三十路の上海留学20日目
9月28日(土)上海留学20日目
中国では、来週から国慶節という大型の連休がある。
それにともない大学も一週間休みだが、その代わりに「调休」という、おやすみ日程の調整があり、明日29日(日)は午前・午後とも授業であった。
そのため週5日勉強で疲れた身体はこの日に休めておかねばならなかったのだが、私は前日に来た「明日豫园で夕方ご飯食べるんやけど来ない?」の誘いに「もちろん行く!」と返事をしていたので、午前中に掃除をしたりなんだりをして、3時40分に金沙江路駅に向かった。
誘ってくれたのは以前オリエンのときに助けて友達になった子で、彼とその友達(日本人会で隣に座っていた社会人)、私、オリエンの時に一緒に彼を助けてあげた友達の4人の微信グループに連絡をくれていた。
16時、駅で路線を探しスマホ片手にさ迷っていると、オリエンで彼を一緒に助けた友達に声をかけられ、一緒に豫园駅に向かうことにする。
16時50分、現地に到着すると日本人会で隣だった子と、もう一人知らない女性がいた。
彼女はビジネスクラスで勉強しているようだが、日本人会の二次会(私はMUJIに行きたかったので行かなかった)で彼らは知り合い、今日誘ったようだった。
挨拶をするが彼女は控えめな性格なのか名前がまったく聞き取れなかった。
発起人の彼も到着し、「結局今日は何人なんだろう」とぼんやり思い始めていた頃、横からひょこっと男性が近づいてきて、思わず現地人に押し売りでもされるのかと思ったら、その男性の到着に発起人が「全員揃ったし行こう!」と声をあげる。
思わず「押し売りの現地人かと思いました」と本人に言ってしまった。
聞けば、発起人の彼、日本人会で隣だった彼、そして押し売りと勘違いした彼の三人は元1-1クラスの唯一の日本人三人衆だったようだが、三人揃って宿題で「一二三」を書かされ絶望し、1-2にクラスチェンジしたのだと言う。
「1-2はどうですか」と聞くと、「四と五を書く宿題が出たよ」という。别开玩笑。
駅からして風情のある豫园までの道中を歩きながら、せっかちな私の「すごい、ここが豫园!」に対して「ここはまだ。もっと向こうにもっとすごいザ・豫园があるから!」を三回繰り返したくらいで、その「ザ・豫园」に到着する。
残念ながらザ・豫园は現在改装工事なのか網を張られていて、「ザ・がっかり豫园」であった。
「ごめん、あそこ(駅)の方が豫园だったかもしれない・・・」と落ち込むので、我々は「まあ観光客じゃなくて留学生なんだから改修工事が終わった頃また来ればいいんだよ!」とお互いを慰めあった。
逆にこんな改修してる豫园なんてレアじゃない?(強がり)
まだ明るい夕方の豫园を堪能する。途中、ハンドクリーム屋だらけの道に迷い込み、店を冷やかして練り歩く。
ある店では阿姨に「これは顔に塗るものよ!乾燥・✕✕・✕✕に効果的!」とすさまじいスピードの中国語で話しかけてくるので、「よっしゃ会話練習よ!」と「(顔に塗ると聞き取れたので)これは顔も身体もいけるの?」「(乾燥に聞くと聞き取れたので)湿润?」と質問してなにも買わずに出るなどした。
あるハンドクリーム屋では、テスターの横にコーヒー豆があって、鼻のリセットに使われているようで、「へー」と思うなどした(日本もコーヒー豆を使っているのかは知らない)。
1本道を渡って露点のようなところに行くと、手前に雑貨屋、奥に食べ物が売られている。
臭豆腐があり、六人で「どこまで近づいたら臭豆腐の匂いが漂ってくるか度胸試し」のゲームなんかもしたが、人が少なかったからこそ出来た小学生の遊びであった。
観光地だしなんか買いたいな、と、入り口の雑貨店でブレスレットを買う。「21元」と言われて支付宝に入力した金額を姐姐に見せると、「20元でいいよ」と値引いてくれた。
発起人の彼(本人は中国国籍・中国語は全く喋れない)が、「あそこ小籠包が有名だよ」と南翔饅頭店を指差すので、六人でそこに向かう。
道中一気に暗くなった豫园の町中は、ライトアップで信じられないほど綺麗だった。
南翔饅頭店は、ざっと見ただけで結構な人数が並んでいる。列の途中に「ここから○分待ち」と書いてあるのだが、我々の並んだ場所は「ここから30分待ち」と書いてあった。
納得の上で並ぶ。
前に小さい女の子2人と母親・おばあちゃんの四人組が並んでいて、並ぶ列はみな椅子に座って待っているのだが、彼らは子供たちに小籠包を食べさせていた。
思わず友達に「これから小籠包食べるのに小籠包食べてる!」と耳打ちしてしまった。
しかしこの母子+祖母、前が進めど詰めないので、「おや?」と思い、一人が彼女らに「並んでる?」と聞いてみた。
「並んでない」との返事。
すごい、椅子があるからって待機列で食事とるのは面白すぎた。
「やっぱり日本の常識で物を考えたらダメだ・・・」と六人は学んだ。
列に並びはじめて5分、もう次に呼ばれるくらい列が進んでいて、「ここから30分とは・・・?」と皆で顔を見合わせる。
発起人の彼が「リューガレン。リューガレン」と「6人です」の発音を頑張っていたので、店員への対応を任せてみた。
店員の「何名ですか?」に彼が「リューガレン」と答えると、「お一人ですね」と返されていた。彼は凹んだ。我々は笑った。
食事をしながら、全員社会人経験があることが判明したので、やはり仕事の話しになる。今日初めて会った女性は弁護士、今日初めて会った男性は新聞記者。そして、元公務員・元エンタメ関係・元エレベータ製造に元商社マン。
日本にいたら会わなかっただろう人たちと、上海の町で職業を越えて出会うのが面白かった。
誰かに言われた「留学で日本人を遮断するのは勿体ない。異国の地で出会う日本人は、日本で会うよりおもしろいよ」という言葉。
新橋の居酒屋で知り合うのと何がちがうのだろう、とそのときは思ったけど、たった4ヶ月、されど一期一会じゃないこの中途半端な時間を日本人との交流に割くおもしろさにこの日改めて気がついた。
帰りしな、私は自分のクラスの私含めた5人の日本人の関係値を思い出していた。
我々のクラスの日本人5人はめちゃくちゃ関係が希薄であった。
なんか微信グループでも作ってみよう、手始めに。意外と話してみたらおもしろいかもしれない。
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