えて理解するのも、結果を導き出すのも早いな。
さっき使ったのは、大地に溶け込み地面を操れる土の元素霊サンを使った『土』の属性攻撃。
もしこの攻撃を防いだのならばヤツの属性は『風』、攻撃が効けばヤツの属性は『雷』ということになるんだ。
ハズレ無しの二者択一。たった一発の攻撃だけでヤツの属性が分かる画期的な方法だ!!

「なるほどね。リーン、あなたにしてはいい作戦よ!!」
「へへっ。だろ~? 白夜、準備頼むぜ」
「うん、分かった!!」

白夜は普段から持ち歩いている呪書(スペル・ブック)をマントの中から取り出し、バサッと開いて右手で持ってその中の一ページを左手の指で撫でる。
その様子を見ていたフォノはすぐに白夜の前へ立ち、炎鎚を両手にしっかりと握って構えた。ヤツからの攻撃を防ぐためだ。

「リーン、少しの間だけでいいからその魔物の動きを止めていて!!」
「白夜は、私に任せて」
「分かった。おーい、そこのウスノロー!!」

「グルルルルル・・・・・・」

お? どうやら、『切り札』はピリピリとしたオーラが溢れるフォノよりも俺の魅力的な声に反応したようだな。
ヤツはこっちを向いている。・・・・・・かなり機嫌の悪そうな顔で。機嫌の悪い先生の表情といい勝負だ。
ヴーンッ!! やつはそのまま腕を振り上げて俺へと振り下ろす。だが、何度も同じ攻撃は受けないぜ!!
俺は今いる位置より左斜め前へ移動して、ヤツの攻撃をかわした。それとほぼ同時に、白夜の詠唱が始まった。

「Ehiton not nokuki jano otuzi monit(天高く燃え上がる赤き光)」

凛としたアルトの歌声・・・・・・いや、これはもう音に近い。静かな波が回りに広がるように、声の振動が体中に響き渡る。
同時に、後ろから熱気を感じた。振り返ってみると、詠唱によって生まれた炎が円陣の様に白夜を取り囲み、上空へ赤々と燃え上がっていた。焔の風を纏ったみたいに風の中で髪や服が靡き、白夜は紅く照らされている。
でも、あれ? この前聞いたときにはもう少し早く唱えていたような・・・・・・。
まあ、半年以上もこの術を使っていなかったからな。感覚を取り戻さないといけないし、この一回に賭けないといけない。
白夜のゆったりとしたよく響く声が、ヤツの耳に届いたのか、白夜の方を向いた。
まずいっ!! 俺は急いでフォノ達がいる方へ走り出し、フォノと白夜から十メートルぐらい離れた辺りで『切り札』と真正面から向かい合う。
フォノもそれに気付き、炎鎚を構えなおす。

「リーン!! 氷龍を構えて!!」

よーし、落とさないようにしっかりと持っておくぜ。フォノは、急いで詠唱を始めた。

「Era not eta konar akitagaw(我が力の糧となれ)・・・・・・纏え『インスタル』!!」

フォノの歌声と同時に、俺の氷龍が熱くなるのを感じた。よし、行くぜ!!
俺は距離を取った『切り札』へ向かってもう一度走り出し、ヤツの右腕付近へと近づくと、走りこんだ勢いを殺さぬように右足を軸にして氷龍を左上へと振り上げた。
振り上げると同時に、氷龍の冷たい氷のような蒼い刀身が熱く燃え上がる。やっぱり、凄い迫力だな!!

「うりゃああああ!!!」

体全体を半回転させながら、氷龍を一気に振り下ろす。
ザシュッ!! おぉっ、さっきの音とは大違いだな!!

「グララララララ!!!!!」

さっきは攻撃が全く通じなかったが、今の攻撃は効いたみたいだ。
『切り札』は俺の攻撃を喰らって怯んでいる。よーし、もう一発!!
ヴーン!! 俺はそのままの姿勢で振り下ろした氷龍を脇の近くまで引き戻し、ヤツに向かって真正面へ一気に突き出した。

「On iarumoh uraniesu arahika yowuka(其は厄を焼き払う聖なる焔)」

お? さっきよりも歌うスピードがはるかに上がってるな。
このまま、上手くいってくれよ・・・・・・!!

「Yahosir akihikakaura gaeomuk akatnet(命の水と同じく混沌の地へ)・・・・・・」

白夜が一瞬でこれだけの言葉を歌うと、フォノが視線を白夜から俺へと移した。

「リーン、発動するから下がって!!」

了解!! 俺は急いで近くに漂っていたリズを呼び寄せて両手を胸の前で伸ばす。さあ、俺を前へ飛ばしてくれ。
リズは空気の中に溶け込み、俺の周りに風が生まれ、俺の体は一気に後ろの方へ吹っ飛ばされるように下がった。
・・・・・・まさか、元素霊をコントロールの腕の悪さがこんなところで役に立つとはな・・・・・・。
俺は、後ろを見た。

「・・・・・・降り注げ 『フレイム・スコール』!!」

俺が『切り札』から十分な距離をとったのを確認した後、白夜は最後の詠唱を叫びながら紙に触れていた左手を離して一気に振り上げた。
振り上げた腕に合わせ、白夜の周りに集まっていた炎が一気に火柱を上げるように燃え上がり、白夜より少し上で丸く集まった。
一瞬間を置いた後、炎が少しずつ矢の雨の如く丸くなった炎より高く飛び上がり、重力にしたがって徐々に落下し始める。
そのいくつかは現在飛んでいる俺の体ギリギリを通っていった。さすが、白夜。術のコントロールは抜群だな!!
降り注ぐ炎の雨の狙う先は、『切り札』だ。
容赦なく降り注ぐ炎はヤツの体中を覆っている毛に移り、あっという間に燃え広がった。
全体が炎の塊となる。

「グギャラララララララァァァァァァァ!!!!!!!」

トスンッ ヤツの叫び声が聞こえ始めた頃、俺は地面へ着地していた。

『切り札』の叫び声が聞こえなくなるまでのしばらくの間、俺達は髪の毛一本動かすことなく、少しずつ勢いがなくなってきた炎の塊と眺めていた。
村を襲ってきたオーク達は・・・・・・いつの間にか消えていた。俺達が戦っていた間、あいつらどさくさに紛れて逃げたな。
よし、もう魔物は居ないな。

「戻れ、『氷龍』」

小さく呟くと、さっきまで俺の手の中に在った氷龍は淡い光と共に消え去り、霊石の中へと戻っていった。
お、そういえばずっと座ったままだったな。俺は体を起こし、白夜とフォノの方へと戻る。
フォノの方も、炎鎚はすでに霊石の中に戻しているみたいだな、

「あ、リーン~、無事だったんだねぇ。よかったぁ~」
「何とか、終わったみたいね」
「ま、俺達にかかればあんな魔物、楽勝だったなっ」

表情がホッと緩んでいたフォノが、一瞬にしていつもの不機嫌そうな顔に戻る。
ヒュンッ・・・・・・ガツンッ!!
うっ、空を裂くような風の音が聞こえたと思ったら、後頭部に異様なほどの衝撃が!!

「・・・・・・調子に乗りすぎ」

フォノはいつも持ち歩いている仕事用のハンマーを右手に持ち、左手の平にポンポンと平らな部分を軽くたたきながらポツリと呟く。
・・・・・・今、そっと殴られた部分を触ってみたけど、無事みたいだな。普段から先生の拳で慣れているおかげだろうか・・・・・・。

「だってさ、俺達生まれて初めて魔物と直接戦ったんだぜ! な、びゃく・・・・・・や?」

白夜の方を向いてみたが、そこには白夜はいなかった。辺りを見回してみると、少し離れて大分炎が消えてきた『切り札』をぼんやりと眺めていた。
俺は、急いで白夜の側へと向かう。

「白夜、どうかしたのか?」
「あ・・・・・・うん。ちょっとね、気になることがあって」

曖昧な返答の後、白夜はそのまま『切り札』の側へと近寄る。今は大分炎が消えているおかげか、あまりここの辺りは熱くない。
・・・・・・ん? よく見てみると、ヤツの周りに何だか黒っぽいものが細い線のように流れている。
さっきまで、遠くから眺めていたのと、炎が燻ってたせいで見えなかったみたいだな。
それは一本一本意思を持っているかのように別々の方向に流れ出し、いつの間にか円を描いていた。
何だか、特殊な陣みたいだな・・・・・・。

白夜はその不思議な円の縁の側にしゃがみ、そっと、その陣に触れた。

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