(4)「記念」2文字の是非
少し横道にそれる。この展覧会が告知されたときから気になっていたことがある。
それは正式名、特別展「生誕140年記念 石崎光瑤」に対する違和感である。
えっどこが、と思われるかもしれない。
「記念」の2文字がなければいいのではないか。
記念と石崎の間に空白を入れて読みやすくなっているが、2つの単語がどうもうまくつながらない。
空白部分に助詞を補うと違和感の理由が見えてくる。
「生誕140年の石崎光瑤」ならいいが「生誕140年記念の石崎光瑤」というと変な感じ。「石崎光瑤が生誕140年」ならいいが「石崎光瑤が生誕140年記念」ではおかしい。
「記念」は「展」にかかる、係り結びのようなものだ。
D'案のように「記念」と「展」が近ければ違和感はなくなる。
むろん倒置法ですよといわれれば、たしかに二重の倒置のようでなるほどと思う。でも「記念」を贅語とみて省けばよかっただけでないか。
ちょっと検索したらこんなのが見つかる。
これまでの光瑤展は「絢爛」や「花鳥画」が繰り返し使われてきた。似たような展覧会名になるのを避けようと苦労されたことだろう。ネーミングというのは文字数が減れば減るほど難しくなる。
Simple is best だとするなら福光展のサブタイトルも「花鳥画の極」だけでよい。「Real & Spirit」では迷路にでも入ったかのような感がある。なぜここで英語なのか、翻訳に悩んでしまう。文字のつらを意識するなら「花鳥画の極み」と送り仮名1文字をつけただけでよかったのではないか。
しょせん素人の戯言、そんな見方もあるのか、という程度で片づけてもらって結構だが、今後、周年イベント名を考える時に思い出してもらえるなら幸いである。(つづく)
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1978年 「石崎光瑤没後30年展」 高岡市立美術館
1997年 「石崎光瑤没後50年展」 福光美術館
2008年 「絢爛の花鳥画家 石崎光瑤没後60年展」 南砺市立福光美術館
2017年 「花鳥画の煌めき―没後70年石崎光瑤」展 富山県水墨美術館
2017年 「燦めきの日本画 石崎光瑤と京都の画家たち」 石川県立美術館
2018年 特別展「若冲と光瑤 ~伊藤若冲とその画業に魅せられた石崎光瑤の世界~」 石川県立美術館
2018年 「〈いのち〉を写す 石崎光瑤の視点と表現 ―写生・下絵・写真―」 南砺市立福光美術館
2023年 企画展「石崎光瑤 生誕140年 知られざる光瑤の横顔」 南砺市立福光美術館
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