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NKM-005 今日のコミティア130と「イシデさんスゲーな」という話について

本日、東京ビッグサイトにて開催予定のコミティア130(前回はオリンピックのアレコレなどに対応するためにつくられた青海展示棟での開催でしたが、今回はビッグサイト本体?です)に、イシデ電さんの「でんや(スペースNo.D41a)」が出展します。

前回のコミティアと今回の間に、東京の往来堂書店さんでも『猫恋人 キミにまたたび あのコに小判』(以下『猫恋人小判』)をお取り扱いいただくことができたものの、前回時点では書店様でのお取り扱いが西日本のみという状況で、書店限定特典として作成したポストカードを希望されるお客様にお渡しする…予定で…おりました。
ところが、イシデさんがポストカードを忘れてしまい、私も私で遅い時間であったものの、とりあえずポストカードを持ってビッグサイト本体に向かってみたところ「青海展示棟…だと…!?」となる惨事に終わりました。

ポストカードを目当てに前回「でんや」に立ち寄ってくださった方がおられましたら、本当にすみません。きっと今回は大丈夫なはず…ということで、今回もイシデさんにポストカードをお持ち頂く予定になっております。ヘッダー画像がその写真です。
通販で『猫恋人小判』をご購入済みの方、前回のコミティアでお買い物いただいた方には、今回お買い物なしでも差し上げます
(で、いいですよねイシデさん…?)。
もちろん、今回も『猫恋人小判』を頒布しておりますので、単行本とポストカードをセットでお持ち帰りいただければ、私が喜びます。

でもまあ、正直今回は猫恋人よりも、新刊『恋いぞこないのサンバ』ですよ、奥様。

2万リツイート6万いいね超。
今日、田亀源五郎先生もリツイートされているのを見かけて魂消ました。『猫恋人小判』所収エピソードの、

この2話も私からしたら大バズりしているのですが、その合計を1日くらいで突破して、なお伸び続けているという…。

価値観の多様性だとか、アクセスの簡便さだとか、分母の大きさだとか、色々な理屈はつけられるものの、2年前の雑誌読み切りがこんなことになっているのには驚かされます。
しかし、同時に感じるわけです。「これぞイシデ電…」感を。

イシデさんに限らず、漫画家さんが、SNS用に描き下ろした話だけではなく、過去作をSNSにアップして注目を集めるケースが増えています。
このとき、よくあるのが本来のタイトルとは別の「○○が××する話」的なリードをつけてアップする手法です。一周回って、最近では本タイトルのネーミングが「○○が××する話」的な作品も目につくくらい、拡散を狙う分には効果的な手法だと言えるでしょう。

そして、以前Twitterで言及したことがあると思うのですが、これに異議を唱えたのが我らがイシデ電。
具体的な文言は覚えていないのですが、漫画家が考えに考え抜いたタイトルを放棄して、「○○が××する話」的なリネームをすることに、イシデさんははっきりNOを突きつけていました。
正直、同じことを思っている作家さんはいると思います。でも、知り合いがそれをやっていたりすることもあるだろうし、わざわざ発言して敵を増やすほどではない、と考えて普通は言わないだろう…と思った私は「イシデ電やっぱ普通じゃねーな(小並感)」と衝撃を受けました。

確か、タイトルをイジることを純粋に悪とみなすよりも、(そこもイシデさんらしいのですが)作家が本来のものとしてつけたタイトル込みで、初出時に作品を受容してくれた読者に失礼なのでよくない―といった発言があったと思います。
そのときは、私は読者側の視点を勝手に代弁し、「読者はベストな形じゃなくても、自分の好きな作家が広まれば嬉しく思うし、それで本来のタイトルの作品を手に取ってくれることもあるのだから…」みたいなことを言った記憶があります。イシデさんがどう思ったかはわかりませんが(笑)。

で、『猫恋人小判』の販促の際も、説明なさみの深さにはなかなかのものがある“猫糞”と“傾城には猫がなる”というタイトルでアップしながらも、内容という名の地力のみでしっかり拡散していただきました。
そして、こう言っちゃなんですが、今回の“恋いぞこないのサンバ”も、「恋いぞこない」というワードにヒキはあると感じますが、それ以上に、SNSっぽいタイトルをつけてアップしたら、拡散にはメチャクチャ効果がありそうな内容です。
でも、当然ながらそれをせず、これだけ広がっているという…。“猫糞”と“傾城には猫がなる”のときにも言ったのですが、負けたよ。アンタの勝ちだ…と、別に勝負してないけど謝りたい気持ちです。

いや、本当に凄い、イシデ電。
とはいえ、そんなイシデさんの言葉や作品に対する意識の高さって、漫画をSNSでたまたま読んだ人にも、作品からグイグイ伝わるものがあるのだろうと感じています。
ことさら出版の直販BASEショップでお買い上げいただくと、個人情報などを入力するページで任意記入のメモ欄があるのですが、「Twitterで読んで購入しました」「お金を落としたくて」といった内容を書いてご注文される方が何人もいるんですよね。
また、今回の拡散の余波を受けて、別の作品だけど(あるいは『恋いぞこない~』を見てから『猫糞』なども見たのかもしれませんが)『猫恋人小判』のご注文もBASEでいただいております。Amazonでも動いているのではないだろうか。
他のサンプルがなくて、何となくの勘でしかありませんが、SNSっぽいリネームをつけないと、拡散力が落ちる代わりに「読み捨てていい」と思わせないグリップ力が上がって、結果的には広く拡散したとき以上に購買に繋がっているような気がします。

しかし、それにしても、だ。

これに対しての、

には本当に参りました。オジさんシャッポを脱ぐよりほかありません。

この姿勢を貫き通しているから、ああいう漫画を描けるんだろうなあ…とか思ってしまいますね。
作品とか、日頃の発言とか、付き合ってる人だとか、好き嫌いだとか、人間を構成する要素はたくさんありますが、作品以外の何を切っても、その切り口が作品の切り口とそっくりな作家と、そうでない作家がいる気がするのだけれど、イシデさんは多分前者で、そして(後者が作家として劣るというわけではありませんが)前者にしか描けない漫画を描く作家だと感じます。
というか、そんな印象は元々あったのだけれど、今回改めて証拠をたっぷり揃えて突きつけられた感があります。

で、結局何が言いたいのかといえば、そんな凄いイシデさんの『猫恋人 キミにまたたび あのコに小判』を買ってください!という話であります。
このテキストを目にする方は、結構な割合ですでにお読みいただけている気もするものの、せっかくイシデさんがバズったので便乗してみました。

イシデさんがそういうことをやらないなら、私がハイエナのようにバズりの臭いにすり寄っていく―。

そんなスタンスでやっていきたいと思う次第です。

もし猫恋人を未読で、このnoteをたまたま目にした方がおられるようでしたら、上記特設ページだけでもぜひ見てやってください。推薦コメントを読むだけで楽しいと思います。

ということで、イシデさんがポストカードを忘れていないことを願いつつ筆をおかせていただきます。

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